バックヤード(備忘録、背景資料、リンクなど)1 (2021-2-27)

文字数 2,672文字

 背景資料のリンクや抄訳などを、思いついた時に(おもに自分自身の備忘録として)Twitter(@Yui_BlackFox)に流していますが、古いものを遡るのが手間になってきたので、とりあえずここにまとめておきます。

 物語の設定資料ではなく、歴史や思想的な背景資料、お気に入りの引用などです。似たようなことに興味のある人には、参考になるものもあるかもしれません。

 ソースは英語多し。英語ソースの翻訳は、とくに記載がない限り自分で訳しています。


★ 歴史と思想

ハワイの歴史について(英語ウィキペディア)
https://en.wikipedia.org/wiki/Hula
「アメリカによるハワイ王室の転覆直後、1896年に制定された法律は、学校でハワイ語を使用することを禁じた。この法律と、より一般的なハワイの社会、政治、言語の自立性への侵害の結果、ハワイ語はほとんど絶滅しかけた」

フラの歴史について(英語ウィキペディア)
https://en.wikipedia.org/wiki/Hula
「1820年にハワイに入ったアメリカのプロテスタント宣教師らは、フラを異教の名残りである異教徒の踊りと非難し、改宗した王族や貴族はフラを禁止するよう求められた。1830年にはフラを公に演ずることが禁止された」
「 キリスト教の流布を含むアメリカ化の結果、多くの伝統的なフラのチャントは異教的と見なされるようになり、最終的に忘却された 」

魔女狩り関連のメモ(英語ウィキペディア)
https://en.wikipedia.org/wiki/Witchcraft_Act_1735
 英国で1735年に制定された魔法(witchcraft)に関する法案「いかなる人間にも魔術的な力があると主張することを違法とする」。1951年まで施行。最後に有罪となり刑務所に送られたのはスピリチュアリストの霊媒ジェーン・レベッカ・ヨークで、1944年のこと。

メモ
 年末に、ニューヨークタイムス・ベストセラー作家キャサリン・カーツの第二次大戦を背景にした小説『Lammas Night』を読んだ。ヒトラーの後ろにゲルマン騎士団系のトゥーレ・ゲゼルシャフトがあり、総統お抱えの魔術師や占星術師がいたというのは歴史的に有名な話だが、ヒトラーとナチスがドイツ中の名の知られた魔術師をリクルートして、従わない者は収容所に放り込んだこととか、フリーメーソンを弾圧した史実まで、よく調べて書いてる。
 主人公(スコットランド系)は第二次大戦中のイギリス陸軍の将校で、有能な魔術師なのだが、つねに「自分が魔術に関わっていることがばれたら、すべてがお終いだ」と不安に思っていて、それが彼の行動にも大きな影響を与えている。魔女狩りやキリスト教による異教弾圧を経験していない日本では「大げさ」と感じるかもしれないが、イギリスでは大戦後の1951年まで、いわゆる魔女狩り法が施行されていたことを知ると、主人公の心理がわかってくる。


★ お気に入りの引用

「より高い智恵の力を生きるなら、人は星よりも優れている。自己の意志を手段として天と地を支配する者は賢者・魔術師(マギ)であり、その[魔]術は魔法ではなく、最上の智恵である」 パラケルスス

「魔術は悟りへの道である」 ロン・マイロ・デュケット、(東方聖堂騎士団アメリカ副総監)

錬金術(アルケミー)化学(ケミストリー)を生み、物理学は魔術に到る。魔術とは、物理学の高い形だ」 リチャード・アラン・ミラー(アメリカ海軍特殊部隊の訓練に携わった物理学者)

「エジプト人は知識について直接語ることをせず、それを芸術や彫刻に組み込んで、その効果が感情に働きかけるようにした」 ジョン・アンソニー・ウェスト

「最初に経験が存在し、次に伝承が生まれるのだ。その逆ではない」 ピーター・ルヴェンダ

「言葉を愛せ」「何が人気が出そうかではなく、自分が一番情熱的に書きたいと感じるものを書け」「書くことを決して止めてしまうな。才能と職人気質、それと同じくらい重要なものは忍耐だ」 ディーン・クンツ

