第80話

文字数 809文字

 今朝の夢。ひさしぶりに、思い出せない。さっきまで見ていたのに。重々しくうなずく感じは覚えているのに。
 バンドワゴン、という言葉だけが残っている。

 思い出した。引っ越し。
 私はキッチンの五徳を拭いたり、かごいっぱいのお茶の葉が二かごもあったりして、なんとかまとまらないか苦心している。でも実家でもいまの住処でもないキッチン。

 薄い紙箱が出てきて、中から洋風もなかというか、いろいろ餡のちがうお菓子が出てきて、しまった、と思う、一年前のもらいものだからとっくに賞味期限が切れてるはず。ひとつ食べてみるとかすかに酸味。おいしい、とつぶやくと、聞きつけた母が
「じゃあそれでお茶にしましょう」
と言いだして、私さらに窮地。

 両親はお風呂に入っていて(昼なのに?)、つぎは私の番で、六時には出てお湯を落としてねと言われる(いま何時?)。
 夜行バスで出発らしい。

 母が荷造りしてがらんと広くなった板張りの居間。部屋の中央に残された(なぜ中央?)クローゼットを私が開けると、毛皮やパーティドレスなどとうぶん不要の衣類だけ整然とかかっていて、さすがお母さんと感心する(そんな服母も私も持ってない)。
 ところが、扉を閉めようとすると中のドレスのすそがはさまる。
 何度も苦労してやっと閉めて、私、他のみんなに追いつこうと思っていそいで部屋を出ていく。

 けっきょく私が荷造りしたのはお茶だけ。
 しかもバンドワゴン、何の関係があったのだろう。まったく出てこなかった。
 だいたい、バンドワゴンって何?


※バンドワゴン、本当にわからなかったので調べました。
「バンドワゴン」は行列の先頭の楽隊車のこと、「バンドワゴンに乗る」は「多勢にくみする」という意味で、「バンドワゴン効果(bandwagon effect)」とは「多数の人間が特定の選択肢を選択していることが、その選択肢を選択する人数をさらに増大させる効果」のことだそうです。
……で、何の関係が?

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