第45話 ☆
文字数 2,497文字
運ばれてきた大型の土瓶と湯呑みに茶を注ぎ、思い思いのペースで啜ってから談話はスタートした。
17時頃にベッドインと想定して、19時とは?
実に2時間しか行為を行っていない。
もしくはそれ以下だ。
眠ってしまったようだし。
本当に挿入出来たのか?
処女なら無理だよ。
血塗れにすれば何とかなるが。
ベッドを汚したくはないだろうから、無理矢理にはしないだろうよ。
ちょっと我慢したよ。
笑えないんだ。
有馬は取り敢えず落ち着いたように見えるが、何故か心の距離を気にしている。
普通、セックスしたら浮かれきって彼女を独占するだろう。
これまでにも増して。
それなのに、埋めようもないものを勘付いてしまった、なんて変だ。
虐待とか関係なく。
しかし有馬は雪野を切れず、ズルズルと関係を続けてしまった。
お互いの両親に会った手前、別れられなかったんだと思う。
良い家だから尚更ね。
それで自分の生い立ち、これも闇が深いが、振り返りが必要になった、と。
母親が最低なので、女性そのものに不信感が募る。
これは当たり前だろうな。
そうなるね。
The end だ。
立ち直りかけた頃に、雪野は私のせい、とか言って泣いていたが、有馬が絶望した理由にカスッてもいなかった。
闇を見せてごめんなさい、と言うが、それは虐待からのトラウマの解放についてのみで、自分の本当の意味での失態を自覚していない。
自分の頭脳は金になる宣言をしているのでガメついし、有馬を手放さない為の虚言にも見えてくる。
お茶は、冷めきっていた。