17話 驚愕!スカーレットの秘密!
文字数 4,380文字
ルト、ココ、アルベルト、グラリオ、ロキ、しずく、サーニャはフィールからテイル=プロミーズに近い出口からフィールの国を出ると、目の前に広がる湖に圧巻。
ほう……とにかくでかい湖じゃのう……水浴びしてもいいかの?
テイル=プロミーズ。
そこは、大きな湖に恵まれた自然の国。
「人と人ではない種族が争わず、お互いを尊重し共に暮らしていく」という約束が大昔から守られてきた。
……なるほどねぇ、大した国だなオイ!戦争やら帝国やらそういうのは無いってか?平和だねぇ!
はぁ〜…わかってないねキミは〜。
いいか?オレ様は小さいのには興味ないの。デカイお姉様がセクシーに水浴びしてるっていうなら喜んで覗くけども!!
失礼だし覗くのは悪趣味だにゃ。しずくちゃん、こういう男には気をつけるにゃ。
おいロキ、あんな事言ってるぜ?そんなことないよな〜?覗きは男のロマンだよな〜?
……アルベルトさんは大きい方がいいんだね。ボクの国にもそういう女の子はいるよ。
なんだって!?さっそくあっちに付いたら紹介してくれよー!ロキっち〜!!
なぁなぁどんな子!?どんな子!?何カップあるんだよロキっち〜!!
サイテーにゃ。お姉ちゃん、こういうオスに騙されてなければいいけど……
しずくさん、大丈夫ですよ。グラリオさん、アルベルトさん、ロキさんがいますから。ここは男性の方に任せましょう?
その瞬間、湖の方から何かが猛スピードで飛んでくるのが見えた。
グラリオは全員の前に出ると、「はぁぁ…!」と力を溜める。
グラリオは全力で目の前に向かってパンチを繰り出す。
その途端、グラリオのパンチは何かと衝突。
ズン!!とものすごい衝撃が生まれ、強風が吹き荒れる。
グラリオは目の前に向かって叫ぶ。
やがて強風が止むと、グラリオに衝突した何かは高くジャンプし、距離をとった。
そこには、白いツノの生えた鬼の子が拳を鳴らして立っていた。
【ふぶき】
そりゃ姉妹だからね!あたしはふぶき!戦うのが好き!誰か相手してくれるよねー?
おいおいちょっと待てよ、こんなチビっ子いじめたら可哀想だ――
その瞬間、ふぶきはアルベルトの真下に一瞬で移動。
満足そうにニカッと笑ったかと思うと、アルベルトの真下から腹部を殴った。
アルベルトは、某ゲームさながらそのまま上空に吹っ飛んでしまった。
ゲームセット!
あれ〜?ディアスって弱いんだね〜?大したことないじゃ〜ん
そう言うと、ふぶきは瞬間でロキの目の前に移動。
攻撃はせず、ロキに小声で何かを伝える。
しずくはね、"あの方"と取り引きしたの。別にあんた達の敵じゃないから安心して?
んー知らない方がいいと思うよ〜?関わるとケガじゃ済まないから。
……人間が鬼の心配するなんて驚いた。それも国の人間じゃないのに。
そんなものは関係ない!!もし危険な者と繋がっているならば私が相談に乗ろう!
よくわかんねーけどな、厄介な奴と取り引きしてるようにしか見えねーんだよなー
しずくちゃん!わたしも知らなかったにゃ!お話聞くから戻ってきてにゃ!
……ふーん?どうしてもなんとかしたいんだね。それならテイル=プロミーズにおいでよ。
捕らえられてる?
……ふーん、じゃああの2人はそこの妖狐の荷物なんだね?
まぁいいや!じゃああたしはテイル=プロミーズに帰るから!じゃあね〜!
なんだあのジャンプ力……!さっさと行っちまったぞ!?
****
テイル=プロミーズ。
テイル城。
高級な料理やワインなどのお酒がテーブルに並べられると、バスローブ姿のスカーレットが現れた。
スカーレットはセクシーに水着に着替えると、イスに座りナイフとフォークを持つ。
このお肉だけじゃ足りないわ。おかわり……くれるかしら❤︎
そう言ってスカーレットがシェフに指を指したその瞬間。
パンッ!!グチャッ
呼び出したシェフが勢いよく破裂すると、あっという間にステーキになってしまった。
ふぅ、このシェフはどんな味がするのかしら?
こだわりシェフ100%のステーキの出来上がり❤︎いただきます…❤︎
あ〜ん…また床と壁を血で汚しちゃったわ…血もジュースに変えられたらいいのだけれど……仕方ないわねぇ……
【すずね】
私はすずねです!お姉ちゃん達が会ったみたいですよ!
