22話 脱出不可能!?私立ごちゃエピ学園ハイエンド!前編
文字数 6,190文字
男部屋。「メガロアーク」。
ゴラゴラン、煌、ボストンは、布団を敷いてゴロゴロしていた。
そうだな〜。女将の事だから「裏ワザ」を知ってるんだろ!
"あっち"じゃ一人暮らししててな?家事全般の裏ワザを頭に叩き込んだのよ。まぁ、裏ワザってほどでもないけど。
じゃあ日本の主婦の味方、煌ママが教えてあげるわ!ちゃんとよく聞いてね!
じゃあ最初は「お布団を干す時間帯」。
ベストなのは何時から何時までだと思う?
じゃあ……ボストンきゅん!
え〜……やっぱりお昼じゃないかな?12時から1時とか!
やっぱりそう思うわよね。
でも正解は10時から15時なのよ!
あ、布団といえば子供の頃、布団たたきで叩くのが楽しくてバンバンやってたよ!よくお姉ちゃんとチャンバラしてた!懐かしいなぁ!
えっ!そんなに怒らなくても大丈夫だよう!ケンカしてたわけじゃなくて、チャンバラだから!」
ノンノン。そうじゃないわ。
布団たたきでバンバン叩くのがダメなの。
布団たたきはお布団のホコリとかダニとかを落とすためにやるもの。
叩いてしまうと傷つけたりするからNG。羽毛布団なんて叩いたら中の羽が壊れちゃう。
表面を撫でるように優しくしてあげるのが正解よ♪
おわあ!?びっくりしたぁ!?
どうしたんだよジイさん!元気じゃねーか!
そう言うと、紋三郎は手に持った何かを見せる。
それは……。
あ……あれ!?
ねぇ!画面の中に青い髪型の人映ってない!?
煌、ボストンが気付いたのは、
どこかの学校の広い教室の中で窓の外を見つめる末吉。
よく見ると、手を振っているように見える。
『そうだ。この宴会場にもテレビがあるなぁ。女将さんの言っていた事が気になって仕方ない。見てみよう。
……あったあった。テレビの電源はっと……。』
『う〜〜。飲みすぎたわい。
末吉君、ワシの事は気にせず先に戻っていていいぞ?そろそろ落ち着いてきたからのう。』
『いや、どうも気になるのです。どれどれ?どんな番組が――』
『末吉君……?末吉君!どこに行ったんじゃ!?おい!!』
――はぁ!?じゃまさか目の前で消えちまったってのか!?
そうなんじゃ!!
それで、フロントで貸し出しているタブレットの電源を入れてみたら……!
女将さんが言ってたテレビの異変、「変な番組」だけじゃなかったって事だろ!?
いいじゃねーか!おもしれぇ!行ってやろうぜ!?
ボク達もこの中に行くつもりだね?わかった!ボクも行くよ!
助けに行こう、仲間を!!
紋三郎殿。ここにいる全員心は一緒です。末吉殿は仲間、それならば突然どこかへ消えてしまっても追いかけましょう。ここは異世界、何が起きてもおかしくない。そして元の世界では味わえない冒険が私達を待っています。
へへっ。ここまで一緒に旅してきたんだ!このどすえ亭じゃ物足りねぇ!行ってやろうぜ!画面の向こう側、新しい冒険の世界へ!
ボクも最初は怖かったけど、もう大丈夫!たくさん笑ってここまで来れたんだもの!せっかくの異世界、もっと楽しまなきゃね!ボク、ワクワクが止まらないよ!
……うむ!わかった!!
では行こう!テレビをつけるぞ!
ゴラゴラン、煌、ボストン、紋三郎は笑顔を浮かべ、テレビをつける。
画面を見ると、末吉がいる教室に人間には見えない少年が入ってきた。
う、うん……なんでかな……
おじいちゃん、遠くに行っちゃう気がする……もう戻ってこれないみたいな……そんな気がするの……
****
どれくらいの時間が経ったのだろう。
金髪を優しい撫でるそよ風が気持ちいい。
キーンコーンカーンコーンという音が聞こえる。
そして、なんとなく怪しい声も聞こえる。
フーフー、いやハーハー?獣がいるのだろうか。
違う。この声は……。
煌はあまりの衝撃に飛び起きた。
未来とよく似た髪型の女装した男性が顔を覗き込んでいたのだ。
や、やめろーっ!!なんなんだお前!オレは男に興味なんてないぞ!近付くな変態!!
えっ!なんで変態だって知ってるの!?初めて言われたよ!!
言わねー方がどうかしてんだろ!!しかも自分で認めてどーすんだよ!
んもう〜そんなに大声出さなくてもいいじゃないかぁ〜。僕はこう見えてもアニメを見るのに忙しいんだよ〜?
僕は星乃未来……らいちゃんの大ファンで、コスプレイヤーをやってるんだ。このコスチュームはらいちゃんへの愛を示すために自分で縫ったんだよ!すごいでしょ!
