第93話

文字数 479文字

 今朝の夢。
 私は誰? 若い母親? 姉?
 みな喪服。

 今風の木づくりのレストランで、みょうに豪華な会食。精進落としのレベルではない。
 私、きちんと礼装した小さな男の子に食べさせている。半ズボンに革靴。
 誰。

 中央にアイランドキッチンがあって、シェフが料理している。ローストビーフやサラダのようなしゃれた西洋料理ばかり運ばれてくる。
 和気あいあいとしているのに、ひとりも知った顔がない。

 一人の老女が、ゆっくりとしか食べられず、まわりの皆が世話をしている。
 初老の女性がなにごとかスピーチし、会はお開きになったらしいのだけれど、その老女だけがこぼしながら食べつづけていて、席を立たない。

 私もいちおうそばに寄ってみて、まあ知らない人だし、他の人たちにまかせておいてもいいかな、と思って、出て行こうとすると、

 すでにあの男の子はいず、
 私が本当に世話をすべきなのはこの老女なのかもしれず、
 そもそもこの老女は私自身なのかもしれず、
 あの男の子もスピーチしていた女性も私自身なのかもしれず、

 それをみな置いて、ひとり外に出ると、
 夜気は湿って重く、明かりはまばら。

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