第60話

文字数 282文字

 昨日の夢。
 よく夢に出てくる洋館。私は一人で住んでいる。
 それとも、誰かの留守番を引きうけたのだろうか。

 白い木造の、表にテラスのある玄関の内側。
 半透明の模様ガラスの嵌めこまれた下に、新聞用のスリットがある。奇妙に幅が広い。

 そこに、新聞ではなく、小さなハードカバーの本が押しこまれてくる。
 まず紺の布表紙。つづいて色とりどりに何冊も。
 他に誰もいないから、私が受けとるしかない。

 きゅうに時間が巻き戻され、その本を製本している工場。
 広く黒々した屋根の下、真澄さんも私も製本職人の見習いらしく、肘あてのついた作業着を着て、いそがしく立ち働いている。

 何の本?

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