ってことはボストンきゅんと同じなのか……そういや話し方が似てるような……
あぁそうだ、早く教室に戻らないと先生に怒られるよ?サボりでしょ?
はぁ?
……あそうか!オレ、テレビの中に……!
お、おい!綿貫末吉って男を知らねーか!?
あのね。僕は女の子にしか興味ないの!
この学園はいいよ?らいちゃんみたいなかわいい子、キレイなお姉さん、ロリっ子、たくさんいるんだから!
いや知らねー…………まぁいいや。
とりあえずここが学校ってのはわかった。言っとくがオレはサボりの生徒じゃねーぞ。
え?この学校の生徒じゃないならどうしてここにいるの?ここは選ばれた者しか入れない「ごちゃエピ学園」だよ?
え?冗談だよね?
各エピソードで人気の高い者、またはこれからの人気に期待されてる者の学校。私立ごちゃエピ学園、エリートだけが通う校舎。
こんな事知らないわけないよね?君も生徒なんでしょ?どこのクラス?それとも不審者?
おめーに言われたくねーよ。
あ~…じ、実は転校生でさ、どのクラスに編入されるか忘れちゃったんだよ。教室もどこにあるのかわからなくてさ。ははは……
あ、そうだったの?
ごめんごめん!それじゃあ先生に聞いてみよう!いつまでも校庭にいたら怒られちゃうよ!こんなところで1人で寝て何してたんだい?
(まずい…!オレ1人かよ……!?みんなとバラバラになったってのか!?)
わ、悪い!オレっち1人でなんとかしてみるからさ!あ、ありがとな!ちょっと校庭を走りたい気分なんだ!じゃ!!
走りだす煌。
校舎には向かおうとせず、校庭から学校の敷地の外へ向かおうとする。
フェンスを乗り越えりゃ外に出れるだろ!
先生を呼ばれたら面倒だ!ここは一旦――
ひいっ!??ウソだろーーーーーーーーーーーーーーーー!??
煌は絶叫。
校庭の外は崖。チラッと下を覗くと、雲と日本列島が見えた。
わーい日本って大きいなぁ~
…っておい!?なんなんだここは!?空に浮かぶ島とかいうんじゃねーだろうな!?
正解だよ~!
ここは天空の学び舎、落ちたら死んじゃうよ?
【サイトウさん】
じゃあ改めて……僕はサイトウさん!サイトウさんだからサイトウさん!
ごちゃエピ学園代表!ちっちゃい女の子が大好き!おちゃめな妖精さ!
よ”ろ”し”く”ね”!(ダミ声)
はぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああ!??
あわわわわわ…!どうしよう…!
とんでもない事になった……!
【さくら】
では、この問題を……
鬼越ボストン君、お願いできるかしら?
あっ姉さん!また肉まん食べてる!給食まだでしょー!?
【大文字タケル】
先生!!!鉛筆を折ってやったぞ!どうだ、すごい力だろう!
【ジルード】
先生。今の時代、鉛筆削りなんて古いよ。オレのレーザーで芸術的な形にだってできるんだ。
タケル、無闇に鉛筆を折るのはよくないぞ。ちょっと貸してみろ。
おお!俺の鉛筆の先っちょがジェイドの顔そっくりになった!超かっこいいなぁ!
よっしゃあ!!!
【ジェイド】
何?僕を馬鹿にしてるの?闇に消えてもらうよ?
【ヘレナ】
ちょっと男子静かにしてよ?勉強に集中できないんだけど。
【シルハイド】
フン。オレ達にビビってちゃあこの学園で生き残れないぞ。ここは学校じゃねぇ、戦場なんだ。そんなに怖いなら遊園地でも行ってな。
(明らかに変なクラスの転校生になってしまったあああ!ゴラゴランさん、煌さん、おじいちゃん、た〜すけて〜〜〜〜〜〜!!)
****
横一列に並べられた植木鉢や色鮮やかなバルーン、虹色のアーチ。
ゴラゴランは、大きなテーマパークの入り口に立っていた。
あれあれ〜?合言葉を知らないということは、生徒ではありませんねぇ〜?不法侵入ですか〜?
いや!私は怪しい者じゃないんだ!あぁ、ええと……そ、そう!今日からこの学校の教師になったゴラゴランだ!よろしく頼むッ!
ほら、この筋肉!立派な体育教師になるために鍛えたんだ!カッチカチだぞッ!!
なんだ〜先生だったんですか〜
それならちょっとお願いしてもいいですか〜?
心強くてかっこいいですね〜♪
実は〜あちらの生徒が暴れていて〜困っていたんですよ〜
ゴラゴランはアーチの向こう側、ごちゃランドの中を見る。
すると、1人の少女が警備員らしき男性と揉めているのが見えた。
ありがとうございます〜♪
それじゃあ私は入り口を封鎖しておきますね〜♪
ごちゃランドのスタッフらしき女性は、アーチのスイッチを押す。
すると、アーチの上から鉄格子が出現し閉じ込められてしまった。
よく見ると、アーチの向こう側、つまりごちゃランドの外に大きな校舎が見える。
「私立ごちゃエピ学園」と書いてあるのが見えた。
遅かったか……!