それじゃあきっと"彼"もここへ来るはずね❤︎嬉しいわ……❤︎
ん〜……女はどうでもいいし……あたしの”力”は男にしか効かないし……”あの女”に渡してもいいのよね……
チョコよ。あたしと同じゲノン帝国の幹部。
知ってる?あのメンヘラ、『メラニー』とかいう女をストーカーしてんのよ?
信じられる?せっかく女に生まれたっていうのに男を取っ替え引っ替えしないのよ?
それは姉妹だからでしょ。いい?
あたし メンヘラ 嫌い。
チョコ ヤンデレラ サイテー。
……まぁいいわ。とにかく、異世界人2人は何もしなくていい。もしフィールの国から"彼"が来たらすぐ教えること。わかった?
ガチャ バタン
スカーレットは、すずねが部屋を出ていくのを確認すると目の前のステーキをゴミ箱に入れた。
ふぅ…幹部なんて疲れるわ………お肌に悪いし、肩こっちゃう。
スカーレットはゆっくりと目を閉じ、ある記憶を思い出す。
………日本。五智谷市。
とある一軒家に、1人の女性が元気よく「ただいまー!」と帰宅する。
『あれ?誰もいないの?…んもう、どうせまたゲームばっかりしてるんだから!』
女性は「ON AIR」と書かれた部屋のドアを開ける。
部屋の壁や天井、棚の上にはたくさんの美少女のいやらしい姿をしたポスターやフィギュア飾られ、アニメの美少女が着ているコスプレ衣装がズラリと並んでいる。
そして、女性の目の前には、パソコンから「イヤン♥ダメン♥」とスピーカーから流れていても気にしていないのか、フローリングの床に寝そべって美少女ゲームをする少年…いや、青年がいた。
『………ただいま。
はぁ…あんたねぇ、堂々とエッチなゲームしないでよ。そのヘッドホンは何のためにあるの?』
『あぁ、これ?ゲーム実況だよ。今日の動画配信はお休みなんだ。』
『姉さんはオフ会どうだった?それ、コスプレでしょ?』
『ネットの名前、「スカーレット」だっけ。
大丈夫?オタサーの姫みたいにならなかった?最近流行ってるらしいじゃん。』
【スカーレット】
『ちょっと!なんて事言うのよ!あたしはストーカーとかオタサーの姫とかメンヘラとかそういうのはキライなの!大体あんたこそそんな顔をして根暗まっしぐらじゃない!目にハイライトがないよ?』
『ボクなら大丈夫だよ。それより姉さん、ゲーム好きでしょ?おもしろいゲームを考えたんだ。聞いてくれる?』
『舞台はファンタジー。武器でしょ、魔法でしょ、ギルドもあってジョブもある。姉さんはアイドルとかかな?』
『へぇ、いいじゃない。アイドルに転職できるゲームは見かけないけど、おもしろいかも。』
『でもスパイスも必要だね。ここはやっぱり帝国を作って、ファンタジー世界を冒険する人と帝国の幹部になる人がいた方がいい。もちろん死んだらゲームオーバー。永遠に彷徨うだけ。"2度と戻ってこられない"。まさにサバイバルでしょ?』
『それでね、なんといってもこのゲームには最大の特徴があるんだ。それは多分世界中が驚く要素で、他のゲームには絶対に無いもの。それは…………』
「このゲームには"この町"に住む人達が登場する」……それは本当になって、あたしはゲノン帝国の幹部……
そしてあの子は……姿も名前を変えてこの異世界に来た……
****
一方ルト達は、ロキの大事な話を聞きながらテイル=プロミーズの国境である、高くそびえる壁の前にいた。
なんだと!?それが本当なら、異世界人2人を捕らえたのは帝国の幹部、スカーレット!?
なんて奴じゃ!人間のオスを食べ物に変える力を持っておるのか!?
うええ……そんな女ならどんなにでかくても勘弁だなぁ……
さっき現れた鬼はふぶき。サーニャちゃんと一緒にモフコットにいたしずくちゃんの姉で、スカーレットに協力してるはずだ。
それは、グラリオさん……"あなたと同じ"だからです。
ああ。私の親友……名前は思い出せないが、彼にはファンがいてな。私達が通っていたジムによく手紙が届いていたんだ。名前は『
エリザベスH』。奇抜な名前だと笑っていた。しかし、私にもインターネットでよく知る女性からの手紙が届いていて……その差出人がスカーレットというわけだ。
……なんだか笑えてくるな……。人違いだったらと願ったんだが……。
あ〜……はは……今、確信したよ……。
ロキが言った帝国の幹部スカーレットは、私の通っていたジムに手紙を送り、異世界人2人を捕らえ、この世界の支配者の正体を唯一知っている人物……。
そう、スカーレットは……
ゲノン帝国皇帝の姉だ!!!
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