20話 シルハイド襲来!アルベルトの悲しき再会!
文字数 4,217文字
前回のあらすじ。
テイル=プロミーズの最初のエリアは妖狐。
ルト達は、「終末の掃除屋」ダスターと戦うが…?
『さぁ、お膝に頭をどうぞ♪「バブちゃん」みたいにバブバブって言ってくださぁい♪』
なんと、アルベルトが幼児化。
茶番のように見えるやりとりがあったが、ダスターの持つ注射器の効果による罠だった。
次第に自分を見失い、危機に陥るアルベルト。
『アルベルトはわたしがいい子いい子するにゃ!あんたは引っ込んでて!!』
しかし、アルベルトをヘンタイ呼ばわりしていたサーニャのまさかの救出により、アルベルトは一命をとりとめた。
****
テイル城。2階。
グラリオと大文字タケルのパワーによって2階の屋根から上の部分が無くなってしまい、雲一つない青空が広がっていた。
スカーレットは”屋根のない”大きな部屋に立つとブツブツと呟きながら両手を前に出し、体全体に紫色のオーラを出す。
するとどうだろう。砕けた城壁や本棚、ガレキがふわふわと宙を浮く。
壊れた部屋を直してんの!大体あんたが壊したんでしょ?わかってんの?
ん、壊しちゃいけなかったか?まぁ犠牲はつきものだ!ドンマイ!!
今取り込み中なんだけ…………
なに?変態さん。また水着をいやらしい目で見に来たわけ?
あぁ。とっておきのニュースを持ってきた。
実は”拾い物”をしてな?いやぁ、「繋ぐ繋がる」ってのは便利なんだなぁ。
あ~…いわゆる”メタ発言”になるんだが、不思議な事象でね。本来決められたエピソードにしか居ないはずの存在があちこちのエピソードにひょっこり顔を出す…。
スカーレット、お前の弟…つまり皇帝もこのエピソードにはいない。それと同じさ。
オレも知りたいぞ!!!皇帝というのは”何の話”に居るんだ!?
「貴族」か!?
「一匹狼」か!?
「双子」か!?
「アイドル」か!?
「オネエ」か!?
「異世界転生」か!?
……う”う”ん。
本題に戻ってくれる?どの話から誰が来たの?
……それは秘密だ。
なぁ、オレは拾い物の”アイツ”をディアスの…”なんとか=コア”と戦わせてぇんだ。鬼、悪魔、獣人、どのエリアでもいい。仲間は多い方がいいだろ?
却下♪
あなたはここにいなさい?この城これから使う予定だったのに壊したのどこの誰?
****
一方、妖狐のエリア。
ルト達はダスターから離れ、物陰に隠れていた。
よくやったな!サーニャ!素晴らしいジャンプ力だったぞ!!
照れるにゃ!ニャルシーのジャンプ力は伊達じゃないのにゃ!
肝心の本人は何も覚えていないようじゃが、これは敵の武器の効果。こればかりは仕方ないのう…
そうじゃ、ロキ!お主もわらわと同じだったのじゃな!
あ、あはは…。なんだか恥ずかしくてね。耳と尻尾がなるべく出ないようにしてるんだ。
そう言うと、ロキは物陰からダスターを見つめる。
ダスターは灰色の銃を持ち、ふらふらと歩きながらブツブツと呟いている。
帝国で使っているものだよ。銃に魔法をかけることで、弾に炎・氷・雷のエネルギーを付与することができる。
うおい!?ただの弾じゃないのかよ!?ヤバくねぇか!?
赤い魔法陣が銃の上に浮かんでいるぞ…?あれは炎を発射するということか?
あははは…
全部キレイに~燃やしてしまえば~な~んにも無くなっちゃうんですよ~?
すると、ダスターは黒い霧を纏う。
銃は漆黒に染まり、ダスターは笑いながら苦しそうな表情をしている。
物陰から走るロキ。
しかし、苦しむダスターの前に謎の男が現れた。
おいおい…初対面でいきなり殴りかかるなんて、人間ってのは乱暴なんだなぁ…
ロキの前まで走り、男にパンチを繰り出すグラリオ。
男はニヤニヤと笑い、そのまま腹部にパンチを喰らった。
な、なんだ…?どうなっている…!?手が動かない!!
グラリオさんの手が…体の中に飲み込まれてる…!?今助け――
あ”~…ゴツゴツ、ガチガチの肉体じゃねぇか…これだから男は嫌なんだ……
【シルハイド】
オレか?オレはシルハイド…。好きなものは女の体と水だ…。
かわいこちゃんには目がない、超イケメンのプラント様よ…。
あぁ?オレは「植物」って呼ばれんのが………大嫌いなんだよ!!!
