第69話
文字数 784文字
今朝の夢。
真澄さんと下北沢で待ち合わせ、のはずなのに、きゅうに私、立って何かを探しに行く。
坂を上って下りて、途中で、閉店してがらんどうの店を見て、いそいで戻ろうとして近道を見つけ、得意げに戻るけれどその間、真澄さんを待たせっぱなしだった。
真澄さんは帽子のつばを下げて、小さな木の椅子で静かにお酒を飲んでいた。あきらかに、がまんしてくれている。
私、まず陽気に「ここへ出てくるのね! やっと道がわかった」と言い、それから深刻そうに「ミニヨンさん閉店しちゃったの」と言うのだけれども、真澄さんは静かに「そうだね」と返すだけ。ああ、すごくがまんしている証拠。
私、「ミニヨンさんが閉店して、○○(不明)も閉店して、(荻窪は)お茶を飲むお店がなくなっちゃったね」だの、「ここの角で下北沢と(荻窪は)つながってるのね」などと言ったりして、言いながら、へんだな、と思っている。
そして半ば本気、半ば真澄さんの歓心を買おうとして、「私ここに住めばよかったな! いまから住もうかな?」などと言いだし、真澄さんとうとう笑って立ちあがり、二人で歩きだす。
私は閉店したミニヨンさんを見せるつもりだったらしいけれど、着いたのは、ミニヨンさんとは似ても似つかない、まん中に通路のある、吹きさらしの、ベニヤ板の引き出しが積みかさなったふしぎな物件。
さらにおかしなことにこの店も街角も坂も、実在しない、下北沢でも荻窪でもない。なのに、前に夢で見たことがある、とくに坂は。たしかに。
さてここで質問。この夢が始まってから今までに、起きた殺人の数は?
もちろんゼロ、と言いたいところだが、ハムレットはすでにポローニアスを殺している。
オーケストラの伴奏が始まっている……
※2023年3月現在、荻窪の名曲喫茶ミニヨンは健在です。創業1961年。
※最後の段落は、起きてすぐ書いたメモのままです。
真澄さんと下北沢で待ち合わせ、のはずなのに、きゅうに私、立って何かを探しに行く。
坂を上って下りて、途中で、閉店してがらんどうの店を見て、いそいで戻ろうとして近道を見つけ、得意げに戻るけれどその間、真澄さんを待たせっぱなしだった。
真澄さんは帽子のつばを下げて、小さな木の椅子で静かにお酒を飲んでいた。あきらかに、がまんしてくれている。
私、まず陽気に「ここへ出てくるのね! やっと道がわかった」と言い、それから深刻そうに「ミニヨンさん閉店しちゃったの」と言うのだけれども、真澄さんは静かに「そうだね」と返すだけ。ああ、すごくがまんしている証拠。
私、「ミニヨンさんが閉店して、○○(不明)も閉店して、(荻窪は)お茶を飲むお店がなくなっちゃったね」だの、「ここの角で下北沢と(荻窪は)つながってるのね」などと言ったりして、言いながら、へんだな、と思っている。
そして半ば本気、半ば真澄さんの歓心を買おうとして、「私ここに住めばよかったな! いまから住もうかな?」などと言いだし、真澄さんとうとう笑って立ちあがり、二人で歩きだす。
私は閉店したミニヨンさんを見せるつもりだったらしいけれど、着いたのは、ミニヨンさんとは似ても似つかない、まん中に通路のある、吹きさらしの、ベニヤ板の引き出しが積みかさなったふしぎな物件。
さらにおかしなことにこの店も街角も坂も、実在しない、下北沢でも荻窪でもない。なのに、前に夢で見たことがある、とくに坂は。たしかに。
さてここで質問。この夢が始まってから今までに、起きた殺人の数は?
もちろんゼロ、と言いたいところだが、ハムレットはすでにポローニアスを殺している。
オーケストラの伴奏が始まっている……
※2023年3月現在、荻窪の名曲喫茶ミニヨンは健在です。創業1961年。
※最後の段落は、起きてすぐ書いたメモのままです。