第61話

文字数 2,091文字

ゲームコーナーを出て暫く歩いた先に、BIG ECHOの看板が現れる。

三人は店の前に置かれた掲示板の前に立ち、ポップを見つめた。

栗きんとんの考え方には感銘を受けた。

アステロイドの最後にネタが使われているな。

あの当時、既にその認識はファミコロの中で定着していた。

栗きんとんは縁起が良い食べ物だし、みんな好きだし。

ファミコロ?

ファミリーコロニーの略?

すると、既にあの手この手で笑い転げていたということ?

そうだが。

なんだ、その話し方は。

下品にも程があるぞ。

まるで笑いが策略のように。

ぼくはそんなつもりで話をしている訳ではない。

ただ、何となく発生したネタをみんなが笑って、中和が強く起こったから採用しているだけだ。

乗っ取られた。

すまん。

縁起の良い食べ物って?

乗っ取られたか。

にいさんも霊媒の才能があるのかな。

栗きんとんは年の初めに、お金がたくさん貯まりますように、という願掛けのつもりで食べるものだ。

甘露煮ときんとんは金色で、見た目が豪華だ。

正月から金のお菓子を食べるなんて、最高じゃないか。

日本では年末くらいしか店に並ばないからな。

自分で作るしかない。

アルクはまさか、一年中食べているのか?
食べたくなったら作るが。

それが何か?

栗の甘露煮は一年中売ってるもんな。

卵焼きだってしょっちゅう食べているんだ。

何食べたって良いだろ。

栗の甘露煮……。

確かに。

中国製が。

中国は栗の産地だ。

DAISOに甘栗がたくさん売っている。

暫くあれにハマって食べまくっていた。

非常袋にも入れている。

手が汚れるが。

パウチだし、非常時の気休めにはなるか。

なんだかいい話。

それより、黄金の悲劇とか言うのは何だ。

めちゃ笑ったが。

あれは、よそのサイトでテスト感覚で書いたものを移植したものだ。

一つくらい完結作品を置かないとサマにならんと思って、適当にでっち上げたのさ。

甘い甘い黄金の卵焼きをキーワードに、なんやかやとコメディっぽくしただけ。

悲劇が喜劇になったが。

適当なでっち上げ?

あれが?

嘘だろ?

本当なんだ。

適当に、一瞬で書き上げたんだよ。

笑ったが。

本当だ。

過去、幾度となく創作サイトを転々としたが、完結作品というものを並べられなくて。

今度こそという想いで、なんとか。

しかしこのサイトには既に多くの完結作品を並べる事が出来た。

チャットでダラダラ話しているだけとはいえ、完結を付けられるのは嬉しい限り。

なるほど。

サイトを転々とする気持ちは分かるよ。

小説かい?

小説だね、主に。

漫画は描けない。

環境が良くなくて。

素材組み合わせ4コマがやっとさ。

あの4コマ?

笑ったが。

際どいネタが多い。

適当に描いただけだが。

別に金を貰っている訳ではないし、趣味で組み立てただけだよ。

無料の限界。

無料と言ってもな。

金が取れそうだが。

たまにそう思う事もあったが、結構イマイチな苦しいのもあるので何とも。

推敲が面倒で。

苦しいのか、あれは?

シリウスの感覚は厳し過ぎる。

いや、もっと詰められるなあと思いつつ、妥協妥協の連続さ。

無料だからという理由をいつも付けている。

過剰な自己顕示欲なんて、とうの昔に削り取ってある。

自己顕示欲は削り取るものなのか。

悟った。

肩透かしが多くてね。

期待しても無駄だと、何度も何度も。

創作の難しいところ。

確かに。

中々評価が付かない。

構わないと言うが。

諦観も混じっている。

しかし、このチャットは日記なんでね。

本当はランキングに載せたくないんだ。

他の作者さんに失礼だと思って。

しかし公開した以上、どうにもならんので放置している。

ぼくはサイトシステムを買っている。

ただそれだけに過ぎない、1ユーザーであると言い聞かせてね。

お前……。

霊素慈の人間だな。

確かに、間違いない。

そりゃ、な。
書いた小説ってなんだ。

気になって仕方ない。

うーん。

内緒だが。

あらすじを描いた4コマがあってな。

これは恥ずかしいのでボツだ。

書き直すつもり。

18禁くさい!
これは!

また見たかったやつだ!

いつの間にか無くなっていて。

それは分からないけど……。

Twitterはたまに画像のすり替えがあって。

アプリのドクターマリオでピーチ星3の画像をアップした筈なのに、いつの間にか星2の画像にすり替わっていた。

絶望してTwitterが嫌いになったよ。

ピーチ星3?

難しくないか?

確かにピーチは弱いけど、根性で頑張れば何とか。

アプリ版は指が擦り切れそうだからやめたよ。

人差し指の指紋が死んだ。

人差し指の指紋が死んだのは分かるよ。

同じ理由で辞めた。

しかし、画像すり替えか。

やめよ、本当に。

奴は殺したよ。

一緒に頑張ったのに!

ドクターマリオ得意なのか?
GB版で、Hiの22 までは行けたが。

それ以上は中々な。

Hiの20はクリア出来るのか?

信じられない。

慣れると何とかな。

楽しかった。

ずっとやっていたが。

動体視力、凄いから。
シリウス……。

好き過ぎる。

困るよ。

本当に。

恥ずかしいったら。

じゃあ描くなよ!
すまん。

調子に乗った。

もっと調子に乗ってくれ。

頼む。

ポップには

「ゲキ抜け! 謎の猫人間! 〜禁断のケモナーラブ〜」

という過激な広告が載せられていた。


シリウスは苦々しい顔をして、その場を立ち去った。

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登場人物紹介

シールック

シリウス

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スクナヒコナ

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