第56話

文字数 728文字

 今朝の夢。
 林間学校のような所に来ている。私は生徒なのか、先生なのか?

 緑の中に遊具、実家近くの公園にも似ているけれど、もっと広く、砂場もある。
 朝食の席、これはほとんど実家。
 新聞に政府の破廉恥な声明。読むとBGMのように新聞からヴァイオリンが聞こえる。音色で、有名なヴァイオリニストの某氏とわかる。彼がコンクールで優勝した時はさすがだったと言う母に、他人に勝とうと思う気持ちだけで何倍もドライブがかかるのよ、などと知ったふうを言う私。

 朝食を終えて外へ出ると、子どもたちに、職人ふうの男性が何かとつとつと説明している。《はたらくおじさん》のような社会学習だろうか。

 ジャングルジムのまわりで子どもたちが小さなステンレスの竿でもって遊ぼうとしていて、若い女の先生にちょっと叱られる。
 先生の「さあ、朝霧ですよ!」というかけ声を合図に、白い霧が流れてくる。
 じっさいはボランティアの若者たちが、火を起こして煙をうちわであおいで流しているのだけれど、子どもたちは大喜び。かけよって偽の《朝霧》の正体を見てしまっても、まだ喜んでいる。

 きゅうに、その中の二人の女の子が大きくなって、ピアノコンクールでのライバルになり、私は二人の同級生らしい。片方の、華奢な子と仲よしで、背中をさすったりして励ましている。
 どうも彼女が勝ちそうなのだけれど、ライバルの気の強そうなほうの子も、けっきょく優しさに飢えていたらしく、鎮静剤なども飲んでいて、私は思いきってその子も抱きよせて背中をさすってやり、ふれた瞬間、はじめて彼女の孤独を知る。

 白い建物、見おぼえのあるようなないような、その中。
 コンクールのひかえ室なのだろうか。
 いまから演奏が始まるのか、もう終わったのか。

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