23話 二度目の覚醒
文字数 4,139文字
ゲノンムルグ城。
2階。
そう言うと、アストリアは消えてしまった。
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ゲノンムルグ城。
3階。
ハルの手を引くゴワス。
4階への階段を見つけ、足早に去っていった。
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グラーディア。
グラスオーヴィ。
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ゲノンムルグ城。
3階の廊下。
巨大なチョコの形をした物を腹部に受けたヴェイルノートが、勢いよく廊下の壁に当たる。
だってそうでしょう、私は私が傷つけた者よりも傷を負っていない!これでは罪を償えない!轟鬼さんの攻撃だけでは足りない!!
だから私は、あなたの攻撃を避けない。あなたの攻撃を全て受けます。私からは一切攻撃しません。
その瞬間、ヴェイルノートの目の前に闇の姿をした轟鬼そっくりの人形が現れ、
腕を引っ張られたヴェイルノートは黒い炎を纏った拳をまともに喰らってしまう。
轟音と共に、廊下の壁にめり込んでしまった。
大きく罵倒するチョコ。
ヴェイルノートは吐血し、チョコの前にいる轟鬼を見つめる。
ほんとに死ぬよ?武器でもない、魔法でもない、戦った事もない異世界人でもできる簡単な方法で死ぬの、恥ずかしくないの?
ここで座って待っててあげるからさぁ、闇の姿になっちゃお?希望とか仲間とかそういうの要らないからさぁ、また前みたいに全部壊そうよ?グラリオもロキもヴェルグもミノルも、今度こそ殺そう?闇になるのは楽だよ〜?知ってるでしょ?
そう言うと、チョコはどこかへ行こうとする。
その瞬間、ヴェイルノートの姿が徐々に黒くなっていく。
アストリアが言った言葉を、今のヴェイルノートは覚えていない。
やっとその気になってくれたんだね!
知らないと思うけど、ヴェイルちゃんがもう一度闇の姿になれば、ずっと闇の姿になったままだよ。記憶も理性も全て失っちゃう。もう二度と戻れない。
もし本物の轟鬼と再会しても殺すだけ!あはは!