第99話

文字数 457文字

 続いて、まったくちがう夢が始まり、マイクやアンプ用の黒いコードが何本も床を這っている舞台。

 Sさんが奥さんのYさんを連れてきて、二人ともしれっとスタンバイしている。私はSさんしか呼んでいないのに。
 私がトイピアノを弾いてSさんにバックアップしてもらうはずの箇所で、Yさんが勝手にピアノを弾いて、しかもほとんど飛ばして最初と最後の2小節だけつなげて弾いてしまって、さっさといなくなる。

 私、あっけにとられて、Sさんを呼びだし、縦長の窓のある壁のところで激しくなじる。こういうことをされては困る、と。
 Sさんはばつが悪そうにしばらく聞いていたけれど、そのうち
「彼女を連れていっていいですかとメールしたのに返事がなかったからだ」
などと、開きなおって反論しだす。

 メールした、しないの押し問答の末に、Sさんは
「お客さまが待っているから」
と持ち場に戻っていく。私、釈然としない。

 Yさんが笑いながら言い訳する。
 その顔、Yさんではない。誰?

 遠い橋に夕陽が美しい。


※最後の一行が唐突ですが、起きてすぐ書いたメモのままです。

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