第101話 結末

文字数 821文字

「そ、そうか。通報時に伝えた窓の景色が不自然だったんだ……」

 式の話を黙って聞いていた綾乃が、膝から崩れ落ちて呟いた。

「はは……。何度も計画を練ったつもりだったのに、そんなことで簡単に崩壊するなんて」
「どんなに綿密に練ろうとも、自分では気づかない穴が必ずあるんですよ。あなたは被害者役を演じていたみたいですが、きちんとなりきっていなかったからこそ、こういった破綻が出てきたんです」

 式の言葉に、何も言い返すことができなかった。

「さあもう話は終わりました。隼人さんよろしくお願いします」
「ああ。では……」

 隼人が重隆に目配せをする。

「綾乃。お前がそんなに母さんのことを憎んでいたのを気づくことができなかった。もっと早く離婚を切り出していれば、こんなことには……」
「……違うよ、お父さん。仮に離婚していても、あの二人はのうのうと生きていたんでしょ。だったら結局私のやることは変わらなかったよ」
「……父さんは待っているぞ。罪を償ってまたやり直そう」

 その言葉を最後に、隼人たちはパトカーに乗った。



「そっか。浮気が原因で殺人をしちゃったんだね」

 翌日、事件を解決した式たちは事の顛末を探偵会のメンバーである春崎に話していた。

「人が人を殺す理由は、大抵が人間関係のほつれから来るものだからね。日々こういう事件が絶えないよ」
「今日は私も探偵会にいられるし、何か事件起きてないの? まあ起きない方がいいんだけどさ」
「一応来ていますよ。行方不明になった人を探してほしいという依頼があります」
「じゃあそれ解決しにいこう! たまには私も探偵会に貢献したいし」

 最近事件に関与していない春崎はやる気満々のようだ。

「そうですね。では返事をして……。近くの喫茶店で待ち合わせのようです」
「よし、じゃあレッツゴー!」
「あ、待ってよ二人とも」

 式たちは新たな事件を解決しに、本日も活動するのだった。
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