第56話

文字数 2,943文字


源三郎江戸日記(弟四部)56

勘定奉行は一門かと聞くと、一門ではありませぬが、一門の小笠原影光様の次男坊で杉田家400石に養子に行かれたのです、一門には頭が上がらないのでしょうと言うので、しかし帳簿は、
どうしているのじあと聞くと、藩内の工事の代金を水増しして請求させてつじつまを合わせているのです、工事は入れ札ではないのかと聞くと、適正価格を漏らして入札させて、落とさ、
せて、

言う事をきかせているそうですが、誰も口をわりませんので、ご家老も手のくだしようがないのです、小倉屋は一枚かんでいるのかと聞くと、それは分かりませぬと言うので、しかし蔵米、
の横流しとはやり方が乱暴ではないかと聞くと、確かに5000両分横流ししていますが、小倉屋には儲かった分の半分以上は藩の為に供出させているそうですと言うので、そんな事はない、
小倉屋は蔵に6万両からの蓄えがある、

あの規模では不正をしない限りあんなに蓄えられるはずがない、しかも賂の書付には蔵米分の取り分1500両と明記してあったぞ、宮本にそなた達は言いくるめられているのじあろうという、
と、そんな馬鹿な、困ったときはなんとしても金寸を割り振って下さりますと言うので、それは年間2千7百両も賂をもろうておれば、少しは割り振りできるじあろう、小倉屋に頼っている、
ので、

取り分が少ないとは言えなかったのであろう、もし勘定奉行も不正をやっているのなら、小倉藩はめちゃくちゃな治世と言う事じあな、それも調べてみよう、そんな政ではわしが改革して、
も、みんな黒いネズミにもって行かれるだけじあとあきれたのです、まあそれはさておき、金銅山の開発じあがここに7000両があるこれはそなたに預けるので、これを開発資金にするが良、
い、なお開発は三衛門にやらせる、

口は出すな三衛門の好きなようにやらせよ、金は要求あらば即座にだすのだ、産出した物は幕府に総て納めて、半分は買い上げる事として金寸でそなたに渡すので、藩に納めよというと、
承知いたしました、不正はしませんと言うので、三衛門は経費を差し引いて渡す事になる、その経費の中に三衛門の取り分毎月30両年間360両を含める、藩には大体7千両あまりが入る事、
になると言うと、

承知しましたと言ったのです、三衛門良いかと言うと、承知しました、人足は村の者を使い、足りない分は人足を連れてきます、一日2回爆破して掘り出します、坑道には金銅の掘り出し、
で50人、一日交替にしますので100人とします、あとは精練する者が50名でこれも交替にしますので100人程必要です、総勢200人で足りますというので、鉛を使うので必ず沈殿池を3つ作、
り水は流して、時々底に溜まった、

灰をかき出し鉛を分離して最利用するのだ、こうすれば鉛の毒が川等に流れ込まなくて済む、水が出た時の為にあの穴の場所から川まで近いので用水路を掘っておけ、池、用水路とも、
爆破して作るのじあ、人の手で掘るなんてのは時間がかかるからな、又坑道は平にならしておき、このような一輪車を作れば1人で簡単に運べる、あの穴から引き上げるのはと井戸の、
つるべの原理を説明したのです、

ともかく事故と健康には気をつけろ、かならず手ぬぐいを口鼻に巻かせるのじあ、粉塵が肺に入れば病気になると言うと、村上様は山師より凄いですよ、そこまでやれば楽して採掘でき、
ますと言うので、人足は小屋ではなく長屋と銭湯を作り病気にならないようにするのだ、居酒屋、女郎屋、博打場も作るのだ、博徒場でのイカサマはいかん、貸し借りも無しじあと言っ、
たのです、

火薬は源蔵から買うのだと言うと、承知しました、立派な鉱山町にしますと言ったのです、橋本いいかなと言うと、ハイ、治安維持にはつとめますといったのです、七衛門代官に7000両、
引き渡せと言って、引き渡したのです、そのころ宮本達は城下に着き城に出頭したのです、忠雄が老中に聞いたであろう不服あるかと聞くと、御座りませぬが隠居させてくださりませと、
言うので、

なぜじあと言うと、秘伝の二点一流をていもなく捻られました、旅に出て修行してもう一度立ち会いますと言うので、なる程しかしお前がいなくなると藩政が滞るじあろうというと、倅に、
総て教えてあります、今年28才ですが十分に役に立つと思います、又家禄半分になりましたので、郎党の半分は藩士に取りたててくださりませと言うので、あい、わかった、賂の件は藩の、
為につこうているのは分かっておる、

しかし諸国巡察視を襲うとは許すわけにはいかんのじあと言うと、ハイ、うまく新井白石に乗せられました、あの板前は隠密で、わたしの手の者ではありません、こうなって、言い訳する、
のは、こころ苦しいですが、佐々木殿は一門とつるみ、公金横領を見逃しておりますと手口を話すと、まったく何と言う事じあ、みんなは小倉藩を潰したいのかなとため息をついたのです、
老中に隠さず話されれば何とかして下さるでしょうと言うので、

あのお方だ気づいておられるじあろう、キズは大丈夫かと聞くと、大丈夫にございます、利き腕は残してくだされた、ほかの者は肩を射抜かれましたが、大した事はありませぬ、これで、
失礼しますが、一門と勘定奉行にはお気をつれなされと言うと城を全員下がったのです、一門はこれを聞いて、そうか伊衛門は隠居したか、佐々木が死ねば邪魔者はいなくなるな、佐々木、
の容態はと聞くと、

明日への命も、おぼつかないと医師を言うていましたので、多分生き返らないでしょうと用人が言ったのです、小倉屋は御用達をはずされた、鳴海屋の番が来たようじあな、これでわしも、
儲かると言うわけじあと言うので、まさか老中は戻って来て暴くのではないでしょうねと言うと、一回仕置きしたのを変えるわけには行くまい、隠居は自分で言い出したそうだ、又佐々木、
の件にはわしは絡んでおらぬので大丈夫じあと笑ったのです、

宮本は、町奉行と郡奉行に、わしのお陰でお役ごめんに家禄半減になった、申し訳ないと言うと、ご家老いいのですよ、佐々木殿が復帰されればどうせそうなります、白石の口車に乗った、
のがまずかった、だけですと言うと、白石は許せぬ、必ず忠罰してみせると言うので、それをやれば幕府からきついお咎めがありますと言うので、わからないようにやるしかないじあろう、
幕府は病死と発表するだろう、

その後は老中と果し合いをしてあの世に行くと言うので、やはり、おやめくださりませぬかと言うと、剣客の家系じあ、ああ見事にやられては面子がないわい、なぜ首をはねられなかった、
のじあ、剣客は切り死にしか死ぬ方法はないのじあと酒を飲み干したのです、あの村雨と言う剣は恐ろしいですね、周りでみていましたが、後ろに回るのは見えませんでしたと言うので、
わしが見えなかったのに、

お前達に見えるはずがない、なんとも奇妙な剣じあな、多分わしの左から回ったのじあろうが、それにしてもあんなに早く移動できるりじあろうかと不思議な顔をしたので町奉行がみんな、
が何かに気を取られている隙に回ったのではと言うと、それが何であったか覚えておらぬのじあよと言ったのです、村雨と言うていたな、村雨とは瞬間の大雨のことじあが、雨は降って、
おらなんだ、

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