第53話
文字数 2,225文字
リズムゲームコーナーに向かうと、三人は幾つも並んだ巨大なけたたましい機械をじっと眺めていた。
現代医学で分かっていることなんてタカが知れているよ。
黄体ホルモンの話だって、実は未発見だし。
病院に罹患しても、あまりにも認識が原始的過ぎて辟易するくらいだ。
自然派とかじゃなくて。
西洋医学の視点を理解した上でね。
しかしそれでも社会は回っているので、知らないフリをしている。
受け入れられる範囲で適当に要素をかい摘んで情報発信するのみだ。
漢方の話とか。
昨今の不景気により、スピ関係で稼ぐなんて無理だ。
雀の涙以下の稼ぎしか得られない。
しかし人脈で食いつなぐ業界だから、何としてでも見栄を張る必要がある。
無理ゲーにも程がある。
本を出すにも、一苦労。
出版社だなんだと挨拶回り。
根回しささやかなプレゼントは絶対だ。
幾らお金があっても足りない!
子どもの頃から厳しく躾けられたから惰性で行っているだけだと思うよ。
ぼくの家は貧しかったが、父が会社で色々貰ってくるのでこういうのもあるのかと何となく覚えた。
お中元、お歳暮。
やり取りは無かったけど、少しずつ少しずつ。
シリウスはアルクと共に太鼓の達人を始めた。
シールックは後ろから静かに眺めている。