第86話 三人の容疑者
文字数 1,729文字
数十分後、警察がPAに到着し、中に入っていく。
外のベンチで式たちを待っていた榊たちは、その光景を見ていた。
「警察が中に……。何かあったのでしょうか」
「もしかして事件かな?」
「気になるわね」
「私見てきます。お二人は待っていてください」
榊も警察の後を追って中に入った。
警察が到着した後、式たちは事件の概要について説明した。
式がずっと見張っていたため、現場には警察関係者以外誰一人入っていない。
それと同時に、監視カメラを調べてほしいことも頼んだ。
「あのカメラですね。確認してみましょう」
警察にが監視カメラの確認に行ったのと同時に、検死結果も出たようだ。
死亡推定時刻は死体発見時刻から一時間前の午後八時。死因はナイフによって胸部を突き刺されたことによる出血多量とのこと。
ナイフで心臓を一突きにされており、ほぼ即死だった模様。口の周りには唾液が付いていたことから、犯行時に口をふさがれていた可能性も高い。
口をふさいでいた理由としては、殺害時に悲鳴を上げられないようにするため、という見解がなされた。
現場も調査されたが、犯人特定につながるような情報はなかった。
鑑識いわく、現場となった個室のドアの指紋はすべて拭き取られていたようだ。
被害者の身元も判明した。
井島という名前で、IT企業に努めている20代の男だ。
彼は友人と旅をした帰りにこのPAにより、トイレで殺害されてしまったようだ。
井島と一緒にいた友人の男性から話を聞くことができたため、スムーズに事が運んだのだ。
「監視カメラの確認もとれました!」
監視カメラを確認したところ、犯人より後にトイレに出入りしていたのは三人であることがわかった。
警察はこの三人の行方を調べ始めた。
調査の結果、一人はこのPAで働く従業員で、後の二人は遠出の帰りに訪れていた客とのことだ。
それぞれ一人ずつ、事情を説明してトイレに入った順に話を聞く事ことにした。
「実は、こちらのトイレで男性が殺害されているのが発見されました。被害者がトイレに入った後、死体が発見されるまでの間にトイレに入ったのがあなたたち三人なので、これから個別にお話しを聞かせてください。では呼ばれた方からお願いします」
一人目は勝又という名の若い男で、先程触れた井島の友人だ。
「俺がトイレに入ったときは、個室はすべて開いていたぞ。あいつはそのうちの一番奥の個室に入って行った。用を足した後にふざけ半分でドアを揺さぶったら『長くなりそうだから待っていてくれ』と言われたから、俺は先に済ませてフードコートの席で待っていた。しばらく待っていたら、急に警察がやってきてあいつが死んだってことを知って……」
「被害者とは友人関係ということですが、何かトラブル等はありましたか?」
「そりゃ喧嘩をしたりなんかはあるけど、殺したいと思うほどのトラブルなんてないな。俺は犯人じゃないぞ」
二人目は松岡という男で、携帯会社に勤めているらしい。
「私がトイレに入ったときは、三つある個室全てが閉まっていましたね。そのうちの二つは『故障中』と書かれた紙が貼ってありましたよ。まあ私は個室を使う必要はなかったので、さほど気に留めていませんでしたが」
「被害者とは顔見知りですか?」
「いいえ、知りませんよ。見たことも聞いたこともないです。だから正直このような殺人事件に巻き込まれて迷惑しています」
三人目は森田という年老いた男性だ。
彼はこのPAで働く清掃員とのことだ。
「森田さん、あなたがトイレに入ったとき、個室はどのようになっていましたか?」
「え、何だって?」
「だから、トイレに行ったときに固執はどうなっていたのかを聴いているんです」
どうやら森田は年のせいか耳が遠く、会話をするのも一苦労だった。
「まいったな、これじゃ話にならないぞ」
「式くんどうだい。何かわかったかな?」
「うーん、わかったようなわからないような。まだまだ謎がたくさんありますね」
式は現場となったトイレをちらりとみて、
