第20話 ☆
文字数 2,113文字
口福堂を堪能した後で、一階のレストラン街をぶらつき始めた。
何となく、色々食べてみたい気分になる。
近くのラーメン屋に、当然のように入っていった。
ラーメン屋の看板などは特に確認しなかった。
ラーメン屋業界そのものが回転率が高いので、逐一記憶していられないというのもある。
メニューを見ながら、雑談を始める。
話が弾み過ぎて中々ラーメンが選べなかった。
最初の印象が大事。
物語の中ならね。
キャラ付けが完璧だったんで、それを貫くだけ。
カナヲは絶望しきっているから、死ぬのなんか怖くないんだよ。
身体の機能がどうのなんてなまっちょろい事は言わないの。
絶望が足りない。
やがて運ばれてきたラーメンを、それぞれすすった。
カクテキも好きだけど、大根が大きいのが嫌。
自分で作るに限るよ。
米の研ぎ汁に好きな大きなの大根を漬けて煮立たせて。
水キムチの要領で。
真っ赤にすることもないけど、唐辛子で染めたら、唐辛子の分の半量の砂糖を入れると美味しくなる。
洗双糖がおすすめ。
やがてお冷を含み、冷房の風に身を任せた。