第120話 予感的中
文字数 1,435文字
数時間後、一先ず会合は終わりを告げた。
結局式は会合中何をするわけでもなく、ただぼーっと様子を見ていただけだった。
(か、かなり苦痛だったな……)
よく知らない企業がよくわからない話の内容をしているため、式にとっては無駄とも言える数時間だっただろう。
「ご苦労だったな、式」
龍吾が式の肩を叩いた。
「すぐで悪いが、さっさとここから出るぞ」
「なんで……あっそうか」
式は先ほど龍吾が言っていた言葉を思い出した。
そもそも龍吾が式をこの館に誘った理由は、今回の会合で何かが起こる予感がしたからだ。
幸い会合自体は無事に終わったものの、これから何が起こるかはわからない。
だから今のうちに帰っておこう、ということだ。
「おい、早速車を出してくれ」
龍吾が本村に指示をする。
「龍吾様。それが……」
本村は龍吾に耳打ちをすると、
「何、本当か?」
それを聞いた龍吾は急いで外へと向かった。
「どうしたんだ?」
式も後を追いながら尋ねる。
「本村の車のタイヤがパンクしているらしい。だがこの館に来たときには何の異変もなかったようだ」
「それって……」
「……とりあえず確かめるぞ」
駐車場に着いた二人は、本村の車を調べ始めた。
龍吾がタイヤを確認すると、あることに気づく。
「……どうやら悪い予感は当たってしまったようだな」
タイヤには、明らかに人の手によってパンクさせられた跡があった。
念のため他の車も調べてみると、すべてが同じような状態になっていた。
「全部やられてるな」
「ど、どういうことなんだ?」
「……とにかく全員集めるぞ」
龍吾は本村に指示をし、全員を広場に集めた。
そして事情を説明すると、それぞれが顔を青ざめるなどの反応を見せる。
「幸い電話は通じるようだ。一応俺の家にいる使用人に連絡をして迎えをよこすように言うが、それでも到着は早くて2時間後くらいだな」
「まあ、それぐらいだったら全然待てますけど」
「そもそも、そんなに急がずとも今日はここに泊まってもいいのでは?」
倉野が提案する。
「ここは館なわけだし、一応全員分の客室も用意してあります。一日くらいここに泊まっても予定が狂うということはないと思いますが」
「確かにそうだな」
偶然なのか、全員翌日のスケジュールには空きがあった。
「だから、ここに泊まるというのも悪くないのでは……」
「何をボケたことを言ってやがる」
この館に泊まるという意見が決まりかけたその時、龍吾が反論する。
「忘れたのか。そもそも俺たちの車がパンクしたのは、誰かが意図的にパンクさせたからだ。つまりこの館にいる誰かがやった可能性が非常に高い。そんな奴が一緒にいるというのに、呑気にこんな館に泊まってられるか。それでも泊まりたいというなら自己責任だ」
龍吾の意見に、誰も反論しなかった。
「……とりあえず今から連絡するから、お前らは全員客室で待機していろ。間違っても変な行動はするなよ」
龍吾は携帯から自宅へ電話をかける。
「ルカ、至急この館に迎えをよこしてくれ。できるだけ早くだ。大勢乗れる車がいい。到着したら連絡してくれ」
それだけを伝えて通話を切る。
「よし、全員客室へ戻れ。誰も部屋から出るな。誰かが部屋を尋ねてきたらその時点で俺に連絡しろ。いいな」
龍吾は念入りにくぎを刺し、全員を解散させた。
結局式は会合中何をするわけでもなく、ただぼーっと様子を見ていただけだった。
(か、かなり苦痛だったな……)
よく知らない企業がよくわからない話の内容をしているため、式にとっては無駄とも言える数時間だっただろう。
「ご苦労だったな、式」
龍吾が式の肩を叩いた。
「すぐで悪いが、さっさとここから出るぞ」
「なんで……あっそうか」
式は先ほど龍吾が言っていた言葉を思い出した。
そもそも龍吾が式をこの館に誘った理由は、今回の会合で何かが起こる予感がしたからだ。
幸い会合自体は無事に終わったものの、これから何が起こるかはわからない。
だから今のうちに帰っておこう、ということだ。
「おい、早速車を出してくれ」
龍吾が本村に指示をする。
「龍吾様。それが……」
本村は龍吾に耳打ちをすると、
「何、本当か?」
それを聞いた龍吾は急いで外へと向かった。
「どうしたんだ?」
式も後を追いながら尋ねる。
「本村の車のタイヤがパンクしているらしい。だがこの館に来たときには何の異変もなかったようだ」
「それって……」
「……とりあえず確かめるぞ」
駐車場に着いた二人は、本村の車を調べ始めた。
龍吾がタイヤを確認すると、あることに気づく。
「……どうやら悪い予感は当たってしまったようだな」
タイヤには、明らかに人の手によってパンクさせられた跡があった。
念のため他の車も調べてみると、すべてが同じような状態になっていた。
「全部やられてるな」
「ど、どういうことなんだ?」
「……とにかく全員集めるぞ」
龍吾は本村に指示をし、全員を広場に集めた。
そして事情を説明すると、それぞれが顔を青ざめるなどの反応を見せる。
「幸い電話は通じるようだ。一応俺の家にいる使用人に連絡をして迎えをよこすように言うが、それでも到着は早くて2時間後くらいだな」
「まあ、それぐらいだったら全然待てますけど」
「そもそも、そんなに急がずとも今日はここに泊まってもいいのでは?」
倉野が提案する。
「ここは館なわけだし、一応全員分の客室も用意してあります。一日くらいここに泊まっても予定が狂うということはないと思いますが」
「確かにそうだな」
偶然なのか、全員翌日のスケジュールには空きがあった。
「だから、ここに泊まるというのも悪くないのでは……」
「何をボケたことを言ってやがる」
この館に泊まるという意見が決まりかけたその時、龍吾が反論する。
「忘れたのか。そもそも俺たちの車がパンクしたのは、誰かが意図的にパンクさせたからだ。つまりこの館にいる誰かがやった可能性が非常に高い。そんな奴が一緒にいるというのに、呑気にこんな館に泊まってられるか。それでも泊まりたいというなら自己責任だ」
龍吾の意見に、誰も反論しなかった。
「……とりあえず今から連絡するから、お前らは全員客室で待機していろ。間違っても変な行動はするなよ」
龍吾は携帯から自宅へ電話をかける。
「ルカ、至急この館に迎えをよこしてくれ。できるだけ早くだ。大勢乗れる車がいい。到着したら連絡してくれ」
それだけを伝えて通話を切る。
「よし、全員客室へ戻れ。誰も部屋から出るな。誰かが部屋を尋ねてきたらその時点で俺に連絡しろ。いいな」
龍吾は念入りにくぎを刺し、全員を解散させた。