第41話

文字数 332文字

 ヤハタくんが、ときどき夢に出てくる。
 近所に住んでいた、小学校の同級生だ。
 とくに親しかったわけでもない。

 とっても頭が良くて、ちょっと変わり者だった。
 卒業証書をもらう壇上で、緊張して、右手と右足が同時に出ちゃう人だった。
 色白で、体が大きかった。
 小6にして圧倒的な存在感の人だった。

 その、ヤハタくんのお家の先に、砂利をしいた小さな公園があって、その公園の入り口に、ポストがある。これは本当。
 そのポストに、私は夢で、ときどき手紙を入れに行く。

 手紙だけではない。
 何かを入れに行く。

 ポストをこじ開けようと必死になっていたこともある。
 公共のポストだから、当然、開かない。

 ヤハタくんが問題なのではない。
 そのポストなのだ。

 その、開かないポストなのだ。

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