7. 神の筋書き
文字数 1,174文字
夫婦の寝室からは、ベッドが無くなっていた。居間のソファーと入れ替えたのである。つまり居間にはベッドが置かれていて、そこには傷の処置を終えた青年が眠っている。
青年のそばにしばらくついていた夫人が、ききたいことがあって、寝室にいる夫のもとへやってきた。
ウィルは
ウィルは深いため息をついて顔をあげ、妻を見た。
「彼の様子は・・・。」と、ウィルはきいた。
「時々うなされて・・・でも、意識はまだ。」
夫人は答えながら歩いてきて、同じソファーに座った。
「あなた・・・彼・・・。」
「エミリオ皇子・・・。」と、ウィルはやっと声に出して言った。「大人におなりになってからは、お見かけしたことはなかったが、先代皇后と町においでになっていた頃のお姿は知っている。なにより、フェルミス皇后陛下によく似ていらっしゃる。」
夫婦はしばらく沈黙した。
ウィルが再び口を開いた。
「町で、
「でも・・・こんな
夫人は声を震わせた。理解できなかった。そうだとしても、あのような素晴らしい人が、なぜ
「ああ、これは大変なことだ。エミリオ様が暗殺されかけたなど・・・。」
世間に知れ渡ったら・・・と、ウィルも考えた。誰も納得などしないだろう。それどころか許し
だが、皇帝一族 ―― あるいは
「俺たち下民には理解し
ウィルは、妻にそう言い聞かせながら、関わってしまった自分はどうすべきか、さらに考えた。
一つだけは、はっきりしていた。エミリオ皇子を生かすこと。
相手が死んだと思いこんでいて、そうはならなかったこの状況は、神の
「とにかく、何としても皇子を死なせてはならない。それに、俺たちは
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