第84話

文字数 746文字

 今朝の夢。大河ドラマ『西郷どん』の中にいる、と自分では思っている。

 小さな亀を踏みそうになり、あわてて謝ると、亀の口に口紅がついている。人なつこい亀で、すでに誰か女の人に「ごめんね」のキスをしてもらったらしい。だまされた感じだが、可愛い。
 飼い主の男の子、五才くらいが駆けてきて、これも可愛い。

 仮住まいのような家(セット)に私、祖父役・母役・弟役の人たちと住んでいる。小さな女の子もいる。姪らしい。

 お祖父さんとお母さんが、ある女性(娘、つまり私の姉妹だろうか)の安否を知りたがって、手紙はないかと問うので、私が手紙の束を調べていると、弟(役の人)がこっそり、浅めの竹籠の、雑多に物が入っている中から長手袋を取り出して、私だけに見せる。
 そうだ、姉さんは亡くなって、この手袋が遺品として戻ってきていたのだと思い出す。

 うろたえながら私、弟(役の人)と目くばせしあって、彼が
「お祖父ちゃん、お母さん、落ちついて聞いてください」
と、火鉢の横で手をついて切り出すのだけど、

 祖父も母もすでに喪服に着替えていて、覚悟はできているのだ。
 姪だけが何もわからず走りまわっては、母に抱き寄せられている。

 ここにいては危ない、というので、さらに避難場所を探すことになる。

 私は駅にいそぐ。古い木造の駅舎で天井が高く、二階から汽車が発着する。
 一階の階段の下、なぜか自販機がたくさん並んでいて、飲み物を選んでいたら、
「おはよう」
と言われて、ふりかえるとソノさん。
「会議にまにあわないよ」と言うので、いそいで二人で汽車に飛び乗る。
 汽車が動き出す。

 最初から最後まで、西郷どんとはなんの関係もなかった。

 それでも、切符を改めに来た車掌さんが、そういえばやけに体格がよくて、金モールつきの立派な軍服を着ていた。

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