第43話
文字数 2,623文字
マスカルポーネの濃厚な甘い発酵乳の風味を味わいながら、シリウスはアイスにスプーンを差し込んでいく。
ユリアンの恋愛事情はかなり軽いし、信じられないくらい浪漫がない。
エレンに迫ったのはエレンが村で人気で、他の人が射止めようとしているから真似している、というのもある。
これは無自覚だが、運良く射止めたら村の衆に羨ましがられるとか言う思惑も。
モニカとはロマンス展開があるが、それはモニカが従順だからだ。
大人しい女の子。
ワンチャンありそうとか思っている。
童貞だし。
実はそうだ。
しかしカッコつけの為に、社会規範に取り敢えず則ろうとしているので悪には見えない。
そしてこれは、普通の男の子だ。
里見くんは酷い環境に身を置いて試練負けしたというだけで、世間知らずの普通の男の子とも言える。
マスカルポーネを食べ終えると、最後に溶けかけたごろっとマンゴーの容器の蓋を開けた。