第42話
文字数 2,265文字
金箔の縁の、大理石を思わせる光沢のある白い蓋を開けると、そこには濃厚な抹茶アイスが広がっていた。
いや、アルクは……。
幸薄夫という事を知る前から、硬いぞ、と思って心の氷と凝り固まった澱みを溶かすべく、点質からなる付帯質の間を縫ってクリーンヒットするような優しい言葉を探して話をしただけで。
感動させるとかそんな事は一切考えていなくてね。
本気で?
いつだって本気だが。
恋愛の本気か……。
それは恋愛モードに入るだけになるかと。
背伸びしたり虚勢を張ったりすると、真の実力が出せなくなるので。
少し気を巡らせるようにするけど、自然体であってこその恋愛だよ。
男の人は、いつだって虚勢を張りがち。
そして頭の軽い女は、虚勢を張った男性の姿を好むんだ。
虚勢が張れないと、男として認めて貰えないのさ。
その中で、虚勢解除してにゃんにゃんごろごろしても良い女性を見つける。
そうして、虚勢モードとにゃんごろモードを使い分けて生きていく。
それが男性としての真の幸せだ。
社会的地位と心の平安、両方をゲットするのさ。
今はにゃんごろしていると思う。
何もにゃんごろモードは女性の前だけで晒すものではないので。
男同士で楽しくにゃんごろし合うのもいいんじゃないかな。
その時、性は邪魔になるから取り払って。
性を発散させたければ、自慰か売春宿に行くんだ。
そんな……。
知らなかった。
お茶を濁したい気分だ。
ぼくが抹茶好きになったのは、京都に行ってからだ。
抹茶プリンで堕ちた。
しかし最近は美味しい抹茶チョコがない。
抹茶はお茶を飲むだけにして、良いチョコが販売されるまで待つことにしたのさ。
空の容器を更に重ねて、マスカルポーネに手を伸ばす。