第65話

文字数 343文字

 そのつづき。
 宙を泳ぐ透明人間の私という設定は変わらず、だが私は高校生で、しかも、死んでいるらしい。

 今度は四、五人いる相手をまかなければならない。
 私の死に驚き悲しんでいる人々とともに町の通りを下る、私だけ宙を泳いで。

 部屋に入ると私の長男と次女が悲しんでいる。
 私、高校生なのに、同い年くらいの子どもらの親だ。

 いつ名乗り出たものか?

 あちこちにビルの割れ目。
 直す手配をせねばと考えてしまう。私はこの町の名士なのか?

 とにかく通りを泳いで下る。
 空き瓶空き缶の回収のトラックが行ってしまった(これは現実)。
 次女にだけ私が見えるらしい。
 それがテルちゃんで、私たちは抱きあう……


※テルちゃんは舞台女優で、私の主宰する演劇ユニット、シアターユニット・サラの創立メンバーの一人です。

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み