第58話 現場調査と脱出
文字数 1,311文字
「なっ、なんだこれは!?」
大声を上げる式の方を向く朝霞龍吾。
「やっぱりお前だったか。何でこんなとこに……」
「いや、街中で君を見かけて、それで後を追って……」
「そうか……」
朝霞龍吾は死体に向き合う。
「なあ式、この死体をどう思う?」
「ど、どう思うって言われても。ってあれ? 俺の名前知ってたんだ」
「見ろ。この死体は四肢を切断されている上に、顔が潰されている。よほどの恨みや理由がない限り、こんな殺し方はしない」
「って無視かい……」
朝霞龍吾に言われて、式は死体を眺めた。
確かに彼の言う通り、死体は四肢が切断されていて、顔も表情どころか顔だちがわからないほどに潰されている。
「いろいろと調べたいが、そうもいかないみたいだな」
「え、どういうこと?」
「こいつを見な」
朝霞龍吾が指差した先には、長方形の箱があった。
「何だこれ」
「こいつは爆弾だ。俺がこの部屋に入ったときに起爆スイッチが作動した。タイマー表示を見てみると、後5分ほどで爆発するようになっている」
「爆弾だって!? どれくらいの威力なんだ?」
「さあな。まあこの部屋には数十個置いてあるから、それらすべてが爆発すればこんな廃墟なんざ一瞬で吹き飛ぶだろうな」
よく見てみると、部屋の壁一面に爆弾が仕掛けられていた。
「何とかできないのか。解除とか」
「無理だな。一つ解除するのに1分ほどかかる。すべてを解除するのは不可能だ」
「じゃあ、逃げなきゃ」
「その前にやることがある」
朝霞龍吾は携帯電話を取り出した。
「式、お前カメラ持ってないか?」
「カメラ? 携帯のアプリならあるけど」
「ならそれでいい。今からこの死体の写真を撮るんだ。爆弾があるせいで現場保存ができないから、なるべく写真を撮って後でそれを元に調査する。急げ!」
「わ、わかった」
言われるがままに、式は写真を撮影した。
死体の写真は朝霞龍吾が撮っているので、式は部屋の様子を撮影することにした。
部屋の床や壁、入り口から見た全体の風貌などを撮影していく。
「よし、これくらいでいいだろう。爆発するまで後1分もない」
「って、今から脱出しようにも間に合わなくないか!?」
「行儀よく階段から降りてりゃ間に合わないだろうな」
「じゃあどうすれば」
「簡単だ」
朝霞龍吾は窓に近づく。
窓の外にはベランダがあった。
「ここから飛び降りるんだよ」
「飛び降りるって、ここ五階だぞ!? 無理に決まって……」
「外を見な。ここから勢い付けて飛び降りれば、近くにある木にギリギリ届く。あれをクッションにすれば致命傷を受けることはないだろう」
「ま、まじか……」
爆発までもう30秒もない。
どうやら覚悟するしかないようだ。
「行くぞ!」
「う、うおおおおおおおお!」
式と朝霞龍吾は窓に向かって思い切り走り出す。
ベランダに出て柵を踏み台にし、勢いよく飛び降りた。
それと同時に、廃墟が爆発した。
式は爆発の衝撃と木に激突したショックを受ける。
「ぐっ……」
打ち所が悪かったのか、式の意識はそこで途切れた。
大声を上げる式の方を向く朝霞龍吾。
「やっぱりお前だったか。何でこんなとこに……」
「いや、街中で君を見かけて、それで後を追って……」
「そうか……」
朝霞龍吾は死体に向き合う。
「なあ式、この死体をどう思う?」
「ど、どう思うって言われても。ってあれ? 俺の名前知ってたんだ」
「見ろ。この死体は四肢を切断されている上に、顔が潰されている。よほどの恨みや理由がない限り、こんな殺し方はしない」
「って無視かい……」
朝霞龍吾に言われて、式は死体を眺めた。
確かに彼の言う通り、死体は四肢が切断されていて、顔も表情どころか顔だちがわからないほどに潰されている。
「いろいろと調べたいが、そうもいかないみたいだな」
「え、どういうこと?」
「こいつを見な」
朝霞龍吾が指差した先には、長方形の箱があった。
「何だこれ」
「こいつは爆弾だ。俺がこの部屋に入ったときに起爆スイッチが作動した。タイマー表示を見てみると、後5分ほどで爆発するようになっている」
「爆弾だって!? どれくらいの威力なんだ?」
「さあな。まあこの部屋には数十個置いてあるから、それらすべてが爆発すればこんな廃墟なんざ一瞬で吹き飛ぶだろうな」
よく見てみると、部屋の壁一面に爆弾が仕掛けられていた。
「何とかできないのか。解除とか」
「無理だな。一つ解除するのに1分ほどかかる。すべてを解除するのは不可能だ」
「じゃあ、逃げなきゃ」
「その前にやることがある」
朝霞龍吾は携帯電話を取り出した。
「式、お前カメラ持ってないか?」
「カメラ? 携帯のアプリならあるけど」
「ならそれでいい。今からこの死体の写真を撮るんだ。爆弾があるせいで現場保存ができないから、なるべく写真を撮って後でそれを元に調査する。急げ!」
「わ、わかった」
言われるがままに、式は写真を撮影した。
死体の写真は朝霞龍吾が撮っているので、式は部屋の様子を撮影することにした。
部屋の床や壁、入り口から見た全体の風貌などを撮影していく。
「よし、これくらいでいいだろう。爆発するまで後1分もない」
「って、今から脱出しようにも間に合わなくないか!?」
「行儀よく階段から降りてりゃ間に合わないだろうな」
「じゃあどうすれば」
「簡単だ」
朝霞龍吾は窓に近づく。
窓の外にはベランダがあった。
「ここから飛び降りるんだよ」
「飛び降りるって、ここ五階だぞ!? 無理に決まって……」
「外を見な。ここから勢い付けて飛び降りれば、近くにある木にギリギリ届く。あれをクッションにすれば致命傷を受けることはないだろう」
「ま、まじか……」
爆発までもう30秒もない。
どうやら覚悟するしかないようだ。
「行くぞ!」
「う、うおおおおおおおお!」
式と朝霞龍吾は窓に向かって思い切り走り出す。
ベランダに出て柵を踏み台にし、勢いよく飛び降りた。
それと同時に、廃墟が爆発した。
式は爆発の衝撃と木に激突したショックを受ける。
「ぐっ……」
打ち所が悪かったのか、式の意識はそこで途切れた。