第73話

文字数 2,703文字


源三郎江戸日記(弟四部)73

腕も相当なものですが、まったく殺気がないのです、まるで舞いのようなもので、打ち込む時に気が抜けてしまいます、陰流の極意は人を狙うのではなく、その影を切るのだと教えられる、
のです、影はごまかしませぬ、太陽が出ておれば陰も出来るが、出てない場合はどうするのじあと聞くと、心の目で影を見るのですと言うので、それは大変な修行が必要じあなと言うと、

ハイ、めしいが目がみえなくても、周りが解かるのと同じなのです、しかし普通は目がありますので、とても目が無くなった時の事は解かりませぬと言ったのです、そうすると村上殿の剣、
は心の目でみれば勝てると言う事かと聞くので、解かりませぬ、なんと言うても頭の回転の良いお方です、瞬時に違う方法を考え付くのかも知れませんと言ったのです、翌日より身の危険、
を感じた新井白石は姿を見せぬようになったのです、

宮本伊衛門は様子を探りに本所の新井白石の屋敷の周りを調べて入ると裏口から2人の武士が出て来たのです、深編み笠を被っていますが、空を見上げた時顔をみると、一人は間違いなく、
新井白石で着流しの姿をしています、2人が深川の方に歩いていくので後をつける事にしたのです、2人は深川の料理屋に入っていったのです、ここの先は川越藩の上屋敷だがまさか村上、
様と会うつもりではと思っていると、

1人の武士が料理屋に入っていったのです、村上様ではないな、隙のない奴だ相当の手だれなのだろうと思ったのです、さらに二組の武士が入って行き1人は江戸駒込の鶴田道場の師範代、
でつい最近立ち会った者だったのです、すると、鶴田道場のものか、剣客を集めて何をするつもりなのじあと思い、様子を見る事にしたのです、後ろから肩を叩くので、飛びはねて身がか、
まえると、

何をしているのじあと言うので、みると源三郎です、これは村上様と言うと、久ぶりじあな江戸へはそれがしと勝負に参られたかと聞くので、さようで御座います、一手ご教授をと言うと、
まあ中にはいろう、ここはわしが懇意にしている料理屋じあと言うので、中に入ると女将が部屋に案内したのです、まずは一献と言うので杯を重ねると、源三郎が誰を見張っていたのじあ、
と聞くと、

新井白石めに御座いますと言うので、ほう、新井がここに入ったのか、女将、新井白石を知っているのかと聞くと、いいえ、2人でお出でになり、人を待っているので部屋を借りるぞと言、
われましたので、真向かいの部屋にお通ししました、その後に、友田様と名乗られる方が尋ねてきましたので、お通ししました、さらに2人の方が尋ねてきましたが、1人の方が三上様と、
名乗られましたと言うので、

屋敷は本所のはずだ、なぜ本所の料理屋にしなかったのだと言うと、本所では顔を知られているのでここを選んだのですかねと言うので、ところで、伊衛門はなぜ後を付けるのじあと聞く、
と、あの時に申し上げましたように、奴の首を上げる為にございますと言うので、奴は幕府の参政じあ、そなたも打ち首になるぞと言うと、人気のない場所で襲えば証拠はのこりませぬと、
いうので、

わしに言うたではないかと言うと、村上様が喋るはずはありませぬ何と言っても貴方を陥れようとした奴ですと言うので、それに気づいて用心棒を雇うつもりではないのかと言うと、切り、
死には剣客の本懐です、丁度修行の成果がみれます、最後に入ったのは、駒込の鶴田道場の師範代です、こ奴はこの前立ち会って勝っております、そこそこの腕でした、あてと1人は門弟、
ですと言ったのです、

そのころ新井白石はわしが新井白石じあ、そなた達にはわしの警護を頼みたいのじあよ、出掛ける時に護衛してくれれば良い、食客として雇うがどうだ、襲うて来た者を返り討ちにすれば、
その後は恐れをなして諦めるじあろう、多分刺客は老中の安部の手の者のはずじあ、わしの首を城の外で上げるとぬかしおったと言うので、その刺客はおわかりかと聞くと、分からぬ相当、
怒っているので、

それまでは登城を控えておるのじあ、なるべく歩きまわりおび寄せるので頼むぞ、手当は1人25両だそうと、用人がそれぞれに渡したのです、まあ、一杯飲めというと手酌して飲み干した、
のです、さて深川八幡にでもお参りしてなるべく人通りの少ないところをあるくぞ、わしの前を歩くのじあと言うと勘定を済ませて店を出て行ったのです、どうするのだと源三郎が聞くと、
後を付けて、

人気のないところで遅いますと言うと、それではわしも検分しょう、手は出さぬよと言って店を出て、後をつけたのです、八幡様にお参りしてわき道に入ったのでついて行くと、小さい、
神社の境内に出たので、伊衛門が先回りして、白井白石殿命を頂戴すると言って編み笠をとると、白井がお前は宮本伊衛門ではないか、安部に頼まれたのかと聞くので、小倉での遺恨に、
御座ると言うと、

失敗したくせに何を言うか、それみなの者切り捨てろというと、3人が取り囲んだのです、伊衛門が刀を抜き二点一流の構えをして、三上殿手を引いた方が良いぞと言うと、あれは竹刀、
での勝負だ、真剣なら負けはせぬと言うと、門弟がきりかかると、横によけて小太刀で突き刺すと、ぐわ~と言ってつんのめったので、小太刀を引き抜くと、おのれと言って切りかか、
ったのですが、

小太刀で受けて、踏み込んで右から振り下ろすと、右肩から切り裂かれぐわ~と言って後ろに倒れたのです、中々の腕で御座るな、友田源斉と申す流派は小野派一刀流に御座ると言うと、
刀を上段に構えてジリジリと間合いをつめて一気に振り下ろすと、伊衛門は両刀で受け止めて、右に移動して銅を切り払いかけぬけたのです、くるりと向きを変えて刀を構えると、友田、
はがく~っと膝をつき、

お見事で御座ると言うと前にバタンと倒れて、胸からは血が流れ出たのです、さて次はおまえだなと刀を突きつけると、まってくれ、わしが悪かった、金はいくらでも出すとひざま着き、
右手を上げたので、知れ者と刀を振り卸すと、右手の手首が切り落とされて、ぐわ~と言って左手で押さえたのですが血が吹き出て前にバタンと倒れたのです、ものかげから源三郎が、
出てきて見事な勝負であった気が済んだかと言うと、

手ぬぐいを出して新井白石の右手の真ん中を縛り止血すると血の流れが止まったので、手首を井戸水で新いくっつけてぐるぐる巻きに縛ったのです、こうすればくっつくが神経が切られ、
ているので、手先はうごかなくなる、よく殺さなかったなと言うと、剣客でもない者を殺しても仕方ござりませぬと言うので、役人が来るとまずい、この場を立ち去るが良い、勝負は、
後日改めてやろう、

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