第57話

文字数 2,910文字


源三郎江戸日記(弟四部)57

霧も出ていなかったな分からぬといったのです、お前は何処にいたのじあと聞くと、郡奉行がご家老の右てに転がっていましたと言うので、まてよ何かを見たな、なんだと考えてそうか、
光じあ、あの時お日様は右上だったな、わしは左手に小太刀をもっておった、左は老中は刀で受けとめていたので、右から振り下ろしたのじあ、そうか、受けた刀でわしの目に光を当て、
たのじあ、

豪雨の時は一瞬前が見えなくなるそれにたとえた秘剣か、一瞬瞬きした隙に、わしの左から回り込んだのだ、お前はわしの右にいたので、わしの体で見えなかったのじあよ、しかし刀の、
光を正確に目に当てるとは恐れ入る技じあな、そういえば、切り合った時は必ず右手にお日様があったな、そうなるように位置を計算して切りあっていたのかまさに名人じあな、しかし、
お日様が出ていない時はどうするのじあ、秘剣と言うのじあから、

そんなときもめくらまし出来る方法があるのかと言うて、これはおもしろいと笑ったのです、良い人にでおうた、武蔵様も小次郎を倒すときは、刀ではなく船の櫂で木刀を作り、小次郎、
の刀より三寸長くして戦われたそうじあ、小次郎の刀は届かず武蔵様の刀は頭に届いて倒したと言う事じあが、剣は腕と修練だけでなく、頭を使うのだそうだ、そうか、それじあな老中、
の剣はそんな剣なのじあよ、

武蔵様が剣の道を忘れるなと言うておられるのかもしれぬ、老中はもう少し修練をつめと言われたな、わしは旅にでるぞ今まで修練した剣に知恵を工夫してみることにして、新しい技を、
作る事にしょうと言ったのです、2人がなんだかとても嬉しそうですね、昔のご家老に戻ったみたいですなと言うので、そうじあったな、父上を越そうと日夜修練していた頃が懐かしい、
なと言ったのです、

家老になった時は、剣なんて何の役にも立たないと思うていたが、そうではないのじあ、そこで止ったので佐々木や一門に勝てなかったのじあな、あ奴らはわしを怖いともなんとも思わ、
なくなったので、政もうまく行かなかったのじあ、それで、父上は家老なのに毎日竹刀を振っておられたのか、まわりはその気迫に押されて同調したのか、わしは、まだまだ修練が足り、
ないと見えると言ったのです、

郡奉行がそういえば我々は、鉄砲と炸裂弾に翻弄されたのです、しかも10人だと思うたら、20人以上が現れたので、浮き足だったのでした、あれは完全に戦でしたよと言うと、武蔵様も、
関が原に西軍として、参陣されたそうだが、まったく剣は役に立たなかったそうじあ、剣の強さに溺れると、戦場では何の役にも立たぬ、という事じあな、やはりただ者ではないな勝て、
る戦しかしないのじあよ、

まるで武蔵様みたいじあな、それがわかれば最後の奉公に一門に引導を渡そう、倅の恐ろしさをしらしめねばならぬ、幸い右手は使える、荒療治だが鳴海屋に押入り不正の証拠を手に入、
れようと言うと、私たちも同行しますと言うので、それはならぬ、失敗すれば打ち首じあ、そなた達は生き残り、殿を支えてくれと言うと、屋敷に帰り家人に事の経緯を話すと妻のりく、
が、

私たちの事は心配なさりますな、お家は粛々と退散するのみに御座います、倅の伊織に臆してはなりませぬぞと言ったのです、伊織と連れ立って鳴海屋に向かったのです、ノレンを潜る、
と、鳴海屋がこれは宮本様、隠居なされたそうで伊織様をつれての挨拶周りに御座いますかと聞くので、いや、お礼参りだと言うと、一門とつるんでの不正の数々いままでは一門に遠慮、
して何もしなかったが、

今日は査察に来たと言うと、家老を辞められたのに何の権限で査察されるのですかと言うと、伊織がわしが後を継いで家老となる文句はないであろうというと、無体なお調べは為になり、
ませんぞと言うので、伊織が刀を抜きしのこの言わずに蔵の鍵をあけろと言うと、出来ませぬと言うと、しれものと刀を振り下ろすと腰帯がすぱ~と切れ、わ~と言うと後ろにひっくり、
かえったのです、

いまのは脅しだ今度はその首はねるぞと言うと、命だけはと言うと鍵を差し出すので、伊織は番頭をつれて蔵に向かったのです、伊衛門は家にあがり主人の部屋に行き、一門と勘定奉行、
が公金横領している事はわかっておる、そなたに工事の見積もりを水増しして払ったように見せかけてつじつまを合わせている事もわかっておる、その書付を出すのじあと言ってて文庫、
を探すと、

知りませぬと言うので、ならばそなたの首をはねて、わしも腹をきればよいのじあ、覚悟しろと言って刀を振り上げると、お待ちくださいませ、渡しますどうぞこの首だけは勘弁くださ、
れと言って、その戸棚の奥にありますと言うので、引き出してみると木の箱があり、中を見ると正式の見積もりと水増しの見積もりとの差額の一覧表が出て来たのです、それを見ると、
去年だけでも、

2500両あります、月に200両くらい横領している事になります、他にも何かやっているのじあろうというと、藩の物産の船への積み込みの人足代金に普請の人足の代金のピンハネをやって、
いますと言うので、月いくらピンハネしているのじあと言うとおよそ200両くらいです、影光様と折半しています、これも勘定奉行様の差配に御座いますと言うので、その書付はと聞くと、
蔵の中に入っていますと言ったのです、

そうすると水増しでの儲けが年に1500両、ピンハネで年1200両しめて年2700両を不正に儲けているのか、少ないなまだあるじあろうと聞くと、後は藩にお貸ししている2万両の利息を2割、
にして貰っています、それで年間1000両余分に利がでます、これも勘定奉行差配ですと言うので、そなたが年3700両、影光様が年3700両、合わせて7400両の不正を働いている訳じあなと、
言うと、

ハイ、申し訳ありませぬと言うので、これではいくら切り詰めても借財が増える訳じあ、総額1万5千石に匹敵するではないかと言うと、ご家老様も小倉屋から相当な賂をもろうておられる、
と聞きましたがと言うので、そうか、わしがやっているので、一門もやっても良いと思うているのじあなと言うと、ハイ、影光様はいつもそういうておられますと言ったのです、伊織が、
蔵には5万両に、

人足のピンハネしている書付があります、月に200両近くで半分は影光様に渡しているようですと言ったのです、総てわかった、書付を持ち引き上げるぞ、これを明日殿にお渡しするのじあ、
と伊織に渡すと、伊織がわしは家禄半減になった、影光様も家禄半減にして貰う、そなたの蓄えた金は藩が没収する、勘定奉行も結託しているのでお役ごめんにしてもらうと影光様に伝えよ、
と言うと店を後にしたのです、

料理屋に入り伊織ようやったというと、日ごろなぜ父上は査察されないのか不思議に思うていました、政とは難しいので御座りますねと言うので、わしは藩財政を立て直すのに小倉屋に頼、
ったので、足をすくわれたのじあ、確かに年2千700両の賂を貰っていたが、その金は総て藩の為に使うておる、しかし不正は不正じあ、それに付け込まれたのじあ、政も剣の道と同じと言、
言う事を老中に教えてもろうた、

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