第99話

文字数 2,814文字


源三郎江戸日記(弟四部)99

翌日はお松、松吉、みゆきに息災に暮らせというと、馬に乗り伏見にでて川舟に乗り大阪に戻ったのです、仁蔵が準備は出来ておりますと言うので船に乗り込み、一路和歌山に向ったの、
です、紀伊水道を抜けて外海に入り北上して尾張には夕方ついたので上陸して、城下の旅籠鶴屋に草鞋を脱ぐと、富蔵達がお待ちしていましたと挨拶するので、部屋に入るとこれが調べ、
た結果ですと書付と絵図面を出すので、

みると、20個所に印がついています、殆どが尾張と美濃の川筋です、丸い印は長良川、揖斐川からの分留地点で、今回はこの川の分流を木曽川に入らないようにする事が主な工事です、
後は決壊し易い場所の補強工事となります、問題は尾張りは東海道の押さえに徳川家康公が御三家の一つを配置したので、木曽川の堤の高さは尾張川が高くする事と定められたので3尺、
程美濃側は低くなっています、

このために美濃川の決壊が多くなっています、これを同じにすれば下流の尾張川は殆ど決壊する事になります、したがって分留の関止めを完全にする必用がありますが、そうなると、
長良川、揖斐川の水量が増してこちら側が水害に見舞われることになり、尾張は4万石くらい被害にあう事になります、輪中にする事で水害からは殆どふせげますが、こんどは渇水が、
置き易くなり、

干ばつにさらされる事となりますので、どうやっても半分は、助からないと思いますと言うので、いずれにしろ大雨の状況では木曽川、長良川、揖斐川も決壊の可能性は残るじあろう、
完全に天災から逃れる事等で来ないと言う事だよと言うと、このままいけば尾張側は納得しないでしょうと言うので、尾張公は半分助かれば良しとすると言われたが、家臣が納得しな、
いじあろう、

薩摩はお手伝い普請で、奉行は尾張が出す事になっているので、家康公の言葉を盾にとり堤は美濃側を低くせる事を強要するじあろう、そうすると分留地点は美濃側じあから完全には、
塞がないように手抜きをするはずじあ、一番困るのは薩摩じあなと言うと、幕府から薩摩に治水の専門家は連れて来てはダメだと許しがでないそうです、総元締めの幕府の責任者が、
掛け合ったそうですが、

尾張と美濃の各藩に遠慮して差配は現地の藩にまかしてあるので口出しするな、2人の責任者は工事の進み具合のみ報告すれば良いと言われているそうです、薩摩藩士と幕府の役人は、
憤慨しているそうで、平田様がなだめるのに苦労なされているうですと言うので、白井の奴薩摩の財力をそぐ為にそんな事いいだしたのだろう、簡単に終われば財力をそぐ事にならぬ、
からな、

しかし合議制じあから3人は賛成したのじあろう、わしも老中じあが5人中3人が、賛成したとなれば、従うしかない、わしの説得を恐れていない間に決めたのじあよと言うと、富蔵が、
我々が手を出す事は出来ませぬがと言うので、それなら何としても1年以内に終わらせて財力を消耗しないようにしてやる必要があるなと言うと、3年を1年ですかと富蔵が考え込んだ、
のです、

まずは堤の補修じあがこれは誰がやっても問題ないじあろう、後はこの×印をつけたところの補強じあが、川の外側ではなくて内側に杭を打ちその間に岩をいれれば関となり補強出来、
るじあろう、これなら手抜きは出来まい、石を運ぶのはいかだに吊り下げるか、現在水がない場所は丸太を敷いてその上に載せて転がせば良いと言うと、富蔵がなる程それなら薩摩の、
藩士でも監視できますと言うので、

後は関止めじあが水が流れているので難しいな、まずは埋め立てと同じに、丸太を打込み川原の石を運んで間に落として関を作れば良い、石の関の幅は3間とすれば決壊はしないじあ、
ろう、丸太が腐っても石で関止めてある、幅が3間もあれば少しの石が流されても問題ない、石の間から漏れる水の量は僅かじあからなと言うと、なる程完全に塞ぐわけてはないので、
すねと言うので、

完全に塞ぐわけじあないので、美濃側の百姓も手抜き工事だと思うじあろう、治水の専門家でないとわからぬよ、文句言わないで働くはずじあと言うと、これは恐れ入りました百姓、
を騙すとはと笑ったのです、薩摩は律儀者が多いので騙せますかなと富蔵が言うので、それが一番問題なのだよ、本当の事を百姓に言えば必ず工夫して手抜きをやる、たとえば、
崩れ安いように、

飛び飛びに小石の関を作り、大雨で流されやすくする等崩れ安い石の積みかたは素人でも出来るからのう、専門家にきけば一個石を外すだけで崩す事も出来るそうじあ、城の石橋には、
そういう仕掛けがしてあるところがあると聞くというと、そうですね、誰かに聞いて見てくれは強固にして置けばよいわけですねと言うので、利害関係が反するので難しいのじあよ、

後は輪中じあがその村の者は納得しないじあろう、新田開発を先にやり倍に増えたところで、せっかく倍になった田を守る為の予防に囲むといえば良い、もったいないので納得するじ、
あろう、これは専門家と人足を使って一気にやるのじあ、渇水対策にため池を作れば良い、水が豊富なのにおかしいと思うじあろうが、これも念の為じあと言えば良い、人足を希望、
する者には一日2朱を払えば、

喜んでやるじあろう、これは富蔵と小頭たちがこの周りの20ヶ村をやってもらう、木曽川ではないので問題ない、金寸は尾張2万5千両、幕府2万5千両、わしが船にある4万両をだして、
合計9万両あるのでどうだと言うと、わかりました、後10人たけた者を呼んで20人が監督して一気にやりましょう、村々の田が倍になり、給金も出るのです大喜びで協力しますよ、
短期間なら長屋ではなく、

小屋で十分です、飯と居酒屋、銭湯、女郎屋があれば万全ですと言うので、誰にも漏らすなよと笑い、これから尾張継友様に富蔵と会ってくる、小頭達は準備してくれ、あくまでも、
新田開発が名目じあと言うと、承知しましたと言ったのです、山形に巡察してなるべくネズミをあぶり出してくれ、資金稼ぎをするぞ、飛猿と才蔵は豪商を調べてくれさぞかし蔵の、
中には小判がうなっているじあろう、

おみなは伊衛門どのと一緒に巡察してくれと言うと、ハイ、沢山稼いできますと笑ったのです、城に行き継友に面会すると、おう源三郎ようきた、いよいよ始まったようじあなと言、
うので、輪中の件ですがそこを知行地にしている家臣百姓どもの反発は必須です、継友様の前では従順な顔をしていますが、いままでは大した水害はなかったのに、木曽川の工事の、
お陰で、

損をすると邪魔をするのは目に見えています、そこで二つの川の傍にある20カ村は新田開発をして今の倍の石高にしましょう、輪中の話は棚上げにして、木曽川の関止は石をもって、
するので完全には関とめない、さらに木曽川の底をさらい深くするので、木曽川の氾濫は防げる事がわかった、此の際だからこの20カ村の新田を開発して倍の石高にすると言うて、
くだされ、

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