第40話 ☆

文字数 2,368文字

ロマサガ人生訓、いつの間にか落ち着いたけど、まだ何かあるか?
ロマサガ人生訓……。

3はどうなんだ?

3は泥沼だよ。
3か。

色々あってな。

何から話そうか。

ユリアンはどういう人物だ。

掴み所がない。

ユリアン?

剣しか使わない、どストレートな男の子の典型だよ。

初期設定が流れるように、男、一番上、狩人に剣で適当にA連打して決めたような感じだし。

笑う。

適当にA連打キャラか。

シノンの中で一番美人で人気のエレンを口説こうとするが、あっさりとモニカに乗り換える。

好きな異性のタイプは美人とか言う最低さ。

基礎知識編に載っていたよな?

うちにあった攻略本は全て捨てられてしまったが。

攻略本を捨てるだと?

あんなに読み応えがあるものを!

基礎知識編?

練磨の書は?

買えなかったんだ。

うちもだよ。

練磨の書は買えなかった。

四魔貴族の詳細エピソードを読めなかった、哀しきロマサガユーザーさ。

同じ過ぎて!

四魔貴族の話、読みたかった!

仕方ないよ。

しかし攻略サイトに載っている情報ばかりで。

とにかく、ユリアンだ。

ユリアンは剣の適性を持っている。

全ての剣技を閃く。

剣閃だろうが黄龍剣だろうが。

しかし最終的には使わない。

黄龍剣なら、ハリードに任せても……。
そうなんだよ。

色違いとも言えるポールは抜刀ツバメ返しを閃くから重宝されているのに。

まあ、ポールも似たようなものだがニーナに義を貫くので彼の方が人間的に上な気もする。

野盗に落ちぶれても助けてくれるし。

ユリアンが同じだったらどうだろう。

敵だー!ピョンピョン

が関の山じゃないか。

笑い過ぎたが。
チェッ!1オーラムか。

が関の山。

がめつさを下げ忘れているな?

ユリアンはプリンセスガードでモニカを仲間にし、駆け落ちして一緒に破壊するものを倒すと、モニカと結婚出来るんだよな。

ということで、純愛カップルとして見られて2人クリアに挑むユーザーも多い。

しかし彼らは本当に愛し合っているのだろうか?

それを言ったら結婚なんて出来ないだろうが。
まさか、里見くんとでも言うのか?
モニに対して!
ミゾレちゃん。

買い物は終わったのかい?

ほら、追加のお小遣いだよ。

ジェラートを制覇しておいで。

ありがとう!

ジェラート制覇!

特殊任務!

お小遣いを握りしめて去っていくミゾレの姿を見送り、シールックは羨ましそうに拳を握る。
売店の冷凍庫のジェラートか!

特別にこだわってそうな、果物ゴロッとミルクアイスだろう!

食べたい!

買いに行くかい?

全種類買って、みんなで食べ比べをしよう。

痺れる足を伸ばしながら力なく立ち上がった三人は、だらだらとした歩調で売店コーナーへと向かった。


食品コーナーを中心に、鋭い目付きで品定めを始める。

事業所の人が作ったパンを置いてある所があって。

それが好きでしょっちゅう買っていた。

福祉のね。

息子くんはよく食べていたな。

そういうのが抵抗ない人で良かった。

前に騒動があったろう。

辟易した。

下手に騒ぐのは良くない。

何となくその場に辿り着いたら、気に入った物を買えばそれでいい。

それだけのことなんだがな。

わざわざ強調することもなく。

涙が。

シリウス……。

シリウスAだな。

ここでシリウスBなんていう程、ぼくはふざけてもいないし意地悪ではない。
……冷めた。
空気が冷えたところで、ジェラートだ。

行こう。

ジェラートコーナーにて、嬉々として冷凍庫の蓋を開け、全ての種類のジェラートを掻き集めた。

ラベルを確認し、カップを積み上げてレジまで持っていく。

ごろっといちご。

ごろっとマンゴー。

マスカルポーネ。

やみつきサラダ油のようだ。

やみつきサラダ油?

そんなローカルなCMは知らんぞ。

しまった!

地元ネタを!

地元ネタ?

にわかレベルじゃないのか?

この鑑牛が!

コアすぎだろ……。
あちこち転々としているようだな。

県外に出ることはいいことだ。

認識が育つ。

わかりみ。

生え抜きは良いけど、意識が低いと地獄化するから。

県外移住か。

無罪。

コイツ。

自分の世間知らずっぷりを自己紹介しやがった。

過去生の交差っていうけど、認識狭!
やがて両手でジェラートの五重塔を抱え、宴会場の元の席に戻る。

食べ散らかした容器などがテーブルの上に残されたままであるため、迷うことはなかった。

ごろっといちごから行こう。

シンカンセンスゴイカタイアイスのようにはならないな。

スプーンは少ししか入らないが。

こんなに大きないちごが!
なんだよ、ぼくを見るな!
何?

何の煽り?

いや、アルク。

一期一振を平仮名で書いて、初めて いちご という音に気付いたんだ。

いちご なんて名前……なあ?

BLEACHに遠慮して、名付けに使えないよな?

こんな偶然ある?

ってなって。

気付かないってないだろってなって、ちょっとした言い合いに。

いや、気付かなかった。

いちごなのな。

一期一会で気付かないから。
不思議なもんだ。

漢字変換。

意識が固定されてしまうのかな。

なるほど。

意識の固定。

先入観の入口……か。

一期一振はどんなキャラなんだ?

一振って?

三振知らず、とか言う冗談は置いといて。

一振りで敵を薙ぎ払うと思えば、実はフェイクで短刀でザクッと不意打ちする、という由来があった。

めちゃくちゃ汚い手を使う刀さ。

なんだと。

そんなキャラに見えないが。

気取っているんだよ。

実は超手がうるさい。

笑顔でグーパンしてくる。

ふざけた事を。

勝つために仕方ないだろうが。

時代が時代だし。

荒れ狂った戦乱の世で生み出された。

真っ向勝負を否定するような、糞の掃き溜めの中で。

そうだけど。

確かに伊達政宗もフェイクは多用した。

愛を掲げている癖に、根性がきたねーぞ!

はしょっちゅうだった。

爆笑したが。

一期一振はクズか。

何を言うんだ。

忠義に厚く、最高に義をそなえていたぞ!

トリッキータイプに見せかけた正統派だ。

掴み所がない。

そんな感じ。

表面の細かい氷の粒がキラキラと輝くアイスを少しずつ掬いながら、話は弾む。
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登場人物紹介

シールック

シリウス

アクルックス

シェル

スクナヒコナ

ミゾレ

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