第123話 『中央』

文字数 473文字

「あの時あなたは、悲鳴を上げてさも死体を見つけたかのように振舞っていたが、本当はあそこに死体なんかなかったんじゃないですか?」

 式が尋ねるが、返答はない。

「あなたが悲鳴を上げて俺たちの注意を引き付けている間に、もう一人が殺人を実行する。いわばあなたはおとり役だった。俺も龍吾もそれにまんまと引っかかってしまったんだ」
「それで俺たちが一階にいった隙に死体を片付け、この館から人がいなくなったように演じた。最後は俺たちも殺すつもりだったんだろう」
「正直、あの時点ではまだ疑いがあるだけだった。しかし本村さんがダイイングメッセージを残してくれていた。これがもしかしたら、という疑問を解決してくれる手助けをしたんだ」

 式はスマホを取り出し、ペイントツールを起動した。

「本村さんの部屋には、广にマと書かれた文字と、『今』という漢字と羊が二匹あった。まず最初の文字だけど、これは略字を表している。つまり『今』という漢字を略字に変換しろということだ。次に羊の意味だが、これは『今』という漢字から『二』を引け、という意味なんだ。そうすると、『
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