11話 名探偵ルナの憂鬱
文字数 3,343文字
――みなさんに集まってもらったのは言うまでもありません…そう、謎は解けたのです。
そう…大事な武器を盗み、悪事を働こうとしている犯人がね…。
古戦場の武器を集めれば一気に戦闘力が上がる…!町を襲うなんて簡単だ…!
…………。
……犯人は…………。
奏音さん、あなたです!!
え……!?ちょ、ちょっと待ってください!私は異世界人ですよ!?どうして私がそんなこと!?
っていうか、知らない人いるよ!?どうしてこうなったんだっけ……?
『おいおい、名探偵ならセクシーな姉さんの方がいいだろー?
ですよね!アルマ姉様!!(裏声)』
『へいへい、鎌持った死神さんは怖いねぇー。んじゃオレはこの部屋を探してやろう……』
『あら?バニーガールに着替えてる所なんだけど……』
『こんにちは!遅くなっちゃいました!合同合宿参加者のラビと申しまーす♪』
まずはあんた達が名乗りなさいよ!大体バニーガールだなんて怪しいわ!
あら、子供のくせにいちゃもんつけるなんてナマイキね。カジノにも行ったことないでしょう?
そんなとこ行くわけないでしょ!それでもギルドマスターなの!?
あなたどこかで見たと思ったらファルスの…随分態度が大きいのね?
あんたこそ調子に乗ってんじゃないわよ!怪我するわよチビ!
そうともバニー・ヴィーナス。ここは落ち着きたまえ。せっかくの美貌がちんちくりんで台無しだ……!
ちょっと!誰がちんちくりんよ!!あんたが喋るとややこしいから黙ってくれる!?
あはは!いいじゃないちんちくりん!
口が達者なイケメン、あたし好きよ?
バニーさんじゃなくて、あたしには名前があるんだけど…♪
あっそうだね。自己紹介がまだだった。じゃあ、まずは僕らから。
僕はアルバ。「夜明けの約束」のギルドマスター。
兄さんはラディウス。「光の約束」のギルドマスター。
マナちゃん。「獄蓮」のサブマスター。
リルちゃん。「ようせいのくに」のギルドマスター。
ミーナちゃん、ルナちゃん。「ツインウィッチ」のギルドマスター。
奏音ちゃんはギルド未所属。
それで……
あ・た・し・が!
泣く子も黙る「キングクラッド」のギルドマスター!!メルル・ハーミット様よ!!
覚えておきなさい?"うさぎオバさん"♪
オバッ…!?うさぎオバさんですってえええええええ〜!?いい!?ちゃんと聞きなさい!?
【ベロニカ・リリィ】
あたしの名前はベロニカ!ベロニカ・リリィ様よ!
世界中からレアアイテムが集まるスラム街「グリム」を代表するギルド、「歌うカジノ」のギルドマスターよ!
歌うカジノ…もしかして、ギルド施設がカジノになっているっていう?
そうよ♪豪華でしょ♪お金のないちんちくりんとは違うのよ!!
はぁ?闇市場はあたしの町、グリムにあるのよ?グリムに来たことあるの?ないでしょ?
おチビさんのちんちくりんにはアクスビットの市場でも覗いてなさい!
あ〜そんなこと言ってると知らないよ〜?あの子が来るから〜大変なことに〜
【クロガネ】
俺はクロガネ!さっきから聞いてりゃ女がギャーギャーうるせぇぞコラ!
まだそんな事言ってんのか!?前から言ってんだろ!甘いんだよ!
ええと…怖い方がクロガネ、ということは優しい方の名前はシロガネだったり?
【ラビ】
わ、私はラビっていいます…
うちのギルドはハロウィンっていう"向こうの世界"のイベントが好きで、みんなこういう格好をしてるんです……
あっ!ジョブはアルケミストで、「ホリデーライム」っていう所のギルドマスターをしてます……よ、よろしく……
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一筋縄ではいかない自己紹介をなんとか終えた一同。
バニーガールの女性はベロニカ・リリィ。
多重人格の少年はシロガネ、時々クロガネ。
そして、カボチャの帽子を被った少女はラビ。
名探偵ルナは、魔法で空中にメモをすると3人に持ち物が盗まれた事を話した。
――なるほどね…"忘却の古戦場"の武器が無くなったわけだ……
無くなったんじゃなくて盗まれたんだよ!間違いない!
あの一瞬で盗んでこの場から姿を消すなんてすごいですね…
忘却の古戦場というのは、昔おっきな戦いがあった時封印されたと言われる伝説の武器です!とっても強く、とっても珍しいのです!
それができちゃう武器だもんね…るーちゃん、ほんとにどうしよう……
おい!まさか疑ってんじゃねぇだろうな?俺はそんなものいらねぇぞ!
素手で握り潰す!それだけだ!
物好きもいるのね。いい?忘却の古戦場の武器の効果の1つにこんなものがあるの。
武器に選ばれた場合、選ばれた人物のみに力を発揮する。
つまり、どこぞのハンターや海賊、トレジャーハンターが武器を装備したところで何にもならないの!知らなかったでしょう〜?
このままスケジュールが進んでも困るね…たしか合宿では武器を使った練習があったはずだ。
そうなんだけど、ギルドアイテムの1つ「演習場」と同じように武器による攻撃と魔法による攻撃のダメージを無効化する大きなドームがあってね。剣で斬られようと炎で焼かれようと体に支障はないんだって。
はは〜ん?いいわ、そこでオバさんに地獄を見せてあげる♪
チビのちんちくりんの可哀想な貧乏ちゃんを後悔させてやるわ!いいでしょ?あんたも付き合いなさい!
揺れるヴィーナス!うっひょー!どこが揺れるとは言わないけどっ!
****
一方、
ギルドアカデミー内、部屋。
薄暗い部屋に光が差した。
あ、あなたは何がしたいんですか!?こんなに集めて…!
それは知らなくていいよ。どうせ来世で会うんだから。
あれ?ボクの事知ってるんだ?
ボクは壊すのが大好き。物も命も。
来世で会うってことはキミも壊したいってこと……
知ってます!あなたが「来世」って言う時は標的を消すときだけ!
お願いです!メルルちゃんを殺さないで!
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