#25 【決断】メイの悲しき過去!立ち上がれ勇輝!
文字数 2,950文字
前回のあらすじ。
アーリー城の潜入に成功したジャック達は、グラリオとの再会のための「操縦室組」、もみじを救出するための「救出組」に分かれて行動することに。
しかし、勇輝はトイレに行くと言い1人で行動している間、サラ、メイ、カレンのいる寝室へ向かってしまう。
そこで、運が良かったのか悪かったのか
サラ、カレンは寝室を抜けた後、勇輝は寝室に入り、メイの異世界人発言をバッチリ聞いてしまう。
****
寝室からジャック達のいる部屋へ戻ってきた勇輝。
メイとの再会した事やメイとの会話を話した。
つるてかの宿で会った帝国の幹部の仲間に再会したあああああああ!?
それってあの、プロポーズしたっていう女の子!?おいおいおいおいどうなっちゃうんだよー!?
しかもボクらと同じ異世界人で勇輝さんの友達が女の子のお兄さん!?
勇輝さん、目が死んでますよ!しっかり生きてくださいっ!
やっぱりか…みんな、よく聞いてほしい。
今回のアーリー城の奪還、とても辛い戦いになると思う。
その戦闘が問題なんだ。
勇輝くん、悪意の無い相手と戦えるかい?
いや、悪意の無い相手を殺さなくてはいけない覚悟はあるかい?
――数年前。
グラーディア。
カジノ。
貴族らしい格好をした小太りの中年が、ポニーテールの少女を執拗に蹴りながら罵倒していた。
『何度言ったらわかるんだ!!メイ、お前には帰る所など無いのだ!大人しく私に従っていればいいのだ!逃げようとしても無駄だぞ!!』
『おい、少女の髪を引っ張ってるのは貴族じゃないか?』
『なんでも帝国の貴族の住む町、エルトーンから来たそうだ。何年も前からこのカジノに通ってるらしい。』
『酷いが、諦めよう…私達にはどうする事もできない…あの子の運が無かったんだろう…』
『ふざけんなだと!?なんて生意気な小娘なんだ!
いいか~?この私が偶然この町で倒れていたお前を拾わなかったら、今頃帝国に捕まって死刑になっていた所だったんだぞ!!』
『フン。大人しく全裸になれ。いつものように従えばいいんだ。』
『なんで~?教えてやろうか!
それは!お前が!偶然帝国の皇帝の正体を見てしまったからだよ…!
皇帝は自由に姿を変えられる…だが本当の姿は誰も見たことがない…』
『我々の前に現れる時の姿では眼鏡じゃないんだよ…
つまりそれは、お前が見た本当の姿だ…
もしこの事がバレてみろ、お前は確実に殺される……!』
『……ふん、気を失ったか。このクソ生意気な!女が!!この私に敬語を使わなかった!!くたばれ!!ハハハハハ!!ハハハハハハハハハハハ!!』
『おい貴様、異世界人だろ。俺はゲノン帝国の兵士だ。
なんだか臭うがまぁいい。捕まえたぞ。処刑だ処刑!』
『おい邪魔すんな。今からこいつは我々ゲノン帝国のために死――』
『これでもう大丈夫。僕がどこでも連れてってあげるよ。何をしたい?』
『僕の行きつけの酒場なんだ。美味しいよ!食べて食べて!』
『久しぶりに帰ってきたと思ったら……ガールフレンドか?』
『まさか!違うよ!
紹介するよ!「死にたがりちゃん」でーす!』
『おいビット、女の子に付けるあだ名じゃないぞ。冗談でも言っていい事と悪い事があるだろう。』
『モグモグ……バリバリ……モグモグ……
うんめぇぇぇええええええええええ!!!おかわりぃ!!!』
『急いで食べなくても大丈夫。食べ物は逃げたりしないからな。』
『ソニアたーん!
…………おろ?その子もしかして……』
『知ってるも何も……
ふふっ。良い顔するんだねぇ♪』
『うめぇうめぇこれもうめぇ!あたしこんな美味い飯食ったことないよ!』
『ありがとな、ビット!
でも1つだけ訂正させてくれ。
あたしは「死にたがりちゃん」じゃねぇ。』
『あたしはメイ!
五知谷高校から来た女子高生、黒岩芽依(くろいわ めい)だ!』
すごい過去があったんだね……オレがソニアちゃん達に会う前にそんな事があったなんて……
でも、どうして帝国の手下になってるんだ?今の話だと「いい子でした〜めでたしめでたし!」ってなるじゃん?
うん…ここから先、何があったかは知らなくてね……つまり今の話は帝国の幹部の仲間になる前の話、というわけさ。
あの子がそっから先どうなって帝国の仲間になったのかなんて関係ねぇ!オレ、あの子を救ってやるって決めたぜ!たとえ帝国の幹部と戦うことになっても後悔なんかしない、上等だ!戦ってやる!!
ふぅ、仕方ないわね……
じゃあ、「操縦室へ行く」「もみじを救出」「メイを説得」の3つに分かれましょうか。
操縦室に行くのがシャルロットさん、ビットくん。
もみじちゃんを救出するのがさくらさん、ジャックくん、ボク。
メイさんを説得するのが勇輝さん、になるのかな?人手が足りないね……
問題ねぇ!オレ1人でやってやる!
ジャック、シャルロット、ビット、オレにやらせてくれ!!頼む!!
相棒。1つだけ言わせてくれ。
勢いでそんな事言ってるだけならやめてほしい。死ぬなんて絶対許さないからな。
……はぁ……かっこつけちゃって……
わかったわ。じゃあコレを持って行って。
使うと、あんたに触れた事のある誰かを1人だけ召喚できる。危ないと思ったらすぐに使って。それと、決して無理はしないで。
これがあんた……ううん、あなたに1人で行かせる条件。
今のあなた、とってもかっこいいわ。
だからこそ、必ずまた再会する事を約束してほしい。メイと一緒に。
ツンデレってヤツだな。羨ましいぜ相棒!
必ずまた会おう、クサいセリフだけどいいじゃん!
いいか相棒?
ソルブラの伝説はまだまだ終わらないんだ、これからも見せてやろうぜ?異世界の誰もが振り向くような伝説を刻み込むんだ!
おっといけねぇ。なんでもない。
相棒の事、頼んだぜ?
さてじゃあ、異世界ギャンブラー藤崎勇輝、いっちょ未来の嫁を救ってきますか!
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