第75話 ☆

文字数 2,175文字

やがて食事処を出ると、大浴場に行く約束をしながら部屋に戻った。

準備をしてから、再びロビーのクッションソファーの前に集合する。

ヨギボーは興味ある。

買えないが。

人を駄目にするソファーの延長だ。

無印で充分だと思う。

こたつと組み合わせて、半起床の仰臥位にすると根を張るから気をつけて。

根を張る?

仰臥位とは?

その場に根を張ったようになって、動けなくなることさ。

よく言うだろう。

一回座ったら根を張ってしまって動けない、とか。

仰臥位とは仰向けのことだ。

この場合は病院のベッドのギャッジアップの角度微調整的な感じ。

初めて聞いたぞ。

語録だな。

根を張る?

仰臥位も。

医療用語。

根を張るは意外と言うと思うが。

とにかく、人を駄目にするソファーは本当に人を駄目にするのさ。

言うよな。

根を張る。

人を駄目にするソファーはダメだ。

こたつも危険だ。

知らなかった。

楽し過ぎるよ。

根を張る事の何が楽しいんだ。

危険行為だぞ!

全くだ。

これは忌み嫌われる状態だ。

何も出来なくなって。

……!

すまん。

確かに。

アステロイドのはなびの動きは参考になった。

立った勢いで仕事を片付ける。

本当に片付いて楽になったよ。

なんて呑気な性格なんだ。
気付けよ。

全く。

立っているものは親でも使う、という諺を知らないのか。

そのくらい根を張る行為は昔から危険視されているんだよ。

それは知らなかったが。

たしかにな。

知らなかった。

働き者なんだな、日本人は。

根を張る。

雑草が厄介で。

あの、赤っぽい草か?

あれは除草が大変だ。

痩せた土地に生えると言う。

土全体に追肥すると出現が減るよ。

よく知っているな。

あれには困る。

抜ききれなくて。

草むしりくらいはな。

少しは。

草むしり……。
お風呂!
やがてエレベーターに乗り込み、大浴場へと移動する。


湿度の高い空気の中をくぐり抜け、男子浴場へと向かった。

無重力健康器って知ってる?

あれは効くよ。

知ってる。

効くのか。

無重力?

無理では?

いや、中の気圧を抜いて身体を軽くする健康器具と言うには大き過ぎる装置があって。

名前は忘れたが。

そこに入ると、血行がとても良くなるよ。

サウナの仕上がりみたいなポーズで治療する。

それは!

やった事がある!

効くのか!

やろう。

知らなかったよ。

効くなんて。

軽く馬鹿にしていた。

シミなんかも、数回の治療で消えるよ。

シミを消すには血行を良くするしかないので。

他にも色々。

よく知って。

どうして……。

実物を見て。

なるほどと思った。

絶対に効果があると思ったが、今の人生ではちょっとな。

過去生の経験則で申しわけない。

都内にあるね。
あるね。

知ってるよ。

よく知っているね。

都内住みかと。

アステロイド、凄くリアルで。

品川直通、本当にあるのかと。

あれは府中か調布辺りが舞台という想定でいる。

池袋に少し行きづらい。

品川直通はあったらいいなでね。

蒲田まですぐに行きたくて。

蒲田まで。

羽田か。

流石だよ。

路線を見た。

そうなのか。

千代田かと。

晶は本当は千代田住みの想定だったが、それだとはなびと家が遠くなるので辞めた。

奇跡の良物件を見つけたということにして。

奇跡の良物件!

分かるぞ。

全て持って行くやつだ。

北区が実家というのも。

神かがっていた。

あるあるすぎて。

特に説明しなくても分かるからな。

地域の特色を活かし。

地域の特色な。

笑った。

やがて浴場へと進む。
広いが……。

サウナがない。

新しいホテルはな。

水風呂と大浴場、ジェットがあれば御の字だ。

ジェット?

効くのか?

効く効かないじゃない。

やるだけだよ。

足の裏に。

足の裏な。

最高だ。

腰かと。
腰は駄目だ。

見た目が悪いから、嫌な疑いを受ける。

笑った。

確かに。

臀部と勘違いされる。

臀部とは。
お尻。
それは駄目だ。

引く。

臀部な。

覚えた。

そう言えば良いんだ。

お尻というのが恥ずかしくて。

でんぶ。
電気風呂はないな。

古いから……。

ビリビリするな。

腎臓に効くが。

電気風呂?

懐かしいものを。

効くのか。

効くよ。

ちゃんと。

痛いので若者には忌避されている。

怪しいしなあ。
怪しい。

分かるよ。

しかし、よく。

チャレンジしたな。

幾度となく温泉通いすると、段々と敷居が下がって全てのコンテンツにチャレンジしたくなるのさ。
コンテンツ?

そういう見方を。

知らなかった。

敷居が下がってな。

幾度となく?

いいな。

鹿児島に住んで温泉に行かないという選択肢は皆無だ。

もったいなさ過ぎる。

しょっちゅう行ってたな。

子ども連れて。

二人目妊娠の時は五ヶ月までにしていたが。

あまりお腹が大きい状態で行くと、店員に止められる。

転倒が怖いから。

本当にたまに事故があって、頭から血が出たとか言う噂が立つこともある。

気をつけるに越したことはない。

頭から血が!

気をつけよう。

酷い噂だな。

笑っちゃ駄目だ。

頭から血!
息子は幼稚園まで女湯だったが。

小学生からは男湯だ。

自分で洗体出来るように訓練を積まないと。

しかし、いつもシャンプー類は使わなかった。

石鹸だけで、体臭は最高に可愛かった。

洗体訓練!

そうだな。

7歳になればな。

石鹸だけか。

分かるよ。

常在菌を育てるんだ。

キューピー石鹸は合わなくて。

しゃぼん玉を使っていた。

牛乳石鹸はもっと大人になってから。

大事に育てている感、ある。

生クリームの話とか。

味覚はな。

経験則で。

大山生クリーム、美味しかった。

何故それを知っているのかと。

コープで覚えた。
なるほど。

物凄く納得した。

かけ湯をしてから、浴槽に身を沈める。
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登場人物紹介

シールック

シリウス

アクルックス

シェル

スクナヒコナ

ミゾレ

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