14話 史上最悪の航海
文字数 4,578文字
船。甲板。
パンザレスの言った通り、全員は甲板へ移動した。
甲板では次々とプリンからゾンビになったものがやってくると、「ああああ〜」と唸りながらウロウロ歩いている。
私のアームでぶっ飛したいところだが、どうやら秘策があるらしい…
レディースエンジェントルメン。イッツショータイーム。カモン!
そう言うと、パンザレスはボイスパーカッションをキメながらムーンウォークして舵へ向かう。
ゾンビ達はうめき声を上げ、パンザレスを見つめる。
やがてパンザレスから舵まで道が出来上がり、パンザレスはあっという間に舵を握ることに成功した。
ノンノン。それだけじゃなーい。ミーは驚いた!パンザレスにはスキルがあるのさ!
なんだと!?それじゃあパンザレスは…いや、パンザレスも異世界人!?
♪ボクの歌で目覚めろパワー 今日も一日やったろやないかい!
♪家出て飛びだしゃ社会の真ん中 それでも負けねぇ不屈の闘志
♪自分に命ある限り 叫び続ける俺の魂
スキル「魂の歌」!すごいだろ!パンザレスはゾンビを元の姿に変えることができるんだ!
yeah!これからどうするかはユー達次第!どうする?
「魂の歌」はゾンビになった時点での人間、モンスターに戻す。
だがゾンビによってはもう100年前、1000年前、それ以上前に生きていた者がいる。
肉体も魂も当時のままだが、今の時代で生きていけるかはわからない。
そこからどう生きるか、もう一度ゾンビになるか、死ぬかは相手次第。
お前達、聞いてくれ。もし生きたいと答えれば、ゾンビになる前にいた場所へ瞬間移動させてあげられる。どうする?
俺、今日誕生日なんだ!君のおかげで生きられるよ!ありがとう!
ん?君、もしかしてライカちゃんかい?アクスビットへ行くなら後で冒険者ギルドに来てくれよ!
すると、プリンになっていた人々はたちまち光の粒になり、アクスビットへと飛んでいった。
とりあえず港にワープさせたから安心安心!これにて解決!
あたし、なんだか勘違いしてた…あの人すごいじゃん!いい人だよ!
そうね…とんでもない力を持っていて、ちゃんとした心を持ってるじゃない。
望遠鏡を使ってアタミを見るドゥーン。
アタミの建物は壊れていて、プリンの姿はなかった。
ミーのスキルをご覧あれ!でもこれ、すごいよマジで…
うおおおおおおおお!
SSR!船酔いボルト 召喚!!
【ボルト】
ボクはボルトです!小説を描いています!
この小説では「アイドルと不思議なバスの話」がメインで登場するエピソード!
画面の前のみんなしかわからないけど、ボクの名前が太字なのは"ボクが登場するメインエピソードがこのエピソードではないこと"を示しているんだ!
でも、「繋ぐ繋がる異世界ファンタジー」だからメインエピソードじゃなくても顔出しできるのさ!
ビバ!「繋ぐ繋がる」!イェーイ!
オアーッ!本物の船だ!海が似合う男としては嬉しいな!あ、君はライカだね?
ちょっと待ってくれよボルト〜。スカウトしちゃダメダメ〜
パンザレス!?うおーっ。会いたかったー!"彼ら"に自慢しなくちゃ!写真いいかい?
あ、写真はダメなんだった…クソー。
ミーのスキルは「人をガチャ風に召喚する」んだ!
ただし、召喚された人は本物じゃなくて、魂の一部…幽体離脱に近いかもしれないね!
本物からチョコっと元気を分けてもらって自由に動けるんだぜ!
もちろん魂の一部だからいろいろ制限はあるんだけど…
画面の前のみんな、必見だ!ミーが召喚した人は他のエピソードに出ている人だから、気になる人がいたら読んでみてくれ!アンダスターン?
あー、ボクを知ってる人いるかなー?知ってる人手上げてー。
……手あげてくれよ!寂しいなぁ!
ボクは「アイドルと不思議なバス」に出てるから会いにきてくれよ!ウロボロスは必見だ!
待てよ?ということは重要人物も出せるのか?よし、帝国の皇帝を出せ!今すぐぶっ飛ばす!
ノー。そういうのはやらない!お約束ってやつさ!ミーも皇帝の正体知らないし!
そもそもこれはガチャ風に召喚するものだから、誰が出るかわからないんだ!
お お お お お!これはヤバいぞ!かなりヤバい!はぁっ!
SSRキング・オブ・ギャラクシー ゴワス!
あらちょっと何!?どこなのここ!?アタシ今大変なのよ!?
