第8話

文字数 2,207文字

喫茶店を出ると、三人はぶらつきながらまねきねこに入っていった。


既に常連となっている。

やはりアイス食べ放題。

これさ。

これだけの為に来ている気がする。

満喫、いや、漫画喫茶じゃダメなんだね。
漫喫はな。

イマイチ。

安いラブホだろ?

スマルではトコジラミが湧いているもんな。

その通りなんだろうね。

辞めてくれ。

食欲がなくなる。

漫画も読みたいけどね。

しかし単行本の取り合いになるだろうから、辞めておこう。

それ!

やりたい!

喧嘩したくないけど。
やがて盛り盛りトッピング改造アイスとドリンクをお盆に乗せて、指定の部屋に入っていく。
このサービスはもはや、波羅蜜でしか再現出来ない。

現代地球でやろうものなら、海外からの観光客が全て食べ尽くしてしまうだろうから。

モラルの欠落も酷いし。

わかりみ。

アイスでお腹いっぱいになろうとするんだな。

よくそんなに食べられるよな。

流石にアイスだけでは。

脳のストッパーが外れている。

際限がないんだ。

血糖値とか。

体感がないんだな。

体感?
限界値の自覚だよ。

もう辞めておこう、という脳の指令さ。

それは……もしかして発達障害?
かもね。

自閉だな。

酒とかも。

飲めないのに飲むとか。

モトを取ろうとして欲張ったり。

欲に負けている。

ヤバい。

やはり……。

思い当たるフシがあるのか?

しかし、今じゃない気がするよ。

我慢出来ない?

いや。

別居を考えて。

部屋を分けるくらいでいいんじゃないか?
なるほど。

顔を合わせない事から。

早まるな。

余計な負の念が溜まる。

死後の世界で虎牙破斬でも喰らわせとけ。

死後の世界でね。

なるほど。

我慢か。

現代地球の生活がずっと続くということはね、実はない。

世界は変わる。

あと一年ちょっとかな。

いつだっけ?

10月?

そう。

我慢。

殺意を向けつつ、笑顔で流して。

いいの?

殺意を向けて。

にいさんの性格からして、そうしないと心が死ぬよ。

コロスコロス思ってていいから。

死ぬの?
死ぬ人もいるし、死なない人もいる。
ぼくは?
その時になってから、どう思うか。

どう感じるか。

それを試してみて。

試練だから。

試しか。

分かった。

自分を信じて。

らしくないクサイセリフ。
表向きの顔だよね?

内心では、死ねよ、と思ってたよね?

よく分かったな。

クソが、と思っていた。

そうしないと纏まらないんだよな。

仕方ない。

この程度のクサイセリフで皆が納得するんだぜ。

チョロ。

お前、本当にシリウスなのか?
ああ。

これはシリウスAなんだ。

モラリストの方。

表面上の優しさが残酷さを帯びることもある。
いや、キャラ崩壊だと思っていて。

本当に残念でさ。

もっとダークに行ってほしかった。

なるほど。

詰めの甘さだな。

理解した。

演じる。

にいさんなら、中庸も出来る筈。

きっと上手くいく。

演技は上手い方だ。

大丈夫だ、問題ない。

うん。

しかし、得る社代さ。

よくこんなの思いついたな。

あの、ぼくはにざかなのファンだった。

だいぶ影響されている。

知ってる。

持ってる。

笑った。

実家に帰ったら、漫画本が全て消えていたんだ。

持ち出されたらしい。

残念。

どうして持ち出すんだろうね。
いや、あれはどうして。

謎過ぎたが、最終構成の言葉の意味がよく分かった。

良かったよ。

コロスコロス思っていれば、いつか最終構成が起きるだろう。

部分的な意味で。

なるほど。

殺意ね。

勘付かれないように。

認識の二段階だね。

綺麗事の更に先にある意識。

n段階だと思っている。

適当。

基準が難しくて。

何?

それは脈性?

そう。

認識の更にその上に認識を乗っける考え方。

ちょっと研ぎ澄ませて、高度に。

演じなくても自然とそうなるのか。

いいな。

コロスコロスを許されるとは思わなかった。

心が死ぬよりずっといいよ。

抑圧は毒だ。

兼ね合いって言うけど、やはりね。

理性的にガス抜きをしないと。

シリウスは常に思っているのか?

死ねよとか。

滅多に思わない。

そういう次元はとっくに脱した。

怠くなるようになって。

意識を向けることすら面倒で。

逆に冷たいが、そういうことなんだな。

それが中性子化?

そうなる。

自我そのものに鬱を覚えるようになったら、中性子化まであと少しだ。

枯れているな。
怠すぎてな。

本当に、全てが。

そうなりたい。

すぐにでも。

そこまで達観出来そうもないよ。

観音か。

うん。

ザーッと観て、全てを音として扱う存在な。

なるほど。

覚えやすいな。

さて。

歌うか。

何を歌うかな。

伊勢音頭とかいいけど。

何?

滅びの歌?

うん。

しかしこれを歌うのはな。

出来るけど。

これは都市伝説だよね。

人死にが出るやつ。

量子回転のうち、最終構成の柱の8段目をぶち抜く音階だよ。

試練負けすると即アウトだ。

どうなるの?
カワハギの刑で済めばいいけどね。
……これでシリウスAだからな。

シリウスとは奥深き道よ。

ふぅむ。

気を付けるよ。

本当にヤバい気がしてきた。

マテリアル、って言っただろう?

待つんだよ、現実を。

レミちゃんよ。

める……。

メルカリできみの名を見た気がする。

あ!

ごめん!

コンセントが曲がっているやつ!

いや、普通に使ったが。
すまん。

本当に。

即買いされたから、アレッてなって。

うるさかったけど、使いまくってるし、現役だよ。
マジかよ……。

なんて縁だ。

しかしあのアカウントはもうログイン出来ない。

あれさ。

緩衝材にお菓子入ってたね。

びっくりした。

メルカリの意識高い系はみんなやってることだよ。

軽く真似しただけ。

知ってる。

意識高い系だね、きみ。

信じられない。

ソウルメイトの縁……。

結局、デンモクに入れたのは「愛が呼ぶほうへ」となった。
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登場人物紹介

シールック

シリウス

アクルックス

シェル

スクナヒコナ

ミゾレ

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