第66話
文字数 2,220文字
やがてパチンコ店の前に到着する。
派手な広告垂れ幕に、呆れたような視線を投げかけた。
しかし据え置きゲームとパチンコの一部しか動かないモーションの、容量制限とレスポンスなどのバランスを考慮すると、FF7はクオリティを落とさないとロードが長くなって最悪処理落ちする。
海物語は秘奥義カットインだけやたらと気合を詰め込んだみたいな、出力的にはそのくらいの容量しか必要なかったので、CCクオリティを最高まで上げることが可能だったのだろうとも推測出来る。
D2は突然、存在すら知らないおっさんなどが中ボスとして現れ、ステータスコマンドの文字の小ささに目を凝らしながらひたすら戦闘し、いつの間にか天地戦争時代に飛ばされて過去編が始まり、やがて船酔いが酷いジューダスが飛行艇を運転するようになり、気が付くとリアラが消えるかどうかの話になっている、そんな物語だよな。
やがて、少し歩いた先にある喫茶店に入っていく。
コーヒーを三つとホットサンドを注文し、おしぼりで手を拭きながら談話を続ける。
思うに、ミクトランは発達障害者だ。
かつて栄華を誇った環境を無理矢理にでも再現しないと気が済まない、環境の変化に激弱なタイプの。
同じような環境でしか生きられない。
慣れた場所でないとイキれない。
だから、頭の足りない敵としてラスボス化している。
いや、精神球と感性球は常に同時に存在はするのだが、伴って成長していくものでもあるんだよな。
精神球の領域の中に感性球が存在するが、精神球の受容領域が小さいと感性そのものが外部からの影響を受けやすくなって、実質無いようなものとも扱う事が出来る。
ミクトランは精神球は小さい上に、感性球も精神に根付くまでには育っていなくて。
過去の栄光に縋るしか自己を保つ手段を知らないんだよな。
未来が見えないんだ。
コーヒーをすすり、会話を続ける。