第73話 暗号の答え

文字数 1,009文字

「うーん、ダメ。わかんないわ!」

 数分考えてみるが、答えは思い浮かばない。
 降参して北條は式から答えを聞き出すことにした。

「ねえ、答えは何なの?」
「この文の文頭と文末の言葉を見てみてください」
「えっと……」

 式に言われた通り、文頭と文末を見てみる。

「一行目は「り」と「は」、二行目は「は」と「と」、三行目は「と」と「る」、四行目は「る」と「た」、五行目は「た」と「え」ね」
「あ、これって……」
「そう、この文章はしりとり形式で書かれているんです」

 式は紙に書かれている文章を指差した。

「わざわざ馬が通れそうな道を「白馬が通る道」という表現にしたのは、少し無理やり感はあるけど、それは謎を解きやすくした配慮なのかもしれないですね」

 そう言いながら式は四文字の言葉をはめ込んでいく。
 最後の一文字をはめ終えた瞬間、地面が動き出して宝箱が出てきた。

「これが暗号に書かれていた宝ですね。北條さん、中を開けてみてください」
「ええ」

 恐る恐る宝箱を開けると、そこにはフィルムが入っていた。

「これは映画のフィルムね」
「これが宝なの? なんか拍子抜けな気が……」
「映像の中身が何なのかはわからないので、その中身次第ですね。北條さん映写機はないんですか?」
「そんなの、今は持ってないと思うけどなあ。昔はあったかもしれないけど」

 どうやって中身を見るのか、しばらく考え込む一同。

「そうだ、榊さんに頼んでみましょう。彼女なら何とかできるかもしれない」

 方法を思いついた式は、早速榊に電話をする。

『……事情はわかりましたが、一つ言いたいことがあります』
「え、何?」
『何故私を宝探しに誘ってくださらなかったのですか!? 私も探偵会のメンバーですのに』
「そ、それは……」

 北條から口止めされていたとは言えない。

「こ、これくらいの暗号なら俺一人で解けると思ってたから、榊さんを呼ぶ必要もなかったかなって思ったんだよ」
「……まあそういうことにしておきましょう。それよりもその映画のフィルムについてですが、明日学校に持ってきてください。明後日データを渡しますので」
「そんな早くできるの?」
「一晩頑張れば何とかなるでしょう」
「わかった。じゃあ明日持っていくよ」

 後は榊が映像を見れるようにしてくれるらしい。
 式たちは榊の仕事が終わるのを待つことにした。
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