第5話

文字数 2,683文字


源三郎江戸日記(弟四部)5

ついでやると杯を重ねるので、まだ、安兵衛の屋敷には入らんのかと聞くと、わたしは堅苦しいのは苦手です、奥方様にお任せしてありますと言うので、そうか、自由にすれば良いなと、
言うと、まだ、芸者で稼げるのですと笑うので、安兵衛もいまや350石取りの旗本じあなと言うと、ハイ、段々安兵衛様に似て来ましたと言ったのです、ところで、先程瓦版の号外が出、
て町は大騒ぎですよ、

薩摩で金山が見つかったそうですが、本当ですかと言うので、本当じあよと言うと、それでは小判が沢山出回りますねと言うので、商人は慌てているじあろう、明日から物の値段が下が、
りはじめ、元の値段に落ち着くじあろうというと、殿の策なのでしょうと笑うので、余計な事をする馬鹿が幕閣にはいるんじあよと言うと、殿が老中になってもその馬鹿達はたましいが、
入らないのですかと言うので、

小判の金の含有量を増やして価値を上げるのは良い事じあが、金が沢山ないので、世の中に出回っている小判、銀貨かの量が減ると金が回らず物価は上昇するわけだ、又出回りすぎても、
小判の価格が下落して物の値段は上がるわけじあよ、世の中の懐具合で少しづつ貨幣を増やしていけば良いのじあが、その均等が難しいのじあよ、人の思惑で価値が変動するからのうと、
言ったのです、

その頃薩摩藩の江戸家老平田はこの瓦版を見て、これはまずいなと言うと、次席家老がなぜ串木野金山が分かったのでしょうか、隠密は厳しく取り締まっている、はずですがと言うので、
人の口に戸は立てられんのじあよ、開発しょうにも資金が無いので、そのままにしてあったのじあ、仕方ない、幕府に開発の願いを出すしかない、あそこを天領にされると、薩摩の実入、
は少なくなるが仕方ないと言ったのです、

早速若年寄りに開発願いを出すと、幕府からの使者が薩摩屋敷に来て、開発を許可する、開発と採掘は薩摩藩にまかせる、その開発資金として5万両を下げ渡す、産出とした金は半分幕府、
に納めればよい、残りの半分は薩摩藩の取り分として、幕府が買い上げる事とすると言うので、何と管理を薩摩藩にして半分を差し出せば良いのでござるか、又開発資金も下されると言、
うのかと聞くと、

開発資金が余れば薩摩が自由に使こうても良いとの上様のお達しである、薩摩は一切損はしないと言う事じあ、銀の産出も同じであると言うので、承知致しましたと言うと、すでに5万両、
はこの屋敷に持参した、受取られるが良いと言うので、上様にお礼言上に藩主が登城いたしますと平伏すると、以上伝えましたぞ、これで薩摩藩の台所も潤うじあろうと言うと、使者は、
かえっていったのです、

平田がなんと寛容な処置じあ、幕府の方針は大名取り潰しから変わったようじあな、あの村上源三郎の知恵じあな、さすがに一介の高鍋藩士から7万石の大名に出世するはずじあ、恐れ、
いったなと言うと、しかし間部と新井には気をつけねばならぬ、所詮木曽川の賦役は押し付けられるであろう、50万両はかかるはずだ、なんとしてもそれまでに蓄えをせねばならぬ、
それを知っているので、

源三郎がこのような策を上申したのじあろう、前回も助けてもろうたが、何の見返りももとめ無かったな、よく分からん御仁じあなと言うと、次席家老が木曽川の治水も上手く行く方法、
を知っているのですかねと言うので、知恵の回る御仁じあ、知っているのかもしれん、いざとなれば頼んでみるかと言ったのです、源三郎が言った通り、翌日から物価が下がり始めて、
一月足らずで元の価格に落ち着いたのです、

御座所に行くと家宣がさすがわ源三郎の知恵じあ、これで金銀の改鋳も上手くいくであろう、各藩からの金銀開発の願いも沢山出て来たそうじあ、越後の牧野藩は上越の春日山に少量、
ではあるが、金銀鉱脈が見つかったそうじあ、佐渡も新しい鉱脈がみつかり、後100年は採掘可能と言う事で、伊豆にも見つかったそうじあ、これで小判だけでなく金細工の金も用意、
が可能となり、

我が国の殖産も増えるであろう、ところで間部国内の殖産じあが、国産化は進んでいるのかと聞くと、それが、何処の大名も、尻込みしていまして、商人の手助けを進めており、銭屋、
にホタテの貝が沢山出るので、それで埋め立てをすれば良いのではないか、と言う事で進めております、又ガラス細工も進めていますが、職人の養成を、やっている処ですと言うので、

ホタテを使った埋め立て等おやめなされと言うと、なぜで御座るか、毎年大量に金沢では出るのですぞと言うので、貝は肝に毒が残ります、それを大量に海に放置しますと海が汚染さ、
れて、海産物が取れなくなり、漁業に甚大な被害がでます、やるなら貝柱を含めて肝を取り除かなければなりませぬ、牡蠣も同じでござるぞと言うと、白石がそれならなぜ牡蠣を食す、
るので御座るかと聞くので、

生牡蠣は3個以上食うと腹を壊します、一辺当たると、次からは一個食っても腹下しを起します、海にいる貝は砂から栄養素をとり含んだ海水をろ過して吐き出します、これは海の水を、
浄化するのには役立ちますので、貝が沢山いる海は綺麗なのですと言うと、それ位の物ならたいした事は御座らぬというと、銭屋は銭を失いますぞと言うと、何十万両も蓄えがあります、
多少の事では屋台骨は傾きませぬ、

貝柱と肝をとるように申し付けましょうと間部が言ったのです、まあ、やってみなされ、痛い目に会いますぞと言ったのです、白石が村上殿はことごとくそれがしの策に反対されますが、
何か遺恨でもと言うと、間違った事を正すのも老中の役目で御座る、他意は御座らぬというと、貝の事は何処で学ばれたのですかと聞くので、漁師なら誰でも知っています、牡蠣の産地、
で有名な安芸の国では、

誰も生牡蠣は食しませぬ、料理は総て焼くのですが、あれは美味いので生でも3個までなら大丈夫ですよと言うと、そうで御座るかと言うので、嘘か本当か漁師に尋ねなされと言ったので、
す、それでは九州の巡察に出掛けますので、暫くは出仕できませぬというと、家宣がご苦労な事じあな、出来れば琉球により、シナ、ルソン等の情報も仕入れて来てくれないかと言うの、
で、

そうで御座りますな、琉球にも寄ってきましょう、一年に一回琉球王に江戸に挨拶に来るようにしたらいかがですかと言うと、そうじあな、それで色々聞けばよいか、薩摩に言いつけよ、
う、そなたから話してくれと言ったのです、家宣が御座所を下がり、間部がご苦労に御座ります、幕閣はおまかせ下されと言うので、宜しく頼みますと言ったのです、間部と白石が出て、
行くと、

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