その瞬間、シルハイドは自分の体に飲み込んでいたグラリオを勢いよく吹っ飛ばした。
グラリオはルト達と隠れていた物陰に直撃すると、磔にするようにツルで縛り上げられる。
ヒヒヒヒ…かわいこちゃんが1匹、2匹、3匹…美味しそうな体してんじゃねぇか~…どの娘にしようか悩むなぁ…?
シルハイド!ここはお前にとって他のエリアなんだろう!?なぜやってきた!!
ヒヒヒ…アルベルト=コア、オレがここに来たのはお前に用があるからさ…。だが、その前に……。
すると、シルハイドは口のついた巨大な花を地面から召喚。
苦しんでいたダスターはあっという間に捕らえられ、気を失ってしまった。
よし、これでお前らは妖狐のエリアをクリアした。感謝しろよ?
オレがお前らの代わりにダスターを倒してやったんだ。こいつの炎がオレのエリアまで届いちゃ大変なんでね。さて、カギはどこにあるのかなぁ~?ここか~?
そう言うと、シルハイドは巨大な花のツルを操り、ダスターを服の上から触る。
どうしてだよ~?カギがないと先に進めないだろう~?
カギは胸か?尻か?それとも~…?
サイテーにゃ!どっかの誰かさんよりヘンタイがいたなんて思わなかったにゃ!
抵抗できぬ女子(おなご)に何という事を…!気持ち悪い奴じゃ!
ヒヒヒ…別にオレが直接服の中をまさぐってもいいんだぜぇ?オレはどこにでも行けるんだ…!こんな風にな!
まさか、同じ植物の中ならば自由に移動できるのか…!?
おおっ!最高だぜ!!超でけぇ胸、超やわらけぇ!尻もイイねぇ!どうだ、羨ましいだろ?なんなら脱がしてやるーー
………へぇ、すげぇ気迫じゃねぇか。まぁまぁ怒んなよ?ほらよ、カギだ。
お前らにカギをやる。お前らはそのカギで次のエリアに進める。
その代わり、ダスターの体は好きにさせてもらう。どうせお前らにとって敵なんだ。別にいいだろう?
ダスターを取り戻したいってか?
いいだろう。オレはプラントのエリアでお前らを待ってる。オレを倒して奪うんだな。
そうさ!ダスターがいなくなる代わりに!新たに1人追加した!!
そうさ!!何があったのかは知らねぇが、まさかこんなタイミングで”奴”が来るなんて思わなかった!だが奴はゲートを越えてここにやって来た!!
アルベルト、お前は絶対に勝てない!ゲームは終了!
オレは異世界人の女の体も好き放題!最高のシナリオだ!!
てめぇ、オレを見くびりすぎじゃねぇか?オレはもう負けねぇぞ!!
”以前のあいつ”なら戦う必要もないだろうな。
だが、チャチャっと頭をいじくってやったら……ヒヒヒ……!何でも言う事を聞くようになったんだ!!
あ~…画面の前の奴らはわかるだろうなぁ?
”この20話”と”あの20話”の時系列はほぼ同じなんだ……!
そう言うと、シルハイドは両手を広げ、茨で作ったゲートを創り出す。
出てこい!!
「繋ぐ繋がる」で帝国からやってきたディアスの王子、ヴェルグ=コア!!!
ゲノン帝国幹部としてアルベルト=コアを殺せ!!!
ゲノン帝国幹部、ヴェルグ=コア…
皇帝、そしてシルハイド様の仰せのままに……。
ヒヒヒ……こいつはもうお前の知っているヴェルグじゃねぇ。オレ達ゲノン帝国、しかも幹部として新たに生まれ変わった存在だ。元の記憶など何も無い!!!
嘘だろ…!?おい兄貴、目を覚ましてくれよ…!オレだぞ、アルベルトだぞ!?おい!!
な、なんだよ…!やっと…やっと会えたってのに…!!おい!!!
ヒヒヒ……ヒヒヒヒ……!安心しろ、アルベルト=コア……!
オレも鬼じゃない。実の兄貴を今すぐ殺せなんて言わねぇよ……!
無駄だよ。ヒヒヒ……。
いいか、アルベルト?お前の兄、ヴェルグはこのゲームに参加してもらう。異世界人を救いたければ殺してカギを奪え。
!?
……そんな事…!そんな事できるわけねぇだろ……!!
いいのか?ロキの姉、ダスターを奪うにはヴェルグを殺すしかない…!ヒヒヒ…ヒヒヒヒヒ……!
さぁ先へ進め!グラリオは大文字タケル、ロキはダスター、アルベルトはヴェルグ、ルトは異世界人の2人だ!全てを奪い返してみろ!!!ハハハハハハハハハ!!!
クソがあああああああああああああああああああああ!!!
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)