第76話

文字数 802文字

 いま見た夢。
 ミヤザキさんとマリちゃんと私でサラの新作の稽古をする。

 私、まだ台本が書けていなくて、いま書いている。製図用のふしぎな補助線のたくさんついた方眼用紙に縦書きで、ブルーブラックのインクで書きこんでいる。
 マリちゃんが来て、まだ台本ができてないから女優のマリちゃんは手持ちぶさたなのに怒らない。にこにこして待ってくれてる。優しい。マリちゃんらしい。
 ミヤザキさんも待ってくれてる。「書けたらコピー取るよ」とまで言ってくれる。でも製図用の線の写りこむのが心配。
 じゃあ製図用の方眼紙に書かなきゃいいのに、私。
 というか早く原稿を書け、私。

 そのとき、食事の時間ですよと言われて(誰に)、マリちゃんといそいで行く。
 大塚にいたはずが、いつのまにか巣鴨のとげぬき地蔵。マリちゃんと私が歩いているのはお寺の建物の二階の廊下。

 窓の下の境内ではフリーマーケットをやってるらしくて、ミヤザキさんがそこから携帯に電話をかけてきて(さっきまでそばにいたのに?)
「量り売りの石鹸、買っていこうか?」
と訊かれる。
 よくわからないのでまかせる。
 マーブル模様のだといいな、と、ちらっと思う。

 マリちゃんと食堂に行くと、席が掘りごたつ。
 しかも私の席、壁ぎわで、壁ぎわすぎて背中が半分窓の外に出ていて、ふりかえって見てみると目の下がすぐ絶壁というかすり鉢状の斜面で、落ちそう。食事どころじゃない。
 ミヤザキさん到着。
 石鹸はなし。すましている。よくわからない。

 私、きゅうに、座布団をよごしてないか気になる。そっとたしかめると幸いよごしてなかったけど、なんだか私、自分がそこらじゅうよごして歩いてきたような気がして気になって気になって、廊下に出ていっしょけんめいあちこち拭いてまわっていたら、マリちゃんが心配して見に来てくれた。

 ごめんマリちゃん、台本できてない。


※このとき、とくに新作上演の予定はありませんでした。

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