6. 皇妃の殺意
文字数 1,001文字
同じ部屋に、侍医と二人の召使いのほか、皇帝ルシアスと、シャロン皇妃もいた。
ルシアスも深刻な面持ちで息子を見下ろしていたが、窓辺の
その沈黙の中、不意にノックの音が響いて、扉越しにダニルスの声が続いた。
すぐに陛下の許可がおりて、召使いが扉を開けに行った。
入室してきたダニルスは、陛下のやや斜め後ろに
「
エミリオを見つめたままのルシアスは、ダニルスの気配にそう声をかけた。
「陛下、これを・・・。」
ダニルスは説明する前にまず両手を
それを振り返って見たルシアスは、顔をしかめた。
「どういうことだ。」
「恐らく、これが火矢として飛ばされ、エミリオ皇子に直撃したものと思われます。危うく、殿下は炎に包まれるところでした。」
「エミリオが狙われたということか。」
「それはまだ判断しかねますが・・・どうも衛兵の中に、
ダニルスはそう報告して立ち上がり、エミリオ皇子に目を向けた。
まだ精神が安定せずにいたため、
ルシアスや侍医と同じく、眉をひそめてしばらくその顔を見つめていたダニルス。だがふと、彼の戦士としての鋭い感覚が、背後の異様な気配に気付かせた。
なんだ・・・と思い、肩越しにちらと振り向いたダニルスは、とたんに背筋を冷たいものが走り抜けて、思わずパッと目を戻していた。
ダニルスが見たそこには、シャロン皇妃がいた。
だが彼女は、この誰もが心配で不安そうにしている中で、ただ一人だけ平然と立っているように見えたのである。
ダニルスはもう一度、今度はそうっと振り向いた。
すると、皇妃と視線が絡み合った。
ダニルスは、今度は不自然でないようゆっくりと視線を戻したが、この時、彼女の目の奥に
ダニルスはゾッとし、信じ
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