【ゴワス】
しょうがないわねー。アタシはゴワス!脂肪ブラザーズの1人よ!
トレードマークはこのセクシーな水着とヒゲ!あ、男とか女とかそういう小さな事はどうでもいいの!
大切なのは心よ心♪
えーとギャラクシーっていうのはジョブよ!
「底辺実況主の異世界転生の話」にいるから…あ、詳しい事は言えないけど今大変なのよね〜
あ、それ彼にも言われたわ!まぁ本体のアタシだけど!
今度は白い魔法陣ね…なんとなくだけど嫌な予感がするわ…
ガチャ排出率0.001%!禁忌のスキルを持つ男!枯れたい奴は出ておいで!
レジェンドレア、覚醒せし枯渇グレイ――
ストップ!それ以上はダメだー。ドゥーン、ウチの大陸に遊びに来てもらうぞー。
あと名前を呼ぶ時は様をつけないと星になってもらうよ?
そ、それは遠慮しておくよ!……じゃあ気を取り直して……
SR芸人のマネ グレン!
【グレン】
グレンです……最近ごちゃエピの作者とその友達がオレをネタにして、とある芸人のマネをしてゲラゲラ笑ってるとです……グレンです…グレンです……
※グレンは「洗脳された少女と一匹狼の話」に登場。
冗談冗談!
よし、ボルト!ゴワス!グレン!みんなで後ろに向かって攻撃を放ってほしい!
イエス!甲板の後ろに立って、海に向かって攻撃してほしいんだ!
今3人には"ソウルビーム"が撃てる!頭の中でイメージして、手とか足とかおでことか好きな所からビームが撃てるよ!
おっ!手からビームが出たー。
じゃあ今度はウロボロスから極太を発射だ!星に届くくらいのデカイやつをお見舞いしてやるぞ!
それぞれの魂に反応していて、ビームの形も違うのさ!さっそく甲板の後ろに行こうぜ!
今ここにいる人は召喚できない制限があるからなぁ。ビームの力だけ分け与えられればいいんだが…
甲板からまっすぐ撃ったらアタミに直撃するかもしれないから絶対に海に向けて撃つように!
加速するためさ!3人同時に撃つことで船はまっすぐ進む!これで一気にアクスビットさ!
じゃあ行くぞ!
最近とあるホラーゲームを買ったんだー。喰らえ。夜の光線「ぐーるぐる。」
これ1つで脂肪を燃焼!痩せなさい!脂肪ブラザーズ秘伝、「ダイエットボンバー」!
グレンです…モノマネはもうたくさんです…!「切実な願い。」
ボルトは目から、ゴワスは腹から、グレンは手から同時にビームを発射。
それぞれは合体し、極太のビームが海へと放たれた。
ズドンッッ!
バッッシャーーーーン!
ドゥーンの船は大きく揺れ、水しぶきと共に前へと吹っ飛んだ。
くっ…!こんなに強い衝撃とは…!みんな!手を離すなよ!!
全員を乗せた船は、あっという間にアクスビットの前へ吹っ飛んだ。
ライカ!何をする気!?もう港も民家も酒場も目の前なのよ!?
その瞬間、メガロアークは大きな青い風船になり、ドゥーンの船がボヨンと弾かれた。
猛スピードで吹っ飛んでいたのが嘘のように、衝撃はとても小さく、波も小さい。
かくして、メラニー、ソフィー、シルキー、ライカ、ドロシー、ドゥーン、パンザレス、その他3名は無傷でアクスビットへと着いた。
****
ゲノン帝国。アタミ。
チョコは、通信機を使って誰かと話していた。
なに?…うん、疲れた。邪魔されすぎてイライラする。力も使いすぎちゃった。
ねぇ、"あの力"ちょうだい。ちょうだいよ。チョコよりも甘くてプリンよりも甘くて…もう病みつきになっちゃうんだぁ……えへへ、えへへ……
…うん、わかったぁ。一回帰るね?どうせまたメラニーちゃんと会えるし、今度はもっと楽しめると思うし、覚えてないみたいだから思い出してもらってからの方がイイし……
なんて言うんだっけ?あの力……そうそう、それ。ふふふすっごい気持ちいいよねぇ…うーんどれにしようかなぁ……
空を見上げて手を口に当て、思いにふけるチョコ。
「うーんうーん」としばらく考えると、思い出したのかパッと明るくなった。
じゃあ、あのオジサンのスキルがほしい!そう、物を消すやつ!
……やったぁ!もらっちゃうね!
これでお菓子の力と消す力、ぐるぐる混ぜちゃえばもーっと強いよねぇ…?えへへ…えへへへへ……
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