22話 ルト、悪夢での出会い
文字数 4,233文字
前回のあらすじ。
妖狐のエリアから悪魔のエリアに進んだルト達。
しかし、シルハイドにダスターさんが奪われた事、「オネエと帝国の秘密の話」にいたはずのヴェルグと帝国の幹部として再会してしまった事から全員の心は深く傷ついてしまう。
そんな中、皆を励まそうと冗談を言うグラリオの前に、悪魔のエリアの刺客デミアが現れる。
一方、グラリオのみが消え、残されたルト、ココ、サーニャ、ロキ、アルベルトは、不安と苛立ちがピークに達してしまう。
ついには、
アルベルトとロキの喧嘩、いや殺し合いが勃発。
サーニャが泣きながら2人を止めに入ると、
アルベルトはロキではなくサーニャに殴りかかる。
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ここは霧の中。
デミアは黒いボールのようなものに座り、鼻歌を歌っていた。
ーー悪魔のエリア。
真っ青になるロキ。
ロキの足元には、全身の骨が砕け、顔面が血まみれになったサーニャが倒れている。
すでに息はしていない。
そう言うと、デミアは霧を操る。
すると、霧の向こうにロキがサーニャを串刺しにしている光景が見えた。
……知ってるじゃない。
そうよ?アタシの能力は「悪夢」。
対象となる生き物が避けている、または恐れているイメージから創った世界に、本人をポイッ。
起こる事は全て本人の嫌な事、怖い事だから、良い事なんて何にもなーい!
まさにあ・く・む♪
ロキね。
幻に包まれているって思ってるみたい。
自分を傷つけても覚めないから仲間をちょっと傷つけただけなのに、脆い仲間はあっという間にぐちゃぐちゃのドロドロ。
「こんなはずじゃない」って呟きながら串刺しにして、お墓まで作って…………。
…………。
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誰かの悪夢。
悪魔のエリア。
よいか?
腹が減るということは腹が膨れる楽しみがあるということじゃ。目の前に美味そうな和菓子の食べ放題があるのに、常に満腹だったらどうする?食べたいのに食べられないじゃろ?
つまり、空腹なのも満腹なのも幸せな事なのじゃ!
悪い事ではない!
ーー霧の中。
慌てて桜花を構え、警戒しながら周りを見渡すルト。
ふいに、男性の声が聞こえた。
ルトは声のした方を向く。
そこには、大きな桜の木が立っていた。
素敵でしょう?
桜というのはいつ見ても美しい。
あなたもそう思いませんか?
やがて、桜の木の影から1人の男性が姿を現した。
そう言うと、男性は桜の花を手に取り祈る。
すると、桜の木の前に黒いゲートのような穴が現れた。
ルトはその中を覗くと……。
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テイル=プロミーズ。
とあるエリア。