第67話
文字数 2,290文字
ホットサンドを食べ終わった後は、パフェを注文した。
生クリームマウンテンの上に乗ったさくらんぼは、染め付けられていない自然な色合いだった。
個々の認識の時空の流れはそれぞれ違って、同じ時代を生きても、他者は過去の意識だったり未来の意識だったりと様々だ。
時間の流れの通りに現界転生する訳ではないんだ。
生きる時代は選べる。
グレイの人生要素が、ここで出てくる。
時代の認識に溶け込めるかどうかだ。
合わせて、その上で最大限の努力が可能か否か。
それそのものを、変換人と呼ぶ。
ミクトランは変換人ではないな。
武力は恐らく超心点の借り物だし、無理矢理世界を自分だけが慣れた仕組みに変えようとしているから。
天地戦争時代しか知らない人間。
他では生きられない。
ディムロスへの妄執を引きずったバルバトス、と見ると納得だ。
バルバトスは狂戦士であり、戦いにしか身を置けず、しかもアイテムなど使ってんじゃねえ!と言う脳筋も脳筋だ。
ディムロス、スタン、カイル。
この流れに執着し過ぎている。
執着を断ち切る為の反面教師として、また心の余裕の大事さを学ぶ為に戦うのだろう。
くるくる回れ、と言うハメ技もあるな。
自己認識の檻さ。
誰でもない、他でもない自分の意識。
自分で自分を縛っている。
ディムロスに逆恨みし続け、永遠にシャドウボクシング的な、誰と戦ってんの?状態に陥っている。
バルバトスが天地戦争時代の栄光と狂戦士でいられた自由と八つ当たり精神を捨て去れば、一気に解脱してきれいなバルバトスと化するだろう。
コーヒーのおかわりをし、談話は続く。