第92話

文字数 976文字

 今朝の夢。

 山寺にみんなで泊まりに行く。
 ケーブルカーで昇りながら、誰かが「ここで映画を撮るといいね」などと言い出すので、私、「それは段階をふんで住職に頼まないと」などと説得する。ちょっとえらそう。

 宿の前にたっぷりと湧き水が流れていて、水も澄みきっている。
 私、大喜びで走っていって、口をすすげる所を探す。
 両親もついてきていて、父も母も靴が濡れてしまっていて、私は気になる。
 母は花を摘む。百合など。

 宿に戻る。
 私は一人部屋のはずなのに、部屋はずいぶん広くて、流し素麺のような大きな装置がある。
 くだものを流して遊ぶらしい。

 桃が一ダースくらいゆっくり流れてきて、
 ひとつを選ばないとどれも取れないというフランスのゲームだ、と言われて(誰に)、まごまごしていると、
 本当に、まだ少し青いけれどもみごとに大きな桃たちが、押しあいへしあいしながら消えていく。

 いつのまにか弟が来ている。
「次はどのゲームにする?」
などと二人ではしゃいでいると、

 他の宿泊客(みんな外国人らしい)の一人に廊下に呼び出され、アメリカ人のデイヴィッドさんが怒っているから謝ってこいと言われる。
 言っているのは細身で黒髪の、和服をへんなふうに着た気取った若者。

 ちょっとかちんと来ながらも、デイヴィッドさんの部屋へいそぐと、頭の薄い、やせた眼鏡の中年男性。
 きゅうに、さっきこの人に「五時になったら静かにしてね」と言われたことを思い出す。

 私、しんみょうに謝ろうとすると、向こうがにこにこして椅子をすすめてくれて、
(デイヴィッドさんの部屋はいわゆるスイートらしく、和室なのに、黒光りする小さめの椅子のダイニングセットなどあるのだ、)

 わけを話しなさいと言われるので、
「子どもの頃は夕食のとき、静かにするよういつも言われていた」
と言うと、もちろんデイヴィッドさん意外な顔をする。そこへ重ねて
「しかし、ひさしぶりに弟と会って嬉しくて、ついはしゃいでしまったのだ」
と半分でたらめを、気持ちをこめて言う。
 デイヴィッドさんはいい人で、私の口から出まかせを信じて、許してくれる。

 さて、このままだと夕食を食べそこねるから、私いそいで部屋に戻る。
 でも想像している夕食、なぜかシロップのたっぷりかかったパンケーキ。
 山寺なのに?
 夕食なのに。


※デイヴィッドさんという知り合いはいません。

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