第102話 紅葉と出会い
文字数 1,485文字
式たちメイド探偵会は、本日紅葉を見るために県外の山奥に来ていた。
事の発端は榊だ。
彼女がネットで見つけた紅葉の穴場スポットが県外にあるということで、季節の風物詩として休日に見に行こうと提案してきた。
丁度春崎も予定日はボランティア部の活動がなかったため、三人で見に行くことにしたのだ。
龍吾も誘おうとしたが、当然のように連絡がつかず、また佐倉も仕事が忙しいとのことでキャンセルになった。
そんなこんなで当日になり、朝早くに駅前に集合して現在到着したというわけだ。
「いやー、いい景色だね」
紅葉を見た式が感想を漏らす。
「うちの近くの木々も紅葉しているけど、やっぱり街中で見るよりもこうやって自然に囲まれた風景として見ると、また違った印象があるね」
「そうですね。やはり自然と一体化した方が紅葉も映えるということなのでしょうか」
春崎と榊は紅葉の写真を撮っている。
彼女たちはSNSをやっているので、個人的にアップロードするために撮影しているのだろう。
しばらく紅葉を眺めていた式たちだったが、榊が何かを見つけたようだ。
「あちらの方で人が集まっていますね。何かあるのでしょうか」
「もしかして、これ以上の絶景があるんじゃない? 行ってみようよ!」
「そうですね」
榊と春崎は駆け足で向かった。
「ちょっと、待ってよ二人とも」
式も必死に後を追う。
たどり着くと、そこには一人の女性を大勢の人間が囲って眺めていた。
その女性は優雅な舞を披露していた。どうやらこの人だかりは彼女の舞を見るためのものだったようだ。
「うわー、すごい美人」
「ええ。日本舞踊でしょうか」
榊たちが言うように、その女性は紅葉の絶景にも劣らぬほどの美人だった。
思わず式も見とれてしまうほどだ。
舞が終わると、見物していた人たちが一斉に拍手をする。
式たちもそれに呼応するかのように続く。
女性は軽く会釈をし、皆の前から立ち去る。
途中榊たちの前を通ると、彼女は二人を見て、
「あら、あなたたち学生さん?」
と尋ねた。
「は、はい、高校生です」
突然話しかけられた春崎が動揺しながらも返答する。
「もしかして、紅葉を見に来たの?」
「はい。先ほどまであちらの紅葉を見ていたのですが、こちらで人だかりを見かけたので、何事かと覗きにきたらあなたが舞を披露していたので……」
「そうだったの。見てくれてありがとうね」
女性は優しく微笑む。
「私は更科阿弥 。実はこの近くに別荘があって、今日はそっちに来ているの。別荘から見る紅葉の風景も素晴らしいものだから、よかったらあなたたちも一緒にどうかしら?」
「ええ? でもいきなりは……」
「遠慮しないで。もしよかったら来てくれると嬉しいんだけどな」
人の親切を無為にするのも気が引けるのか、榊と春崎は顔を見合わせた後、
「では、お言葉に甘えて」
と返答した。
「あ、実はもう一人男の子がいるんですけど、彼も一緒でいいですか?」
春崎が尋ねる。
「……ええ、大丈夫よ」
「よかったー。あ、私は春崎桃子って言います」
「私は榊刹那です。そしてこちらが式くんです」
「あ、ど、どうも」
式がいない間に話が進んでいたので、何が何やらわからない様子の式。
「式くん、今からこの更科さんの別荘に行くことになったんだ。そこから見える紅葉の景色がすごいんだって」
「へえ、そうなんだ。それは楽しみだな」
探偵会は更科に連れられ、別荘へと向かった。
事の発端は榊だ。
彼女がネットで見つけた紅葉の穴場スポットが県外にあるということで、季節の風物詩として休日に見に行こうと提案してきた。
丁度春崎も予定日はボランティア部の活動がなかったため、三人で見に行くことにしたのだ。
龍吾も誘おうとしたが、当然のように連絡がつかず、また佐倉も仕事が忙しいとのことでキャンセルになった。
そんなこんなで当日になり、朝早くに駅前に集合して現在到着したというわけだ。
「いやー、いい景色だね」
紅葉を見た式が感想を漏らす。
「うちの近くの木々も紅葉しているけど、やっぱり街中で見るよりもこうやって自然に囲まれた風景として見ると、また違った印象があるね」
「そうですね。やはり自然と一体化した方が紅葉も映えるということなのでしょうか」
春崎と榊は紅葉の写真を撮っている。
彼女たちはSNSをやっているので、個人的にアップロードするために撮影しているのだろう。
しばらく紅葉を眺めていた式たちだったが、榊が何かを見つけたようだ。
「あちらの方で人が集まっていますね。何かあるのでしょうか」
「もしかして、これ以上の絶景があるんじゃない? 行ってみようよ!」
「そうですね」
榊と春崎は駆け足で向かった。
「ちょっと、待ってよ二人とも」
式も必死に後を追う。
たどり着くと、そこには一人の女性を大勢の人間が囲って眺めていた。
その女性は優雅な舞を披露していた。どうやらこの人だかりは彼女の舞を見るためのものだったようだ。
「うわー、すごい美人」
「ええ。日本舞踊でしょうか」
榊たちが言うように、その女性は紅葉の絶景にも劣らぬほどの美人だった。
思わず式も見とれてしまうほどだ。
舞が終わると、見物していた人たちが一斉に拍手をする。
式たちもそれに呼応するかのように続く。
女性は軽く会釈をし、皆の前から立ち去る。
途中榊たちの前を通ると、彼女は二人を見て、
「あら、あなたたち学生さん?」
と尋ねた。
「は、はい、高校生です」
突然話しかけられた春崎が動揺しながらも返答する。
「もしかして、紅葉を見に来たの?」
「はい。先ほどまであちらの紅葉を見ていたのですが、こちらで人だかりを見かけたので、何事かと覗きにきたらあなたが舞を披露していたので……」
「そうだったの。見てくれてありがとうね」
女性は優しく微笑む。
「私は
「ええ? でもいきなりは……」
「遠慮しないで。もしよかったら来てくれると嬉しいんだけどな」
人の親切を無為にするのも気が引けるのか、榊と春崎は顔を見合わせた後、
「では、お言葉に甘えて」
と返答した。
「あ、実はもう一人男の子がいるんですけど、彼も一緒でいいですか?」
春崎が尋ねる。
「……ええ、大丈夫よ」
「よかったー。あ、私は春崎桃子って言います」
「私は榊刹那です。そしてこちらが式くんです」
「あ、ど、どうも」
式がいない間に話が進んでいたので、何が何やらわからない様子の式。
「式くん、今からこの更科さんの別荘に行くことになったんだ。そこから見える紅葉の景色がすごいんだって」
「へえ、そうなんだ。それは楽しみだな」
探偵会は更科に連れられ、別荘へと向かった。