1. 守りし者 ― 1
文字数 574文字
痛ましいほどに
彼女には、愛情のおかげで、辛うじて我が子を胸に抱えられるだけの力しか残されていなかったが、つないである縄をどうにかほどくことができたあとは、その小舟が人のいる場所へと連れて行ってくれるのを祈りながら、彼女は疲れて目を閉じた。
彼女は奇跡の女性だった。
ここまで生きてたどり着くなどまず有り得ない
彼女を襲おうとするものがいれば、どういうわけか、決まって助けようとするものが現れた。飢えて動けなくなると、またどこからともなく何か動物が現れて、木の実や果物を届けてくれたり、湧き水の場所まで案内してくれた。
彼女は奇跡の女性・・・そして、選ばれし
川の流れは南へと向かう。真っ暗闇の中、その小舟は、運命に導かれるままにやってきた親子を、その魂を、またそれに従うままに連れて行った。
ただ一人しかそこにはいない、
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