「もう一度現場を調査させてください」
と言った。
外のベンチで式たちを待っていた榊たちは、その光景を見ていた。
「警察が中に……。何かあったのでしょうか」
「もしかして事件かな?」
「気になるわね」
「私見てきます。お二人は待っていてください」
榊も警察の後を追って中に入った。
警察が到着した後、式たちは事件の概要について説明した。
式がずっと見張っていたため、現場には警察関係者以外誰一人入っていない。
それと同時に、監視カメラを調べてほしいことも頼んだ。
「あのカメラですね。確認してみましょう」
警察にが監視カメラの確認に行ったのと同時に、検死結果も出たようだ。
死亡推定時刻は死体発見時刻から一時間前の午後八時。死因はナイフによって胸部を突き刺されたことによる出血多量とのこと。
ナイフで心臓を一突きにされており、ほぼ即死だった模様。口の周りには唾液が付いていたことから、犯行時に口をふさがれていた可能性も高い。
口をふさいでいた理由としては、殺害時に悲鳴を上げられないようにするため、という見解がなされた。
現場も調査されたが、犯人特定につながるような情報はなかった。
鑑識いわく、現場となった個室のドアの指紋はすべて拭き取られていたようだ。
被害者の身元も判明した。
井島という名前で、IT企業に努めている20代の男だ。
彼は友人と旅をした帰りにこのPAにより、トイレで殺害されてしまったようだ。
井島と一緒にいた友人の男性から話を聞くことができたため、スムーズに事が運んだのだ。
「監視カメラの確認もとれました!」
監視カメラを確認したところ、犯人より後にトイレに出入りしていたのは三人であることがわかった。
警察はこの三人の行方を調べ始めた。
調査の結果、一人はこのPAで働く従業員で、後の二人は遠出の帰りに訪れていた客とのことだ。
それぞれ一人ずつ、事情を説明してトイレに入った順に話を聞く事ことにした。
「実は、こちらのトイレで男性が殺害されているのが発見されました。被害者がトイレに入った後、死体が発見されるまでの間にトイレに入ったのがあなたたち三人なので、これから個別にお話しを聞かせてください。では呼ばれた方からお願いします」
一人目は勝又という名の若い男で、先程触れた井島の友人だ。
「俺がトイレに入ったときは、個室はすべて開いていたぞ。あいつはそのうちの一番奥の個室に入って行った。用を足した後にふざけ半分でドアを揺さぶったら『長くなりそうだから待っていてくれ』と言われたから、俺は先に済ませてフードコートの席で待っていた。しばらく待っていたら、急に警察がやってきてあいつが死んだってことを知って……」
「被害者とは友人関係ということですが、何かトラブル等はありましたか?」
「そりゃ喧嘩をしたりなんかはあるけど、殺したいと思うほどのトラブルなんてないな。俺は犯人じゃないぞ」
二人目は松岡という男で、携帯会社に勤めているらしい。
「私がトイレに入ったときは、三つある個室全てが閉まっていましたね。そのうちの二つは『故障中』と書かれた紙が貼ってありましたよ。まあ私は個室を使う必要はなかったので、さほど気に留めていませんでしたが」
「被害者とは顔見知りですか?」
「いいえ、知りませんよ。見たことも聞いたこともないです。だから正直このような殺人事件に巻き込まれて迷惑しています」
三人目は森田という年老いた男性だ。
彼はこのPAで働く清掃員とのことだ。
「森田さん、あなたがトイレに入ったとき、個室はどのようになっていましたか?」
「え、何だって?」
「だから、トイレに行ったときに固執はどうなっていたのかを聴いているんです」
どうやら森田は年のせいか耳が遠く、会話をするのも一苦労だった。
「まいったな、これじゃ話にならないぞ」
「式くんどうだい。何かわかったかな?」
「うーん、わかったようなわからないような。まだまだ謎がたくさんありますね」
式は現場となったトイレをちらりとみて、
「もう一度現場を調査させてください」
と言った。