第108話 館で過ごす夜
文字数 1,374文字
続いて式は山中の元に向かった。
「式さん、聞いてますよー! なんでも、現役の探偵としてご活躍されているとか」
「いや、別に本物の探偵ではないんだけど……。あくまでも部活動としてやっているだけで」
「あ、でも榊さんに聞いたけど、一応正式な届け出は出しているらしいよ、うちの探偵会。警察に認可されているって」
「え!? 知らなかった……」
いつの間にそのようなものを出したのだろうか。
「というか、警察は高校生に探偵やらせていいのかよ……」
「さあ。隼人さんとかが口をきいてくれたんじゃないかなー」
「それで式さん、今度のドラマの参考にしたいんですけど、今までの探偵活動についていろいろ教えてください!」
「いろいろって言っても、何を話せばいいのか」
必死に頭を悩ませる式に、山中が助言をする。
「たとえば、事件に遭遇したときにどのような視点で物事を見るのか、とかです」
「そうだなあ、現場を見渡して不自然なところがあったらそこから考え始める、とかかな」
「なるほど、不自然なところというのはどのようなとこです?」
「うーん、よく考えたらこの状況はおかしい、みたいな感じかな。うまく説明できないや」
「わかりました。もう一つ聞きたいんですけど、推理力ってどうやって身に着けるんですかね?」
山中は目を光らせて式に尋ねる。
「参考になるかはわからないけど、日常のあらゆるものに対して『何故なのか』という疑問を持つことが大事なんじゃないかな。たとえば道端に落ちている石ころは、何でそこに落ちているのかって考えてみるとか」
「式くん、普段からそんなことを考えてたの?」
「いや、あくまでもたとえだってば。そこからどんどん思いついた考えに対して質問をするように考えていく。こんな感じかな」
「おおー、大変参考になりました!」
山中は今式が話したことをメモ帳に記した。
「でも、いきなり式さんのようにやるのは難しそうですね。だからもし私の周りで事件が起きたら、式さんが解決する姿を見せてくださいね!」
「はは、その機会があったらね」
「絶対ですよ! 約束です」
山中は式の小指を自分の小指と絡めた。
「あ、うん」
「はい、約束しました!」
嬉しそうに笑う山中。
式はこれほど積極的に異性に接せられた経験がほとんどないので、どう反応すればいいのかわからなかった。
「……式くん嬉しそうだね」
「き、気のせいじゃないかな」
そう答えるのが精いっぱいだった。
さらに時が進み、すっかり辺りは暗くなった。
「もう夜かー」
春崎が欠伸をしながら呟く。
「なんだか私、眠くなってきちゃった」
「俺も。この山に来るまでに結構歩いたし、疲れたのかな」
「少し早いですが、そろそろ眠りますか」
榊が時計を見ると、まだ八時を過ぎたばかりだった。
「すみません、私たち部屋に戻って寝ますね」
春崎が阿弥にそう告げると、
「わかったわ。お休みなさい」
と阿弥は返事した。
式は部屋に戻ると、すぐさまベッドに入った。
あまりにも眠くて、今すぐにでも意識が飛びそうだからだ。
(なんだろう、さすがに疲れただけでここまで眠くなるのはおかしい気が)
そう思いつつも、眠気には勝てずにそのまま眠りに落ちた。
「式さん、聞いてますよー! なんでも、現役の探偵としてご活躍されているとか」
「いや、別に本物の探偵ではないんだけど……。あくまでも部活動としてやっているだけで」
「あ、でも榊さんに聞いたけど、一応正式な届け出は出しているらしいよ、うちの探偵会。警察に認可されているって」
「え!? 知らなかった……」
いつの間にそのようなものを出したのだろうか。
「というか、警察は高校生に探偵やらせていいのかよ……」
「さあ。隼人さんとかが口をきいてくれたんじゃないかなー」
「それで式さん、今度のドラマの参考にしたいんですけど、今までの探偵活動についていろいろ教えてください!」
「いろいろって言っても、何を話せばいいのか」
必死に頭を悩ませる式に、山中が助言をする。
「たとえば、事件に遭遇したときにどのような視点で物事を見るのか、とかです」
「そうだなあ、現場を見渡して不自然なところがあったらそこから考え始める、とかかな」
「なるほど、不自然なところというのはどのようなとこです?」
「うーん、よく考えたらこの状況はおかしい、みたいな感じかな。うまく説明できないや」
「わかりました。もう一つ聞きたいんですけど、推理力ってどうやって身に着けるんですかね?」
山中は目を光らせて式に尋ねる。
「参考になるかはわからないけど、日常のあらゆるものに対して『何故なのか』という疑問を持つことが大事なんじゃないかな。たとえば道端に落ちている石ころは、何でそこに落ちているのかって考えてみるとか」
「式くん、普段からそんなことを考えてたの?」
「いや、あくまでもたとえだってば。そこからどんどん思いついた考えに対して質問をするように考えていく。こんな感じかな」
「おおー、大変参考になりました!」
山中は今式が話したことをメモ帳に記した。
「でも、いきなり式さんのようにやるのは難しそうですね。だからもし私の周りで事件が起きたら、式さんが解決する姿を見せてくださいね!」
「はは、その機会があったらね」
「絶対ですよ! 約束です」
山中は式の小指を自分の小指と絡めた。
「あ、うん」
「はい、約束しました!」
嬉しそうに笑う山中。
式はこれほど積極的に異性に接せられた経験がほとんどないので、どう反応すればいいのかわからなかった。
「……式くん嬉しそうだね」
「き、気のせいじゃないかな」
そう答えるのが精いっぱいだった。
さらに時が進み、すっかり辺りは暗くなった。
「もう夜かー」
春崎が欠伸をしながら呟く。
「なんだか私、眠くなってきちゃった」
「俺も。この山に来るまでに結構歩いたし、疲れたのかな」
「少し早いですが、そろそろ眠りますか」
榊が時計を見ると、まだ八時を過ぎたばかりだった。
「すみません、私たち部屋に戻って寝ますね」
春崎が阿弥にそう告げると、
「わかったわ。お休みなさい」
と阿弥は返事した。
式は部屋に戻ると、すぐさまベッドに入った。
あまりにも眠くて、今すぐにでも意識が飛びそうだからだ。
(なんだろう、さすがに疲れただけでここまで眠くなるのはおかしい気が)
そう思いつつも、眠気には勝てずにそのまま眠りに落ちた。