第20話

文字数 2,898文字


源三郎江戸日記(弟四部)20

わしが来る事は知っているはずじあ、顔を見せないと言う事は、何かを隠そうとしているのじあろう、琉球がガラス細工をやるとなると、必ず妨害するな引導を渡しておかないと、わしが、
帰った後で穴から出て来て、代官と悪さをしないとも限らぬと言ったのです、常正が代官の命令なので他の商人に卸すわけには行きませぬと言うので、多くの賂を代官に渡しているのじあ、
ろう、

次期に分かるぞと言ったのです、才蔵が戻って来て屋敷は厳重に警備しており、忍び込むのは無理です、蔵の周りには薩摩藩士、と琉球人の人足が固めています、と言うので、やはり何か、
あるな、無理に忍び込まぬでも良い、荷は何処にも運べぬであろう、強制査察をやるぞと言って、皆に支度をさせて旅籠を出たのです、店に行き河野覚兵衛はいるかと言うと、どちら様で、
と言うので、

諸国巡察視村上源三郎じあ戸を開けろと言うと、木戸を外したので中に入ると、河野覚兵衛で御座いますと言うので、抜荷の疑いで蔵を改めると言うと、ここは琉球です幕府の権限は及ば、
ないはずですがと言うので、これは薩摩藩の国家老のお墨付きじあ、そなたは薩摩の商人であろう、拒否する事はできぬ蔵に案内しろと言うと、どなたの命令でもお受けいたしかねますと、
言うので、

ならば実力で査察するまでだ、と庭に回ると、薩摩藩士20人が取り囲んだので、国家老の指示に逆らえば、切腹じあぞと言うと、やってしまえと覚兵衛が言うので、全員が刀を抜いたので、
叩き潰してやれと言うと、山形以下みんなが切りかかり、乱戦になったのです、しかしこちらは鎖帷子、篭手を装備しているので切れません、あっと言う間に10人が転がったのです、ばか、
め我々は戦支度しているのだ、

まだやるかと言うと、刀をしまい仲間を担いで屋敷を出て行ったのです、覚兵衛に刀を突きつけて、才蔵全部の蔵を空けて調べろと言うと、鍵を開けて飛びざると才蔵が中に入ったのです、
表は七衛門が固めている、山形鉄砲を持ち襲撃して来たら肩を射抜いてやれと言うと、承知と言うと屋敷を出て行ったのです、才蔵が蔵には南蛮品が詰まっています、後の二つは砂糖です、
もう一つは千両箱が50個程積んでありますと言うので、

禁制制品の阿片等はあるかと言うと、ありませんと言うので、覚兵衛抜荷が沢山あるがと言うと、どうぞお目こぼしをと言うので、素直にあければ目こぼしもしたが、巡察視を襲うとは、
許しがたい、お前は磔け獄門じあな、襲った薩摩藩士は切腹じあ、代官に毎月いか程賂を渡しているのじあと言うと、ハイ、200両で年に2400両にございますというので、他に渡してい、
るものはと聞くと、

いませんと言うので、琉球から安値で買い叩き大阪で商いしているのじあろう、薩摩藩にいくら納めているのじあと聞くと、一割ですと言うので、お前はいくら儲かるのじあと聞くと、
ハイ3割り程ですと言うので、一回あたりはと聞くと約5千両ですと言うので、年間6万両じあな、ここに5万両あるが、山川と大阪にはいくら蓄えているのじあと聞くと、ハイ、二箇所、
で12万両ですと言うので、

しめて18万両あるわけじあな、いくらあっても命がなくなれば意味がないじあろうと言うと、命だけはお助け下さいと言うので、ならばこの蔵にある金は総て差し出すか、山川と大阪、
のは勘弁してやる、これからは薩摩に1割り5分、琉球には5分を返すのじあ、お前の取り分は2割りに出来るかと聞くと、ハイ仰せのとおりにしますと言うので、抜荷は禁制品を扱わな、
いなら目こぼししてやる、

そのまま続けても良い、賂はそのまま続けよと言って、二度と幕府の役人に手出ししてはならぬと言うと、肝に銘じますというので、5万両の内3万両は、これから琉球王庁に運び込み、
幕府の寄進だと言うのだ後1万両は幕府の軍船に積み込むのだ、1万両は残しておいてやると言うと、覚兵衛が人足に命令して、大八車に積み込みそれぞれ運んでいったのです、どうや、
ら襲撃して来ないようじあなと言って、

言いつけを守り商いに精を出せ、約束を破ると磔獄門じあからなと言うと、必ず守りますと言ったので、屋敷を出ると、山形が恐れを抱いたみたいですねと言うので、それでは代官に、
会いに行くかと代官所に行き開門せよと言うと、門が開き代官が出て来て、薩摩藩士が無礼を働いたみたいで、申し訳御座らぬというので、諸国巡察視に逆らうとは不届き者じあと言、
うと、

全員が庭にひれ伏したので、毎月200両の賂をもろうているそうじあが、それを何に使うているのじあと聞くと、微禄の藩士の救済につこうていますと言うので、家老にも渡しているの、
かと聞くと、ハイ、200両の内150両を薩摩にいる藩士の救済に当てているそうです、ここにいる者の為に50両を頂いていますというので、私腹を肥やしていないのなら良いのじあ、賂、
は続けるように覚兵衛に言うておいた、

又薩摩藩には1割り五分の冥加金を払うように言うておいたぞと言うと、そうですか、かたじけのう御座ると言うので、取り分は薩摩が1割り5分、琉球が薩摩に2割じあが、覚兵衛が5分、
琉球に返すので薩摩は3割り5分が手に入る事になり、琉球も従来より5分儲かり、覚兵衛は2割りの儲けとなる、薩摩藩が一番儲かるわけだ、又抜荷は禁制品を扱わない限り目こぼしし、
てやると言って、

襲撃した藩士は、今回は特別に不問に付す、咎めだてしないで良い、怪我をした者は治療費は払ろうてやれと言うと、承知しました、寛大な処置に感謝しますと言うので、二度と幕府に、
逆らってはいかんぞと言うと、承知いたしましたと言ったのです、それでは琉球人を痛めつけるなよ、毎年上様に面談するのじあ、わかればきついお咎めがあるぞと言うと、肝に命じま、
すと言ったので、

それでは頼みましたぞと言うと、代官所を出て旅籠に戻り、飛猿と才蔵は交替で代官所を見張り、動きがあれば知らせよと言ったのです、代官がいいか決して手を出すなよ、あやうく、
全員切腹になる所だったぞ、抜荷は目こぼしする事になっておったのじあ、すなおに査察してもらえば良いものをと言うと、申し訳御座りません、覚兵衛殿がやれと言ったのですと言、
うので、

お前達はわしの命令以外は聞くなと怒ったのです、覚兵衛がやって来て、何とか命は助かりました、蔵にあった5万両のうち、4万両は没収されましたが、山川と大阪の12万両とここの、
1万両、13万両は目こぼししてもらいました、取り分が減りますが大丈夫です、賂も従来通り渡しますというので、いいつけを守った方が良いぞ、わしはこれ以上はかばえぬからのうと、
言うので、

承知しましたと言うと帰っていったのです、代官がしかし恐ろしい奴だな薩摩藩士20人が手も足もでないとはと言うと、あれ以上は向かえばみんな怪我をするところでしたと言ったので、
す、しかし、禁制品がなくて良かったよ、あれば、薩摩藩は改易になっていたかも知れぬと胸をなでおろしたのです、薩摩藩の取り分が増えたので良しとしょう、怪我したものには1両、
治療代を出してやるぞと10人に渡したのです、

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