仕方ない、学校に入るのは諦めた方が良さそうだ。ええと、女の子は……
少女を探すゴラゴラン。
すると、揉めていた少女がまっすぐにこちらへ走ってきた。
聞いてくれ!私はここに来たばかりなんだ!この学園の者じゃない!
途端に、少女は走るのをやめ、ゴラゴランと背中合わせに立つ。
すげーな!あたしも同じなんだ!なぁおっさん、ちょっと協力してくれるか?
【メイ】
まず自己紹介だな。あたしはメイ。
気が付いたらこの学園にいたんだ。よくわかんねーでこの遊園地に入ったらこのザマってわけよ。
私はゴラゴランだ!
まさか、君もテレビの中に入ったのかい?どすえ亭のお客さんかな?
いやなんでもないさ。
協力と言ったが、おおよその検討はついたよ。
へへっ。助かるよ。
つってもこの状況じゃあ、誰でもわかるか……!
身構えるゴラゴラン、そしてメイ。
2人は、戦隊モノで出てきそうな黒いスーツを着た謎の人物に囲まれていた。
あたしもよくわかんねーけど、1つだけわかる。もしかしておっさんもか?
****
一面ピンク色の部屋。不思議な甘い香り。そして、とても地上波で放送できそうにないアハンでウフンな格好の女性達。
教卓があるはずの黒板の前に、ふかふかでふわふわなソファーに寝っ転がり、魅惑の膝枕で幸せそうな表情をしている紋三郎がいた。
うっほほいほ~い……スベスベでプニプニの太ももが最高じゃあ……うひひ……
【ベロニカ・リリィ】
ウフフ❤︎
センセ、そんなに太ももが好きなの?火照っちゃうわ❤︎アタシは出席番号24番。ベロニカよ❤︎
昇天してしまいそうじゃあ……困ったのう……うひひひひひひ……
【アルテミア】
いやぁん❤︎そんな顔されたらぁ……授業できなくなっちゃううう〜〜〜❤︎
あたしは8番、ア・ル・テ・ミ・ア。チアリーダーをやってるの。ちゃんと名前覚えてね〜❤︎
【リサ】
先生?授業しなくていいのかい?いいよね〜?
あたしはリサ。よろしく❤︎
【デミア】
あたしはデミアよ❤︎何番でしょうか〜?
名前も出席番号も性格も元々出てるエピソードも、覚えるまで帰してあ〜げない❤︎
【スカーレット】
ようこそ❤︎私立ごちゃエピ学園ハイエンド、女の子だらけの3年B組へ……❤︎
つるつるでムチムチでハリのあるバスト❤貴方を誘う小ぶりなヒップ❤
ずーーーっとここにいて、い・い・の・よ❤アハァン❤
カメラ目線で3年B組の教室のドアを閉めるスカーレット。
口に手を当て「Keep out❤」と小声で囁き、
紋三郎に、濃厚で危険なドリームタイムが……
始まる……?え、始まっちゃうの?大丈夫なの?ねぇ!
【ハヤト】
この学校、いやこの空間に迷い込んだ異世界人がいたよ。さっき見たんだ。
そうですか。素晴らしいご報告ありがとうございます。ハヤト君、「この空間」と言いましたがここが何なのかわかっていますか?
繋ぐ繋がるをフル活用した空間。多くの異世界人に僕らを知ってもらうためのステージ。だろ?
そうです。
「アイドルと不思議なバスの話」終点のどすえ亭、これでこのお話は終わり……というのは寂しいんです。
「他のお話」に出ている方々の"分身"をこの空間に呼び、皆で盛り上げ、
なぜ学園なのかは……そうですねぇ。創作活動をしている異世界人には「学園パロディ」と言えば伝わるでしょう。
"この世界"の登場人物はとにかく多い。
ですが、少しでも見た目やセリフが気に入った人がいれば、"他のお話"も読んでいただけると嬉しいですねぇ……。
あぁ、名前を覚えていただいたりファンレターを送っていただいてもいいのですよ?
さて…………。
【アンバー・ファンタジア】
ここは学校と遊園地が融合したアミューズメント・スクール。ごちゃエピ学園の中でも、エリートのみが登校を許される禁断の学び舎。「私立ごちゃエピ学園〜ハイエンド〜」。
学業に勤しむも良し、アトラクションを満喫するも良し。
ふふふ……。
ゴラゴランさん、一ノ瀬煌さん、鬼越ボストンさん、綿貫末吉さん。
このアンバー・ファンタジア、丁重におもてなししましょう。
脱出など…………させませんよ?
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