第119話 会合開始
文字数 1,476文字
「朝霞財閥って、あの……?」
朝霞財閥は、日本だけではなく世界で見ても五指に入るほどの一族だ。
日本やアメリカ、中国などをはじめ多数の国に大企業を構えており、世界中の経済に影響を与えている存在である。
元々はそこまで大きな存在ではなかったものの、先代の朝霞総司が業務を軌道に乗せ、そして当代の朝霞龍一郎が現在の財閥へと急成長させたのである。
「今回集まったやつらは、朝霞財閥の系列企業の重鎮たちだ」
「ということは子会社ってこと?」
「いや、孫会社ですらねえな」
龍吾曰く、今回集まった企業の重鎮たちは孫会社の孫会社の孫会社の……といった感じで正確な立ち位置はよくわかっていないらしい。
「まあはっきり言ってしまえば、こいつらの企業が潰れたとしても、朝霞財閥には大した影響はないってことだ」
「そ、そうなんだ……。でもそれならなんで龍吾がここに来たの?」
「親父は今のうちに朝霞財閥の仕事を任せる準備がしたいんだろう。そのために末端企業とはいえ企業の会合やら何やらを体験しておけ、って感じだな」
「ふーん、大変なんだね……」
普段から学校に来ないのも、御曹司としての仕事があるからなのだろうか。
龍吾に関する謎が一つ解けたものの、また一つ増えてしまった。
「他のやつらに準備をしておけと伝えてくれ。俺たちは部屋に行って荷物を置いてくる」
「かしこまりました」
龍吾は式を連れて客室に向かった。
「ところで、何で俺をここに呼んだんだ? 会社の会合っていうなら、俺なんかは何の役にも立たないけど」
「……予感がしたんだ」
「予感?」
「ああ。何かが起こる予感がな。何も起きなければそれでいいんだが、何かあったらお前に任せたいと思ってる」
「ちょっと、どういう意味!?」
式の疑問に対し、返答をしない龍吾。
「荷物を置いたらすぐに行くぞ。早く終わらせたいんでな」
「……わかった」
荷物を置き、再び広間へ。
先ほどもいたメンバーは、既に資料などを揃えて準備を完了していた。
「よし、早速始めるぞ」
式と龍吾も席に着き、会合が始まる。
「まずはお前たちの名前と会社の業種を知りたい。面倒だから、名前は姓だけでいいし、会社名は言わなくていい」
「……では私から。私は山上と申します。業種はITです」
若い風貌の男性が自己紹介をした。
「私は浦部と申します。業種はアパレルです」
年若い女性が答えた。
「次はこちらですね。名前は鈴木と言います。業種は不動産です」
40代ほどの男性が語った。
「私は近藤と言います。業種は飲食です」
近藤は30代ほどの男性のような風貌だ。
「倉野と申します。業種は印刷です」
「最後は私ですね。名前は中野と言って、業種は広告です」
倉野と中野は30代ほどの女性だ。
この二人だけは、他の四人とは違いスーツではなく、オフィスカジュアルで来ていた。
「そういえば、あなたの名前は……」
式は先ほど自分たちを出迎えた老紳士に尋ねる。
「私は本村と申します。龍吾様のお世話をさせていただいております」
「そうだったんですね」
「さて、まずは各々の会社の業績についてだが……」
龍吾の音頭で本格的な会合が始まった。
龍吾はテキパキと仕事をこなしているが、式は朝霞財閥の系列企業など知っているはずもなく、そもそも皆が何をしているのかもよくわかっていない。
(……俺、ここにいる意味あるかな?)
ぼーっと会合の様子を眺めつつ、式はそう思っていた。
朝霞財閥は、日本だけではなく世界で見ても五指に入るほどの一族だ。
日本やアメリカ、中国などをはじめ多数の国に大企業を構えており、世界中の経済に影響を与えている存在である。
元々はそこまで大きな存在ではなかったものの、先代の朝霞総司が業務を軌道に乗せ、そして当代の朝霞龍一郎が現在の財閥へと急成長させたのである。
「今回集まったやつらは、朝霞財閥の系列企業の重鎮たちだ」
「ということは子会社ってこと?」
「いや、孫会社ですらねえな」
龍吾曰く、今回集まった企業の重鎮たちは孫会社の孫会社の孫会社の……といった感じで正確な立ち位置はよくわかっていないらしい。
「まあはっきり言ってしまえば、こいつらの企業が潰れたとしても、朝霞財閥には大した影響はないってことだ」
「そ、そうなんだ……。でもそれならなんで龍吾がここに来たの?」
「親父は今のうちに朝霞財閥の仕事を任せる準備がしたいんだろう。そのために末端企業とはいえ企業の会合やら何やらを体験しておけ、って感じだな」
「ふーん、大変なんだね……」
普段から学校に来ないのも、御曹司としての仕事があるからなのだろうか。
龍吾に関する謎が一つ解けたものの、また一つ増えてしまった。
「他のやつらに準備をしておけと伝えてくれ。俺たちは部屋に行って荷物を置いてくる」
「かしこまりました」
龍吾は式を連れて客室に向かった。
「ところで、何で俺をここに呼んだんだ? 会社の会合っていうなら、俺なんかは何の役にも立たないけど」
「……予感がしたんだ」
「予感?」
「ああ。何かが起こる予感がな。何も起きなければそれでいいんだが、何かあったらお前に任せたいと思ってる」
「ちょっと、どういう意味!?」
式の疑問に対し、返答をしない龍吾。
「荷物を置いたらすぐに行くぞ。早く終わらせたいんでな」
「……わかった」
荷物を置き、再び広間へ。
先ほどもいたメンバーは、既に資料などを揃えて準備を完了していた。
「よし、早速始めるぞ」
式と龍吾も席に着き、会合が始まる。
「まずはお前たちの名前と会社の業種を知りたい。面倒だから、名前は姓だけでいいし、会社名は言わなくていい」
「……では私から。私は山上と申します。業種はITです」
若い風貌の男性が自己紹介をした。
「私は浦部と申します。業種はアパレルです」
年若い女性が答えた。
「次はこちらですね。名前は鈴木と言います。業種は不動産です」
40代ほどの男性が語った。
「私は近藤と言います。業種は飲食です」
近藤は30代ほどの男性のような風貌だ。
「倉野と申します。業種は印刷です」
「最後は私ですね。名前は中野と言って、業種は広告です」
倉野と中野は30代ほどの女性だ。
この二人だけは、他の四人とは違いスーツではなく、オフィスカジュアルで来ていた。
「そういえば、あなたの名前は……」
式は先ほど自分たちを出迎えた老紳士に尋ねる。
「私は本村と申します。龍吾様のお世話をさせていただいております」
「そうだったんですね」
「さて、まずは各々の会社の業績についてだが……」
龍吾の音頭で本格的な会合が始まった。
龍吾はテキパキと仕事をこなしているが、式は朝霞財閥の系列企業など知っているはずもなく、そもそも皆が何をしているのかもよくわかっていない。
(……俺、ここにいる意味あるかな?)
ぼーっと会合の様子を眺めつつ、式はそう思っていた。