第91話 犯行準備

文字数 825文字

 その日から、私は綿密に計画を練ることにした。
 人一人を殺害しようとするのだから、当然足が着かないようにしなければならない。
 被害者は母親で、加害者は浮気相手だ。
 幸い、浮気相手の住所は探偵から仕入れていた。これを上手く使わせてもらうことにする。
 動機は、浮気がバレそうになって別れを切りだされたらカッとなって殺害した、とでもしておこう。
 問題はどうやって殺害し、後始末をするかだ。
 犯人は浮気男しかあり得ない、という状況を作らなければならない。
 そのためには死亡推定時刻付近のアリバイをなくす必要がある。
 要するに、私が母を殺害しているときはあいつの行動を制限しておかなくてはならないのだ。
 不意をついて眠らせ、どこかに監禁しておくのが一番か。
 それとも……。

「ふー、どうしようかな」

 軽く伸びをすると、ふと部屋に置いてある鏡が視界に入った。

「いや、待てよ」

 必死に頭を回転させる。

「そうだ、こういう計画にしよう」

 ようやく計画がまとまってきた。
 後は必要なものを揃えるだけだ。

「えーと、必要なものは……」

 とりあえず思いついたものをリストアップしてみる。
 費用はこれまでの貯金で何とかなるものの、全て揃えるとなると結構時間がかかりそうだ。

「うーん、でも手に入りにくいものはないかな。これならホームセンターとか行けば揃えられそう」

 そう思った瞬間、あることに気づいた。

「あ、ホームセンターとかで買っちゃうと監視カメラとかでどこで買ったのかがバレちゃうかな」

 なるべく足がつかないようにしたい。
 それならネットで買うのがいいか。

「いや、日常的に使うものは店で買って、その他のものはネットで買えばいいか」

 ただ日常品を買うだけなら怪しまれないだろう。

「よし、じゃあ買いに行ってこよう」

 やるべきことはたくさんある。
 決行日を決めてそれまでに綿密な準備を行った。
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