「わたしは現実と折りあうべきだ。だが、一度も折りあったことはない。SFとはそういうものなんだ」 フィリップ・K・ディック(浅倉久志訳)

「人はみな夢を見る。だが同じようにではない。夜に埃にまみれた心の隅で夢を見る者は、昼に目を覚ましそれが幻だと知る。しかし昼に夢を見るのは危険な者らだ。 彼らは目を開けたまま自分の夢を実行に移し、実現しようとするかもしれないから」  T・E・ロレンス

「わたしの考え、感情、希望、夢を伝えるためにもわたしは書く」 ディーン・クンツ

「言葉は出来事(イヴェント)です。それは何かをなしたり、変化させます。それは語り手と聞き手を変容させます。それはエネルギーを行き来させ、拡大します。それは理解や感情を行き来させ、拡大するのです」 アーシュラ・K・ル・グイン

「心は現実のプロセスにおける共同創造者であり、それを言語化の行為を通して行う」「歴史とは人類の集合意識が見る夢だ」 テレンス・マッケンナ

「すべてがうまくおさまったなら、それで物語は終わりだ。うまくいってないなら、物語は続くということだ」 リチャード・アラン・ミラー

「アルケミストの実験室とは、アルケミスト自身の人格にほかならない。作業を行うための秘密の器とは、自らの肉体の器官であり、それは相同するアストラル体とエーテル体の器官を含む。……アルケミストが作業のために用いる火は、普通の火ではない。それは人間という生命に顕現するところの火の本質である」 ポール・フォスター・ケイス

「プラトンは後回しでいい。ヘルメティカを先に訳してくれ」 コジモ・ディ・メディチ

「魔術を実践できるためには、神の存在についての揺るぎない確信が必要だ」 W・E・バトラー(未発表の遺稿から)


★ 作画関連

 天野喜孝がどんな画材を使ってるいのかを調べていて見つけた。カブラペン、筆、水溶きのアクリル絵の具。よいなあ。
YouTube「Yoshitaka Amano - his universe, on paper(紙の上 天野喜孝の宇宙)」
https://youtu.be/PJEPhBL77lk

メモ
 デジタル作画は絵を描く過程で、実際の顔料と関わりを持たない。
 良質な絵の具は今でも自然の鉱物系で、油絵も水彩も基本的にアルケミーの作業。
 昔チベットのタンカ絵師の人の作業場に入れてもらった時には、鉱物をすり鉢ですりつぶして顔料を作っていた。青は本物のラピスラズリ。朱色は辰砂(硫化水銀)。
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登場人物紹介

セレスティン

ホノルルで大学に通う。

動物、植物、あらゆる生き物と星が好き。ダイビングが趣味。

ルシアスとの出会いをきっかけに、世間で「魔術」と呼ばれているものを学ぶ道に導かれていく。

ルシアス

もと海軍の情報士官で、ニューヨークの白魔術教団のメンバー。

訳があって軍を退役し、教団を去ってホノルルに移り住んできた。

彼のまわりでは風が生き物のように不思議な振舞いをする。

テロン

海軍の特殊部隊出身で、もと白魔術教団のオフィサー。

ルシアスの友人で、アメリカ本土から彼を追いかけてきた。

マリー

山の上に隠棲し、植物を育てながら薬草やアルケミーの研究をしている女性。

以前はニューヨークでユング派の心理療法家をしていた。

鳥の羽に導かれてセレスティンと知りあう。


エステラ

ニューヨークに住む、白魔術教団のオフィサーで占星学者。

ルシアスとテロンと親しいが、強面のテロンに「俺もルシアスも頭が上がらない」と言わせる女性。

ガブリエル・ジレ

ニューヨークにある白魔術教団のメンバー。

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